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(魔法処女リンク)ただいま魔法少女やってます!→Snowy Piece / Project HH / SSS
※最近魔法少女始めた方は連絡下さい。第二期の間中同志として宣伝しますー。
【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                    ☆     31     ☆

 ガラガラガラ――

「おはようございます」
「おはよー」
「なゆちゃん、おはよう」

 てくてくてく。
 どさっ。

 ……うにゅう。

「どうしたの? 珍しく元気ないじゃない」
「あ、かおり。おはよ〜」
「おはよ。で、風邪?」
 席について、ちょっとぐったりしてると、あとから来たかおりに声をかけられた。
 声ははずんでて、今日は機嫌がいいみたい。
 やっぱり、昨日のあの子……妹さんだったのかな?
「ううん、風邪じゃないよー。ぴろちゃんのお手伝いでちょっとがんばりすぎちゃったみたい」
「ああ、そうなの。考えてみれば、確かに魔法少女ってハードなお仕事よね。表と裏の生活があるんだから」
「なんだか、最後の表現は気になるけど……うん、けっこう大変かも」
 つかれてるのはウソじゃないよ。
 わたし、ぴろちゃんが言うみたいに魔法をたくさん使えるガソリンみたいなのはたくさんあるみたい。
 でも……さすがに昨日はちょっと使いすぎちゃったみたいで、筋肉痛みたいに頭と体がちょっとフラフラ。
 だから、つかれてるのは本当のこと。
 だけど……やっぱり、一番つらいのは……。

 ぶんぶんぶんっ!

 手をぎゅっとにぎって胸の前に。
 うん。
「ふぁいとっ」
 おまじないをして、気合を入れる。
「ど、どうしたのいきなり?」
「あ、ごめん。こういうときは気合だな、って思ったんだよ」
「……なんか、なゆきの行動は時々突拍子がないのよねえ。脈絡が抜けてるというか。まあ、しんどかったら遠慮なく言いなさいよ。保健室連れてってあげるから」
「うん。ありがとうだよ、かおり」
 あきれた顔をしながら、かおりはランドセルを机におろして一時間目の準備を始めた。
 もう一度、胸に手を当てて、心の中でおまじない。

 ――ふぁいとっ、だよ

 そうだよね、イシオさん。
 わたしが悲しんでたら、イシオさんはよろこんでくれないから。
 それに、わたしは悲しんでないで、がんばらなきゃいけないんだよね?


「あ、かおり」
 ふり返って、うしろの席のかおりに話しかける。
「何?」
「うん。ぴろちゃんから伝言があるの」

「ぴろさんから? 何かしら」
「えっとね、わたしは何のことかよく分からなかったけど、『大事なモンがあったら、傍離れたらあかんで。姐さんの力は効き目バッチリの御守りなんやからな』だって」
 ほんとうは、何のことかわかってるけどね。
 でも、勝手におうちに入ったなんて言えないからそこはないしょだよ。
 かおりは、少しきょとんとして、それからうれしそうにわらった。
「そうね。覚えておくわ。ありがとう、ってぴろさんに言っておいて」
「うん」
 ……やっぱり、バレてるかなあ?
 かおりってそういうところ鋭いし。

「あ、なゆき」
「うにゅっ!?」

 やっぱりお見通し!?
「なんでそんなに驚いてるのよ」
「え、えっと、なんでだろ?」
「やっぱり脈絡が抜けてるわねえ、あなた」
 うっ、ほんとは複雑な事情があるんだよ。
「そ、それより、なあに?」
「ううん、別に大したことじゃないんだけど……」
 そう言って、かおりはくすっとほほえみながらわたしの髪を指差した。
「髪型ちょっと変えた? 昨日よりいい感じに見えるわよ」
「あ、うん。通りすがりの美容師見習いさんにやってもらったの」
「へえ、変わった人がいるのねえ。まあ、通りすがりの美容師さんに任せるなゆきの方が変わってるけど」
 あはははは、とかおりが笑う。
 うにゅう、だってそういいわけするしかなかったんだもん。
 ……お母さんにも。


 でも、かおり明るくなってくれてよかった。
 妹さんも、いつか紹介してもらえたらうれしいな。





「ただいまー」
「おー、おかえりやなゆき。おつとめごくろーさん」
 ベッドの上でぐてーっとのびてたぴろちゃんが、ぐぐっとそりかえってこっちに顔を向ける。
 昨日あれだけフラフラになってたから、やっぱり今日もつかれてるみたい。
「姐さんに言っといてくれたか?」
「うん。ありがとうって言っておいて、って言われたよ」
「そかそか」
 うなづくかわりに、目をぱちぱちして、ぴろちゃんはねこさん眠りの格好になった。
「ねえ、ぴろちゃん。これで、あの子だいじょうぶなの?」
「体弱いみたいやからなあ……。欲張りなモールドみたいなんに取り憑かれたら危ないのは変わらへんし、ああいう連中にも居心地はええやろう。まあ、姐さんが傍におったらそんな連中も近寄りたくなくなるはずや」
「ふーん。でも……」
 言っていいのかなあ、これ?
 たぶん、誰でも気になると思うんだけど。
「でも、なんや?」
「それだったら、わたしたちあんなことしなくてもよかったんじゃ?」
 かおりにお話して、妹さんのそばに行ってもらえば……。
 と、思ってたらぴろちゃんが手をあげて『ちゃうちゃう』って感じにふる。
「言うたやろ、時間がなかったって。姐さんがモールド引っ張り出したりできるならともかく、傍にいるだけやったら効果期待できるまで一週間以上はかかったと思うで」
「そうなんだ」
「いま、『何でこんなにしんどい目する必要があったんだろう』とか思ったな?」
 ぎくっ!
「そ、そんなことないよ〜」
「目が泳いどるわ、アホタレ」

 ポテッ!

「あいたっ!」
 もう、今度はなにー?
 上から落っこちてきたのをひろってみる。
 手に乗る、まんまるな目がかわいい小さなカエルさんのキーホルダー。
 あ、これって……。
「けろちゃん」
「……は?」
「うん、だからけろちゃん。こんなところにあったんだ」
「なんや、ワイのことやないんか。で、なんやそのブサイクな埃だらけのカエル」
「ブサイクじゃないよ。かわいいよ」
 ほこりだらけなのは、たぶんタンスの裏かどこかに落っこちてたから。
「よう分からんなあ、人間ってやつは。ワイみたいにキュートな猫をかわいい言うのはともかく、犬とか鳥とか、挙句には蛇とか蜘蛛まで好きなやつおるし」
「犬さんもかわいいよ」
「そうか? ワイ、猫やからようわからんわ」
 それ以前に……どうして自分がかわいいってあんなに自信があるんだろ?
 見た目はかわいいけど、やってることとか言葉はぜんぜんかわいくないのに。
「何や? 何か言いたいことあるんか?」
「な、何も!」
 うう、そうだったよ。
 ぴろちゃん、気をつけてないと心読んじゃうんだった。
「んで、そのカエル、何か大事なもんなんか?」
「うーん、宝物っていえば宝物なんだけど」
「なんや、その微妙な言い回し」
「がちゃがちゃって知ってる?」
「ああ、あれか。百円入れて、ハンドル回したらカプセルが出てくるやつやな。最近は二百円とか三百円のもあるみたいやけど」
「うん、あれ。あれの景品なの」
「なゆき、あんなんに興味あったんか?」
「ううん。冬休みに遊びに来るいとこの男の子が取ったものなの」
「ははーん、読めたで。さては、ハズレでそのカエル引いて、いらんからなゆきに押し付けたって寸法やな」
「押し付けられてないよ。一応もらったんだよー」
 当たってるけど、そんな言われかたされたら、ぜんぜん価値がないみたいに見えてくるよ、もうっ。
 わたしが『いらない』って言ってたら、祐一に捨てられてたのはまちがいないけど。
「ま、そんな大事なもんやったら、ランドセルにでもつけといたらどうや? それキーホルダーやろ、タンスの上に飾っとくもんやないで」
「そうだね、うん」
 雨とかでよごれると思って家においてたけど、こんなほこりだらけになっちゃったらかわいそうだよね。
 よごれたら洗ってあげて、やぶれたら直してあげよう。
 そう思って、わたしはランドセルのフックにカエルさんのキーホルダーをくっつけた。
 お弁当、巾着にして手に持つようになってからここ使ってなかったし、これでこれから毎日一緒だよ。
 そう思うと、明日からの学校がちょっと楽しみになってきた。
「ほな、ワイ疲れてるし、また寝るなー。ああ、夕飯なくても構わへんで。多分寝とるやろうし」
「わかったよ。でも、できるなら持ってくるから、わたしが寝てても気にしないで食べてね。やっぱり、疲れてるなら食べないと元気でないよ」
「おおきに。期待しとくで。ほな、お休みや」
「うん、おやすみなさい」


 くかー、くかーとぴろちゃんのいびきを背中に学校の宿題。
 気持ちよさそうに、ねこさん眠りしてるよ。
「ふああああ……」
 わたしも眠くなってきちゃった。
 あとひとふんばり。
 そう思って、のびをするとランドセルのカエルさんが目に入った。
「明日もいいことあるといいね」
 明日は明日の風がふく。
 昨日はイシオさんとの悲しいお別れがあったけど、今日はかおりが元気になって一ヶ月前からいなくなってたけろちゃんも見つかった。
 ぱうだーすのーふぇありー明日もがんばりますっ。





「…………」
 うにゅ。
 なんだろう、声が聞こえる。
 眠い目をちょっと開けてみた。
「……モールド、まずい飯とか言いながら聖気をあんなにためこむなんて普通じゃ考えられへん」
 ぴろちゃん?
 起きたんだ。晩ご飯、おいといたけど食べてくれたかな?
 窓から外を見ながら何かひとりごとを言ってるみたい。
「下級妖怪を意に反して支配するあの力……やっぱり、ヤツか? まさか、ここまでとは予想外や」
 うにゅう、眠い。
 話しかけようと思ったけど、もうダメ……。
 だから、最後にぴろちゃんが言ったことはよく分からなかった。


「それでも、お前の思い通りにはさせるわけにはいかへんのや……グレイ……!」


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ぱうすの第二其月本糸扁糸冬了ー。
「お疲れ様です」
後書きと『ぴろちゃんにおまかせは!』は、次回更新でSSページに格納する総集編にて追加します。
「しかし、長かったですね。容量どのくらいなんでしょう?」
テキストだとだいたい135KBほど……。
第一期が約60KBだったから二倍以上です(汗)
「単純にチャプターだけで見ても倍いってますねえ」
ていうか、それよりやばかったのが……TOPログ。
こんな容量でかいのTOPで連載してログ格納してたもんですから、ログの容量も信じられないスピードで膨れ上がりました。
ログ2なんかTOP50回分でも100KB越えてないのに、ログ3は32回分で170KB、現在追加中のログ4に至っては19回分で160KBです。
「何か問題でも?」
新しいログページ追加するのメンドイのよ、うちブログとかじゃないから。
あんまり少ない回数でどんどん次のページ作ってると、整理も面倒に……。
「んー、気にせず50回分追加すればいいじゃないですか」
やってもいいけど、200KBあたり越えたら、一ページの表示重くなるし、更新するこちらとしてもテキストで開くのがやばい事に。
Meたんらしく、プログラムを実行するのにメモリが足りませんと。
「つまり、一ページの容量があまり大きくなるとまずい、ってことですね」
です。
しばらくお休みですが、そういう事情で第三期はTOP掲載はしないかも。
「では、どういう形になるんでしょう? 総集編のHTMLっぽいのに、一話ずつちまちま追加?」
リンク追加とか修正とか、タグ挿入とか、随時やるのは結構手間なのでそれは避けたいところ。
いっそ、KeyオフィシャルサイトのSS掲示板に投げるとか。
「うわ、なんてチャレンジャーな……」
いや、そうでもないと思いますけど、ほらこれ
「うわっ、何ですかこの過疎っぷり!」
これなら別に暫定SS置き場にしても迷惑じゃないでしょう、多分。


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「さてと、石尾やったな。なんで残されたか分かっとるな?」
「わかってるっす。この子のことっすよね? ゲプゥ」
 クロカミキリ……イシオさんは、ベッドの女の子を見ながらゲップをした。
 さっきもゲップしてたけど、あんなにおなかふくれてるし、やっぱり食べすぎ、なのかなあ?
「オイラの命、この子にあげるっす。吸い込んだ聖気ごと、オイラを送ってくれないっすか? あなたならできるっすよね? えっと……」
「ピロスケや」
「ああ、ピロスケさん。しかし、不思議っすねえ。猫股なんて、オイラと変わらない下っ端妖怪なのに、ピロスケさんは何か違う気がするっす。どこかのやんごとなきお方っすか?」
「いらん詮索するんやない。用意はええか?」
「も、申し訳ないっす! 用意も覚悟もできてるっす。どどーんと送ってくれっす」
 命をあげる、用意、覚悟……それって……。
 なにか、イヤな予感がするよ。
「ちょっと待って。イシオさんをどうするの?」
 死んじゃイヤだよ。
 せっかく助かったのに、どうして?
「雪ん子さん、ありがとうっす。でも、オイラはやらなきゃならないっすよ」
「どうして!?」
「操られてたって、オイラは悪いことしたっす。迷惑かけたっす。オイラ、頭は悪いけど、責任は取らなきゃいけないって思うっす」
 クロカミキリのイシオさんは、そう言って耳までさけた口を少し開いてほほえんだ。
 不気味でこわいのに、でもなんだかやさしい感じがする。

「悪いことして迷惑かけたら責任取る。これ、当たり前のことっすよ」

 それでも、それでも死んじゃうなんて……。

「ぴろちゃん、どうにかできないの?」

 こんなとき、たよれるのはぴろちゃんだけ。
 ぴろちゃんならきっと……。


 でも、ぴろちゃんは首を横にふったのでした。
「無理や。ワイにそこまでの技術はないし、イシオが溜めこんでしもうとるの、弱いとゆうても姐さんと同じ巫女さんの力や。妖怪のワイなんかが下手に手出ししたら、反発起こして消えてまうかもしれん。それに――」
 ぴろちゃんの次の言葉は、もうどうしようもないことをわからせてくれるには十分でした。
「その子の命、もう尽きかけとる。時間もないんや」
「そんな……」
 わたし、みんなを助けるためにがんばったのに……。
 女の子も、モールドさんも、小さな妖怪さんたちも、もちろんイシオさんだって。
 なのに、なのに……。
「こんなのって……ないよ……」
 目から、じわーって涙があふれてくる。
 ぬぐってもぬぐっても、次から次に。
「ありがとうっす。オイラみたいな下っ端妖怪のために泣いてくれるなんて、雪ん子さんがはじめてっす」
「だって、だって……!」
 もう言葉にならないよ。
 何を言えばいいの?


 困った顔をして、イシオさんは頭をかきながら横を見ていました。
 泣きやまなきゃいけない、そう思っていても涙がとまりません。
 わたしが泣いてたら、イシオさんは困ったままで、女の子も助からないのに。
「あ、そうだ。オイラが何で黒髪切りって呼ばれてるか知ってるっすか?」
「えっ?」
「知らないみたいっすね。なら、お見せするっす。アーティスト石尾の一世一代の匠の技!」
「えっ? わっ!」
 イタズラっぽくわらったイシオさんが、すごい勢いで天井からわたしに飛びかかってくる。
 びっくりして、思わず目をつぶった。

 チョキン! チョキン! チョキン!
 パラパラパラ――

 ハサミで何かを切る音、それと……何かが落ちる感じの音。
 ゆっくり目を開けると、ハサミを胸の前に立てて、満足そうな顔をしてるイシオさんがいた。
 その横で、ぴろちゃんが感心したような顔でこっちを見て、そしてわらった。
「よかったな、なゆき。かわいさ20%アップやで」
「えっ?」
 ちょんちょん、と鏡をぴろちゃんが指す。
 なんだろ? と思ってのぞいてみると……。

「……あ」

 髪が切られてる。
 でも、前よりさっぱりしたかも。
「オイラ、女の人の髪を切って、そこからちょこっと生きる力をいただく妖怪なんすよ。時々、ついでにヘアメイクしたり、枝毛切ったりとオプションサービスも付けるっすけどね」
「生きる力って、わたしの命?」
「そうとも言うっす」
 そうとも言う……って、ええっ!?
「ぴ、ぴろちゃん! わたし、命吸われちゃった。もうすぐ死んじゃうかも。わわっ、なんだか腰が曲がってきた気がするよー」
 どうしよう、もうおばあちゃんになってきちゃった。
「ごめんなさい、お母さん。先立つフコウをおゆるしください」
「思い込みの激しい女の子っすねえ」
「えーい、落ち着かんかい!」

 スパーン!

「あいたっ!?」
 ま、またスリッパハリセン。
 ぴろちゃん、もう力残ってなかったんじゃないの?
「ええか、なゆき。兼好という昔の坊主がこう言い残しとる」
 ケンコウさんってお坊さん?
 どんな人なんだろう?
 健康さんって言うくらいだから、お経をあげるだけで病気を治したりしたすごい人なのかもしれない。
「なんか、勘違いしてるようやけど、続きゆうてええか?」
「あ、うん。聞かせて」
 かんちがい……ってことは『健康さん』じゃないのかなあ?
 って、ぴろちゃんの話ちゃんと聞かなきゃ。
「その坊さんが言うには、『全く病気しない奴は大きな病気にかかるところっと死ぬ。だが、普段から病気をしとる奴はしぶとく長生きする』っちゅうことや」
「えっと、つまり?」
「つまりや、ちょっとだけなら命吸われるのはかえってええことかもしれへんってことや。もっと簡単に言うと、ジョギングとかと同じや。寝て食べてばっかりで長距離走れるか?」
 ジョギング?
 あ、そういえば……前に綾お姉さんに教えてもらったかも。
 つかれるくらいに走ってたら、体がつかれないようにがんばってくれるから、そのうちどんどん長い距離走れるようになるって。
「この子みたいに回復できへんところまで吸われたらともかく、少し吸われるくらいやったら、命ががんばろうってくらいの刺激になって、かえって寿命が延びるんや」
「そうなんだ。あっ、じゃあ……」
「ん?」
 ちょっと疑問に思ってた。
 モールドさんみたいな人の命吸う妖怪さんは、退治するしかないのかなあ、なんて。
 でも……。
「命を吸う妖怪さんみんなが悪いわけじゃないんだね」
 そう言うと、ぴろちゃんはにこっと笑ってくれた。
「ま、そういうこっちゃ。でもな、なゆき。誰が悪くて誰がええなんてのは誰にも決められるもんでもないんや」
「うにゅ?」
「まあ、ワイが説教垂れられることでもあらへんし、そのうちなゆきも考え始めるやろう。いまはまだ、見かけだけでいい悪い判断したらあかんってことだけ知ってれば十分や」
「う、うん」
 よく分からないけど、いいとか悪いってのを決めるのは難しいってことかな。
 みんなが笑えるなら、それはいいことだって思うけど……。


 そこまで考えたとき、イシオさんの姿が目に入った。
 あっ!
 そうだったよ。イシオさんは……。
 イシオさんを助けられなかったのに、わたしは本当にいいことをしたの?
 わからない、わからないよ。
 わたし、本当に正しかったの?
「笑ったほうがかわいいっすよ、雪ん子さん」
「えっ?」
 おろおろしてると、イシオさんがわたしの目の前におりてきた。
「頭悪いけど、オイラはこれが正しい方法だと思ってるっす。この子、まだ死んじゃいけないっす。この子若いし、家族ってのもいるし、うまくいえないけどやっぱりまだ死ぬべきじゃないっすよ」
 とん、とクロカミキリのイシオさんのハサミがわたしの両肩におかれる。
 近くでみるとこわい顔だけど、わたしは顔をそむけられなかった。
 だって、これだけは聞いてって顔をしてたんだよ。

「雪ん子さん。そのうち、雪ん子さんにも選ばなきゃいけない時は来るっす。でも、今は笑ってオイラを送ってくれると嬉しいっす」

 やっぱり、お別れ。
 とってもつらい。
 でも、わらわなきゃ。
 わたしは、なみだを必死にこらえてわらおうとがんばりました。

「ありがとうっす。先に行って待ってるっす。雪ん子さんは、焦らないでゆっくり来てくださいっす」

 ぴろちゃんが、イシオさんの体のはしにさわる。
 すると、イシオさんは、ばらばらにくずれて光の玉だけが残って……その、きっと命の光は女の子の体に吸い込まれていった。


 もう、何も見えない、聞こえない。
 不気味だったけど、なんだかやさしかったクロカミキリのイシオさんの顔も、声も。
「ううっ……」
「なゆき、大丈夫か? もう泣いてもええで」


『そのうち、雪ん子さんにも選ばなきゃいけない時は来るっす。でも、今は笑ってオイラを送ってくれると嬉しいっす』


 正しいこと、悪いこと、やっぱりよくわからない。
 でも、わたしにもそのうち選ばないといけない時が来るって言われた。
 なにを選ばないといけないの?
 たぶん……それは正しいこと。
 わたしが正しいと信じられること。
 今はイシオさんが選んでくれた。
 でも、いつかわたしが選ぶしかない時がくる。
 きっと、イシオさんはそう言いたかったんだと思う。
 うん、わかったよ。

「ううん、ぴろちゃん。わたしは泣かないよ」
「なゆき、おまえ……」
「わたし、もっと強くならなきゃ」


 いつかくる、選ばなきゃいけない時のために。
 わたしは、強くなっていく。
 そう、心にちかったのでした。


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ぷはぁ……。
「どうしました? 何だか幸せそうな顔をして」
いや、北京ダック一年分は食べたなあ、と。
「は?」
北京ダック、良質のを25本くらい食べてきました。
ああ、至福の時ー。
「ちょ、ちょっと待ってください、そこでそんなの!? あーっ、寝ないで下さいよ。萌葱にも教えて下さいー」


【コメントレス】
果たして総体=個々の合計と言えるであろうか?
もし総体が個々の合計以上であったならば、名雪はそれを殺したことになりはしまいか?

By K.H

王様「え、えらいこっちゃ、いきなりシリアスすぎて展開についていけん!」
河豚「すいやせーん。もっと分かりやすく言ってください」

存在しないものを殺すなんて無理だと思います……って回答でいいんだろうか(汗)
モールドというキャラは、他個体の意識に揺さぶりを受けている石尾だと思います。
それでもよく分からない場合は、トライガンのナイブズ&プラント融合体を見ていただければ分かりやすいんじゃないかと。


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【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                    ☆     29     ☆
 天井には、ぷっくり太ったザリガニみたいなヘンなのが浮かんでいました。
 体は緑だし、ザリダニみたいに足はたくさんなくてどっちかというと人間に似てて……。
 だけど、手の部分がザリガニみたいに大きなハサミだったりする。
 うちゅう、どう説明すればいいのか分からないよ。
 幽霊さんみたいに足がなくて、上の体ははげたおじさん、でも手はザリガニ、そんな感じ、かなあ?
 顔はおだやかで、ビリリって感じもないけど。
「誰や、お前は?」
「オイラは黒髪切りの石尾っす。さきほどは、このハサミが貴方様達にとんだご迷惑を。申し訳ないっす」
 ハサミ、迷惑?
 あっ、そういえばあのハサミ。
 よく見たら、モールドさんのツメにそっくりだよ。
 うん、曲がってなかったら、あのおおきくて先がとんがってるところなんかはそのまんま。
「黒髪切り? どういうこっちゃ? 病魔モールドやなかったんか?」
「それがですねー、あっしらもよく分かんないっすよ。気がついたら、ミックスジュースされて、あんなマッドピエロになっちまってて。雪ん子さんがぶっ壊してくれて、みんな感謝してるっす」
「……みんな?」
「ほら、ちっこいですけど、そこにたくさん。耳を澄ませばっす」
 クロカミキリさんの言う通りに、静かにして耳をすましてみる。
 あれ? 何か、ざわざわしてる?
 しばらく待ってると、ざわざわは一つの声にまとまりはじめた。

「ありがとう」
「ありがとう」
「ありがとう」
「ありがとう」

 ありがとう、そう聞こえた。
 どこからだろ、ときょろきょろしてると、耳をぴんと立てたぴろちゃんがわたしの頭から飛び下りた。
 あ、頭ふったらなんか重いって思ったけど、ぴろちゃん乗せたままだったんだ。
「なゆき、ここやここや。よう見てみ」
「えっ? あ……」


「雪ん子さん、ありがとう」
「雪ん子さん、ありがとう」
「雪ん子さん、ありがとう」
「雪ん子さん、ありがとう」

 いた。
 ハムスターさんくらいの子もいるけど、中にはアリさんみたいなのまで。
 色はたくさん、中にはとうめいに近くて見えにくい子もいる。
 お部屋には、一つ目の小鬼さんとか、妖精さんみたいなのとか、よくわからないのとか、とにかくたくさんの小さな妖怪さんがいた。

「ゴブリンに疫鬼、餓鬼、天邪鬼、エルフ、夢魔、騒霊……ポルターガイストまでおるんかいな。なんやねん、この小妖怪詰め合わせバリューセットみたいなのは」
「よく分からないんすよ。オイラたちも気がついたら一つにさせられて、モールドとかいうヤツにさせられてて。窮屈でしかたなかったっす」
「どうりで、人格ばらばらで能力も無節操なわけや」
 えっと、じゃあ……。
「モールドさんは死んでないの?」
「そんなヤツもとからいないっす。雪ん子さんが、倒してくれたおかげで、みんなやっと自由になれたんすよ」
「じゃあ、わたし……」
「ま、結局、人助けも妖怪助けもでけたってことやな」

 こくこくとうなづきながら、ぴろちゃんがにっこり笑った。
 そっか、よかった。

「モールドの核になってたのはオイラですし、他のみんなそろそろ帰してやってもいいっすか? そろそろ、この氷のけた方がその子のためっすよ」
 ふわふわと宙から、ベッドの女の子をハサミで指さす(指でいいのかな?)クロカミキリさん。
 あ、そうだ。このままじゃ、氷で女の子がこごえちゃうよ。
 雪の中で寝てるのと同じだもんね。
「せやな。氷どかす邪魔にもなるし、帰ってもらおか。石尾、お前さんは残っときや」
「あいあいさーっす。みんな、もう帰っていいっすよ」
 クロカミキリさんがそう言うと、『ありがとう』って言い続けてた小さな妖怪さんたちは、わあわあきゃあきゃあ言いながら、わたしたちがここに来る時に入った穴みたいなのをあけて飛びこんでいった。
 よーく見ると、なんだか気持ち悪い姿の子もいるけど、なんだかみんな楽しそうかも。
 ちょっといいかなあ、って思っちゃった。

「うきゃっ!?」
「ふげっ!?」
「フガー!」
「コノヤロー!」

 って、わわっ、将棋だおしになって、ケンカ!?
「こらこら。焦らんでも待っといたるから、我先にと出て行こうとするな。って、なゆきも何笑っとるねん」
「ごめん。でも、なんだかケンカしてても楽しそうだったから。妖怪さんって楽しいヒトも多いんだね」
「何言うてるねん。ほとんどの妖怪は、みんなこういう微笑ましいやっちゃやで」
 十分くらいして、ぴろちゃんが何度言っても将棋だおしとケンカが起きたけど、小さな妖怪さんたちはみんな穴から出ていった。
 あたりを見回して、もう誰もいないことをたしかめる。
 うん、誰もいないね。
 ぴろちゃんと、クロカミキリさんを見ると、ふたりともこくってうなづいてくれた。
 よし、っと。
 息を大きく吸いこんで、集中する。
 寒い中で待たせてごめんね、ってベッドの女の子に心の中であやまった。

「ありがとう、霜の巨人さん」

 こんなに大きい氷なのにだいじょうぶかなあ、ってちょっと心配だったけど……。
 わたしのおなかの高さまであった氷は、それだけで何もなかったかのように消えていきました。
 ちょっとびっくり、かも。
 でも、今日はほんとにありがとう、粉雪さんたち。


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こゆきのないしょ
また久々にタイトルといい、コメントといい、何とも言えない笑いが……。
「相変わらずですねえ、こゆきさん」
食品を『拘束』しても謎なのに、よりによって脳梗塞の『梗塞』ですよ。
こんな不思議思考回路真似出来ない……。
「いえ、これはもう既にショートしてるのではないでしょうか」
そうかと思ったらこんな純真なところも。
「うわぁ、何だか凄く嬉しそうです。こう誇らしげなのを見てると、眩しく見えますねー。Blogしてるだけなのに
葱たん、最後の一言余計。

「ところで、さっきから何か睨めっこしてますけど何やってるんですか?」
ん、これですか?
「それです」
見てのとおり、雪国の生活・後日談Aの攻略です。
最近ある人が始めたんですけど、難易度の高さにかなり四苦八苦してるようなので改めて検証を。
若干いくつか、効率とか勝率のいい方法見つけたので書き込んでおこうかなあ、と。
「そんなに難しいんですか?」
いや、理不尽な難しさではないです。
最悪でも勝率8割の必勝法立てられるので、むしろバランスはいい方だと思います。
ただ、相当戦闘野郎慣れした人向けであるのは確かですね。
「玄人仕様、ですかぁ」


【コメントレス】
こちらからも魔法少女リンクっぽいので貼らせていただいてもいいですか?

HH

うちは別にラズベリーサイト、とかでリンク貼ってもらってもかまいませんよー。
もうすぐ第二期終わるので、その後の予定は未定状況ですが、それでもよろしければ。
ラズベリーと言えば、郵政民営化に真っ向から反対する映画がラズベリー賞でしたっけ(笑)


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                    ☆     28     ☆
 あの子を助けるために――
 これがわたしたちの、らすとあたっく!

「あふれて、霜の巨人さん!」

 ぴかっと、氷のカベが輝きだす。

「ウヘヘヘヘー、待ってたよー」

 氷のカベが、ざっぱーんとくずれて水になっていく。
 今か今かって待ちかまえていたモールドさんが右手を振り上げる。
 それを見て、ぴろちゃんがニヤって笑った。

「アホウが。かかったな」
「何言ってんだ仔猫ちゅあん。ウエッ、ウェッ、ウェッ、心理的作戦というやつダロー? そんなものに引っかかるオイラではなーい……ウエップ!?」

 モールドさんが、かっと目を見開いてきょろきょろする。
 やっぱり驚くよね。
 あれだけの氷を一瞬でとかしちゃったんだから……お部屋はわたしのおなかくらいまでプールになってる。
 ぴろちゃんはわたしの頭の上、女の子は完全に水の中、女の子のおなかから生えてるモールドさんは胸の下まで水につかってる。
 そんな中で、わたしと、ベッドの女の子だけがぬれないように空気につつまれていた。
「なゆき、今や!」
 うんっ。
「集まって、霜の巨人さん!」
 お水に手を当てて、粉雪さんに呼びかける。
 今度は横で、人に注意しないといけないけど……お願い!

「ぴらーおぶふろすと!」

 たぷんたぷんしている水に手をおいてさけんだ。
 その瞬間、部屋にたまっていた水が一瞬で氷に変わる。

「できたよ、ぴろちゃん!」
「よっしゃあっ! ようやったで、なゆき」

 ぴろちゃんの作戦。
 一気に氷の柱をとかして、お部屋をプールにしてしまってから、今度はその水を一気に凍らせること。
 その目的は……。

「ナ、ナンダコレハ!? カラダガウゴカナイ!? ウワアア、ウワアアア!」

 モールドさんの体を氷づけににして、女の子の体にかくれられないようにすること!

「ざまあ、みさらせ……くうっ」
「大丈夫、ぴろちゃん?」
「……限界…ギリギリで間におうたわ。あの子も無事やで」
「よかった……」

 モールドさんは動けないけど、わたしたちは動ける。
 ベッドの女の子もカチンコチンにはなってない。
 ぴろちゃんが念力を使って作った空気のマクで、水をはじいてくれたから。
 だから、モールドさんと家具が氷づけになってても、わたしたちはだいじょうぶ。
 ほとんどぬれてもいないんだよ。

「ま、マテ。もうこいつ吸わない。別のヤツとこいくから。オマエらも食わないよ。だから、慈愛の心で赦すべきっす」

 キッ、とモールドさんをにらみつける。
「ヒッ! 許してたもれ! イヤァァ、イヤァァァ!」
 ジタバタと必死になって、おなかの下の氷をどかそうとしていた。

「今更遅いわ、タコ」
「うん、それに……」

 ごめんね、モールドさん。
 わたし、どんなにたのまれたって今のモールドさんを許すことはできないよ。
 だって……。

「『ごめんなさい』がないよ」
「『反省しました、もうしません』もな」

 手に力をこめる。
 わたしのまわりをただよう粉雪さんたちが、うずを巻きはじめる。

「鳴り響け浄霊の鈴! ふりーじんぐべる!」

 うず巻く吹雪が、逃げられないモールドさんを直撃。
 紫色のピエロさんをが、どんどん真っ白に染まっていって……。

「ぎょえええええ!」

 叫び声を最後に、モールドさんはこなごなにくだけちった。
 ぼんっ! って爆発して。
 やっと、終わったんだね。
 ほっとして、わたしは肩の力をぬいた。


 あれ?
 なんか、ヘンだよ。
 女の子はこれで助かったし、わたしたちも無事だった。
 めでたしめでたし、だよね。
 でも、なんだかヘンな気がする。
 なんだろ……?

 考え中…………。
 考え中……。

「あっ。あーっ!」
「ど、どないしたなゆき!?」
「モールドさん、こっぱみじんになっちゃったよ!?」
「ありゃ? そういえば、最後爆発しよったな、アイツ」
 ど、どうしよう。
 わたし、妖怪さんをばらばら殺人しちゃったの!?

「勝手にスプラッタ死体にしないでくれっす。生きてるっすよ。ゲプゥ」
「えっ?」

 天井から陽気な声がふってくる。
 わたしたちは、顔を上にあげた。


感想いただけると嬉しいです(完全匿名・全角1000文字まで)



「総選挙結果出ましたね。自民党圧勝」
まあ、小泉さんには勝てっこないでしょう。
見えた結果でした。
「選挙、行かれたんですか」
行くわけないですよ、選挙権ないのに。
行けたって、こんな勝負の見えた選挙なんかに行くほど物好きじゃないです。
とりあえず、野党の面々は目先の反体制みたいなせこせこした真似は止めなさいと言いたいです。
「どーしよーもないですよねえ。あの人たち、本当に与党狙うなら、兵法から勉強した方がいいんじゃないですか?」
丸見えの地雷原に突っ込んでいくようなものですよね。
まあ、こんなところでTVタックルやっても誰も興味ないでしょうから選挙の話はこの辺で。
正直、民主党の誰かあたりに意見書叩き込んでやろうかと思いましたが、某Mさんの所の記事見て諦め。
皆さん、人の話真面目に聞く議員は鈴木宗雄先生だけです。

さてさて、興ざめな選挙より、もっと重大発表があるのです。
「えっ、そんなの聞いてませんけど。あっ、ひょっとして朝青龍関を、IT力士さんが破ったことですか?」
な、なんかえらく濃い話題を。
まあ、確かに勝負の見えた選挙より、あの最強横綱破った普天王関の大金星の方が確実に面白いですね。
って、そうじゃなくて!
「ああ、はいはい。で、なんですか?」

祝☆ぱうすの第二期完結!

「待った待った待った、待ってください」
はい?
「おかしいじゃないですか」
何が?
「↑見る限り、どう見ても完結してませんよ!」
いや、手持ちのメモでは既に完結。
「うわ……こっそり書き溜めしてたんですか? 更新さぼっといて」
いや、分かりませんか?
書き溜め使い切ったら、なんか心理的に追い詰められるような気がするじゃないですか。
「わかるような分からないような……とにかく、これで残りの更新はスムーズってことですね?」
……さあ?
「さあ!?」
ん、まあ、そういうのは、個々の努力でどうにかなっていくんじゃないかな、と。
「個々って、他に誰がいるんですか……?」
歴史は王が作るものだと言います。
ですが!
こういう趣味のSSは作者と読者で作っていくものだと、思うのです。
「もう、最後何言ってるんだか滅茶苦茶です。コメント送信、打ち切り希望っと」
うわ、トドメ刺しにきたよこの人。


(魔法処女リンク)ただいま魔法少女やってます!→Snowy Piece / Project HH / SSS
※最近魔法少女始めた方は連絡下さい。第二期の間中同志として宣伝しますー。
【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                    ☆     27     ☆
「待った、なゆき」
「えっ?」
 氷のカベにどいてもらおうとして手を出すと、ぴろちゃんに止められた。
「その氷、溶かすこと出来るか?」
 とかす?
「うーん、『とかす』のも『どかす』のもやったことないからわからないよ」
「ふむ。なら、とかす方で試してくれへんか」
 どうして? ってきこうとすると、ぴろちゃんは右手を口に当ててシーッってする。
「ちょい耳貸し」
「う、うん」
 ぴろちゃんを抱き上げて、耳の横に口を持ってくる。
 おひげが耳をさわさわしてくすぐったいかも。

 ごにょごにょごにょ。
「で、でも、そんなことしたらあの子が。それにわたしたちも」
「いや、それは……」
 ごにょごにょ。
「ほんとにやれるの?」
「大丈夫や。それくらいの力なら残っとる」

 ぴろちゃんが教えてくれたのは、モールドさんを倒す作戦だった。
 それと……新しい魔法の呪文と名前。

「ヲイヲイ、いつまで隠れてんだ? 出られるってのは聞こえてるんだぞ。おら、出てコイヨ。ダルマ落とし砲、もう一度くれてやるヨー」

 外からモールドさんのイライラした声がする。
 そっか、モールドさん耳がいいんだ。
 だから、作戦聞かれないようにコソコソ話で……。

「うっさいやっちゃな。今、正面から出てったるわい」
「やるよ、ぴろちゃん」

 失敗したらアウト。
 チャンスは一回きり。
 ぐっと手をにぎって、おなかに力を入れる。
 うん、ふぁいとっ。

「やれ、なゆき。それが出来んことには始まらへん」
「うんっ」

 目の前に氷のカベに手を当てる。
 わたし達を守ってくれてありがとう。
 そして、もうちょっとだけ手伝って!

「あふれて、霜の巨人さん!」

 ピカッと熱い光が手から出て、氷につたっていく。
 光に包まれた氷は、次の瞬間、ざっばーんと水になってわたしの足首のところまでお部屋を水びたしにした。
 足の方はぬれたけど、顔はだいじょうぶ。
 目は開けてられる。
 ぴろちゃんが、念力で顔のまわりをおおってくれてたから。

「ウエッ、ウエッ、ウエッ、待ってたヨー。ダルマ落とし砲……もういーや。メンドクセー、全部いっちまえ、ヒャッハー!」

 わたしたちを守ってる前の氷をとかした。
 だから、モールドさんはそこに攻撃してくる。
 うん、ぴろちゃんの予想したとおり。
 机が浮いてたって、植木ばちが飛んできたって、タンスの棚が飛んできたってこわくない。
 飛んでくるのは前からだけ。
 それに、わたしには心強い味方がついてるもん。

「来るで、なゆき!」
「うんっ」

 床に手をつく。

「立って、霜の巨人さん!」

 手にあったかくて、心強い力を感じる。
 わたしのまわりの粉雪さんたちが、たくさんふわふわ飛んではげましてくれてる。
 これが、わたしの新しい魔法――

「ぴらーおぶふろすと!」

 どんっ! って音といっしょに、今までで一番の大きさの氷の柱が目の前にできた。
 わたし達に飛んできていた机とかは……。
「あ、あはは、これって結果オーライかな?」
「ま、まあ、ええんとちゃうか。もう少しであの子のベッドも氷づけやったけど」
「うっ、だって思いっきりやれって……」
「力のコントロールに難あり、か」
「うにゅう」
 柱の中で完全にかちんこちんになってしまってる机とか植木ばちとかタンスの棚とか。
 家具の水族館みたい……。
「しかし、なんちゅうケタ外れの妖力量しとんねん。なゆきのレベルでここまでやったら、普通バテるで。ワイみたいに」
「そうなの?」
 手と足を見てみる。
 うーん、さっきから飛んだり転がったりしてるからちょっとつかれてるかな?
「やっぱジョギングで鍛えられとんのやろうかなあ」
「ぴろちゃんもジョギングする?」
「いや、ワイのガス欠はそういう問題やないから……まあ、した方が少しは変わるんかなあ。猫がジョギングっちゅうのも変やけど」

 ガンガンガン!
 ガリガリガリ!

「ウラァ! 何のマネだ! オイラに失礼だぞ。ああ、怖いんすね? こんな甲羅にこもってオマエら亀か? マ・サ・ニ、手も足も出ない! オイラの勝ち!? ウヒャハアアアッ!」

 ガンガンガン!
 ガリガリガリ!

「怒ってるのか、よろこんでるのかどっちかなあ?」
「それ以前にロレツが回っとらんぞ。ワケ分からん」

 顔を見合わせながら、うにゅうな顔のわたしたち。

「まあ、このまま暴れさせとくわけにもいかんやろ。アイツが暴れるだけ、寄生されとるあの子の命が吸われるんやからな」
 そうだよね、ここまできたんだからやらなきゃ。
「次でケリを付けるで、なゆき。ふぁいとっ、や」
「うんっ。ふぁいとっ、だよ」


感想いただけると嬉しいです(完全匿名・全角1000文字まで)



「どうしたんですか? 随分間空きましたけど」
いや、その……TOP文が思いつかずズルズルと(汗)
「そして思いつかないまま更新。グダグダですねえ」
ゴメンナサイ。


【コメントレス】
 気温30℃で湿度80%なら水蒸気量は約27.2グラム/立方メートル、−5℃の飽和水蒸気量は3.4グラム/立方メートル。なので、このような温度変化によって空気1立方メートルから23.8グラムの水蒸気が取り出せるそうです。
 低血圧そうな彼女の事ですから、辺りの気圧を低下させて断熱膨張による冷却で液化させてるのかも。うーん、ファンタスティック。

 −Mumuriku−

『さまふぇすっ!』4位の人に論理爆弾を投下されましたっ!


はじめまして!
エルラさんの描くなゆちゃんは、一見ぽけぽけしてるんだけど本当はしっかりしてて、可愛くて、大大大好きです。

ありがとうございますー。
個人的にぱうすのは面白いのかどうなのか、自分ではよく分からないのです。
なので、どんな形でもコメントいただけるのが本当に嬉しいのですよ。
いや、もちろん褒めてもらえる方が嬉しいですけどね(笑)


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                    ☆     26     ☆
「いくよー」
「おう、思いっきりガリガリやったれ」
 指におもいっきり力をいれて。

 ガリガリガリ――

 十円玉がバターになりそうなくらいに、強くこすってみる。
 でも、カベにはぜんぜんキズなんかつかない。
「ダメだよ。やっぱりこんなのじゃムリ」
「いや、それでええ。予想通りや」
 はうう、って感じでぴろちゃんの方を見ると、ぴろちゃんは満足そうにうなづいてる。
「どういうことなの?」
「おかしいやないか。明らかに削れる音しとるのに、傷が付かへんなんて」
「えっ?」
 じーっと氷のカベを見てみる。
 そういえば、手ごたえはあったのに、ぜんぜん……。
「ほんとだ。キズがない。でも、どうして?」
「この頑丈な氷、氷を圧縮してガチガチにしたんかと思ってたんやけど、そうやないみたいやな。正真正銘ただの氷や」
「ごめん、ぴろちゃんもうちょっと分かりやすく……」
「説明しがいのないやっちゃなあ」
 ううっ、ぴろちゃんがため息つく理由はよくわかるけど、分からないものは分からないんだよー。
「この氷、傷ついても瞬時に再生しとるんや。やから、傷を付けても、それが見えへんね。付けた瞬間に元通りになっとるからな」
「それで、この氷じょうぶなんだ」
「感心しとるバヤイか、なゆき」
「えっ?」
「何かおかしい思わへんのか?」
「なにが?」
「ただの氷にそんな再生能力あると思うか?」
「ないよね?」
「まだわからんのか?」
 ……なんだか、すっごくあきれた目で見られてる気がする。
 必死にどういうことなのか考えてみるけど、やっぱりわからない。
 しかたないので、首をふるふる横にふった。
「つまりな……」
「うん」
「なゆきが氷にそうさせとんや!」
 えっ?
 わたし……?

 ――お願い、力をかして!

 あっ。
 あっ、あっ。
「あーーっ!」
「ようやく気付いたか、この鈍ちん」
 そうだったよ。
 わたしが、粉雪さんたちに絶対こわれない何かを作ってってたのんでたんだ。
「じゃあ、このカベって……」
「なゆきが『溶けろ』とか『消えろ』て作ったときと同じくらい強く念じたら、溶けたり消えたりするやろな。この壁維持しとるのなゆきの力やし」
 ってことは……。
「自分の力使って、死にたくもないくせに自殺装置守り続けてたってことやな。こんなマヌケはじめて見たわ」
「はううっ!」
 トドメにマヌケって言われたー。
 なんだか情けなくて涙が出てくる。
「そんなこと言ったって、わたしこの前までふつうの女の子だったんだもん」
「ふつう……か?」
「うっ。それは、その、ちょっとはどんくさいかもしれないけど……」
「ちょっと、なあ……。認めたのは立派やけど、素直に『壊滅的に鈍くさい』ってとこまで認めたほうがええんとちゃうか?」
 ぴろちゃんのいじわる。
 そこまで言わなくても……うー、今回のは言われても言い返せないよ。
 うにゅう。
「ちょっといじめ過ぎたか、すまん」
「ううん、いいよ。わたし、もっとしっかりしなきゃ」
「そういう前向きなとこは……大人よりも一人前なんやけどなあ」
「えっ?」
「いや、何でもない。やっぱ、なゆきは将来きっと素敵な子になるやろなって。がんばりや」
 なんだかよく分からないけど、にこにこしてるぴろちゃんの顔を見てると、わたしもうれしくなってくる。
 だから、わたしはおっきくうなづいた。

「うんっ」

 って、なんだか少し息が苦しくなってきたかも。
 はやく、粉雪さんたちにこの氷作るのやめてもらわないと。
 目の前の氷に手をあてて、心の中で強く思う。
 『ありがとう、もういいよ』って。


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なゆきも随分変わったなあ……。
「どうかしたんですか? いまにも逝っちゃいそうな目をして」
遠い目って言え(汗)
雪ん子名雪も変わったなあって、書いてて思ったのです。
以前はキン肉マン以上のヘタレが特徴の、ドライアイス食べられるくらいしか能がなかった妖怪娘だったのに、いつの間にこんなに強くなったのか。
というか、旧作は名雪(大)だったからこれじゃ退化したことに……。
「えっ? 昔は弱かったんですか?」
ああ、いえ、モデルになってる『名雪覚醒2』って黒歴史での名雪です。
舞と香里がべらぼうに強くて、戦闘力的にも名雪はその半分以下。
タイトルに名前入ってるくせに名雪はほとんどお荷物という。
ていうか、名雪寝まくりでよく分からないうちに事件も終わってるし。
「うわー、凄い役立たずっぷり。よくそんなクソ二次創作書けましたね
なんか、今日の葱たん毒きつい……。
でも、夜中に学校引っ張り出されてたんだから眠いのは仕方ないような気も。
それに、カップルの祐一も名雪に負けず劣らずの役立たずでしたし……。
「それは言い訳どころか、余計ダメっぷりを広げてると思います」
うぐぅ。
まあ、若気の至りってことで(汗)
今のぱうすののなゆきは、黒歴史でのパーフェクト名雪と既に同等以上の力を持ってます。
性格は、まだちょっとお荷物気味ですけど、第三期、第四期を作ることになったらどんどん自発的な性格にして、成長させてあげたいですね。
「第三期、第四期って、これまだ続くんですか?」
構想だけは一応。
最後の原作に繋がる締めくくりもまとまってます。
あとは書く時間と気力だけの問題。
「へー、もっと無計画・無軌道な人だと思ってました」
やかましい。
「で、最終的には第何期で終わるんですか?」
んー、多くなって第十期かな?
多分、一番長いのは今期だと思いますけど。途中で切るべきだった。
そしたら休めたのに。
「そんなので書く気はあるんでしょうか……?」
ありますよー。
黒歴史をマトモにリボーンするってことで、どうせならヤツもリボーンしてみたいですから。
「ヤツって、ここの管理人の長編とか短編で暴れ回ってる、『にこにこ』と『にこー』の人ですか?」
いや、確かにソレも『ヤツ』だけど……。
つーか、既に出てるでしょうが! 今期で。
「いえ、今回の妖怪倒したら『ここからが本番です』とかいって、本性現すんじゃないかとばかり」
……栞ならやりかねないなあ。

「ところでヤツってほんとは誰なんですか?」
ぴろが第一期で寝言で言ってる『グレイ』がヒントです。
そこまでして知りたい人いないでしょうけど、『名雪覚醒2』か『戦闘野郎』を見れば、どんなヤツかは分かると思います。
どっちかというと、やつぎさんがリボーンしてくれた後者のほうがかっこいいので、見るならそっち希望。



【コメントレス】
どうも、電光刑事バンです。

なゆきピ〜ンチ!
そのときぴろはどうするのか?
次回へ続く…

う〜ん、続きが気になる…

それはともかくとして、アレだけの水分をどこから持ってきたのか?
私の自作のカノンファンタジーですが、そこの名雪は氷の魔法で龍を作って攻撃させる、と言う設定がしてあります。
それをするために周囲の大気から酸素と水素を結合させて水分を作るわけです。その際に電気が発生しますから、それを使って雷撃が出来るって事になってます。
まあ、病人の部屋なので加湿器が置いてあり、その湿気を利用した、とか後付けで設定はいくらでも組めます。

アニメにしたら何話分か。一般的に三十分モノのアニメなら、一話あたりの容量は30〜40KBと言われています。
100KBですと、二話か三話ぐらいにしかなりませんね。
ちなみにテレビアニメですと、ワンクールで13話作る必要があります。

それでは。

どうもです。
期待に添えなくてすみませんが、彼は何もしません(汗)
これはあくまでなゆきの魔法少女物語。
ぴろはシニアディレクターマスコットの域を出ちゃいけないと思うのです。

んで、魔法は細かい理屈書いたって面白くないのでほってますが、なゆきをはじめとする妖怪たちの力は幽界とか魔界とかそういった別世界にある半無限の資源を呼び出す力だと考えてます。
ベルセルクのシールケや、キルバーンのダイヤ9に似た物、ってことになりますね。
でも、ぶっちゃけ魔法は愛と想いの力、それでいいと思います(ぇ)

>100KBですと、二話か三話ぐらいにしかなりませんね
むしろ、一期一話分くらいって考えて書いてるのに、三話分くらいになってたら泣きたいんですが(汗)
そっか、もう一期と合わせてアニメ五話分以上いってるのか……。
一つの敵に手間取るこの初期の運び……魔法少女というよりクウガとかアギトだ……。


>安地
 割と有名だと思ってました……環境って怖いですね(何)

>R−typeのフォース
 思わずググってしまいました(汗)
 オプションみたいなやつですかー(時代遅れ)
 これで拮抗するほどの攻撃力を持つラスボスが登場するのですか、楽しみです(笑)

>水分
 それだけなら、陽子数だけで考えれば鉄原子から2.6倍の水原子が、しかも六角構造を取るのでおよそ1.1倍(確か)ほど体積が増えるので、取るだけなら周りから色んな物質を……。
 ――あれ、それを突き詰めると新たに氷を生み出してその材料として氷か床か天井を使えば脱出が可n(ry(それより問題は熱量保存なんですが)

 そういえば、大人気なものを素直に買ったのはKanonと東方くらいかもしれない……(だからそれはやってません)

えっと、実はぱうすのにはラスボスいません。
最強の敵って意味でのラスボスはいますが、構想上の最後の一期はバトル無しなので。
エンディングとは違って、そっちがなゆきに課される正真正銘の試練となってます。
サブタイは『それでもわたしはなゆきだから』。
書きたいな……書けるかな……書けたらいいなあ(段々ダメになっていく気力)

>陽子数だけで考えれば鉄原子から2.6倍の水原子が
うぐぅ、『さまふぇすっ!』のMumurikuさんといい、なんでそんな難しい話を(苦笑)


追伸:

 それと、知っていたら教えてほしいのですが……祐一が最初からあゆの事を覚えてるSSってありますか?
 そういえば読んだことがないなあと思いまして。

 あと、遅れましたが100KB越えおめでとうございます。
 だから、傷一つ付かないのに「ガリガリ」とか音立ててるのは何故だとか突っ込まないことにします。

ゆう

ガリガリのツッコミは大当たり。
それがポイントでした。
元ネタは旧エクブレのオシリスの装甲

>それと、知っていたら教えてほしいのですが……祐一が最初からあゆの事を覚えてるSSってありますか?
『あの忘れえぬ華の音』ってSSがお探しのものかと。
ただ、なんか移転したらしくて検索には引っかかりません。
フジオカさんのSS捜索隊あたりででも訊いてみてください。
ていうか、僕に訊くよりそっちでスレッド立てたほうが早い話題でもあると思いますが(笑)


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「いくよー」
「おう、思いっきりガリガリやったれ」
 指におもいっきり力をいれて。

 ガリガリガリ――

 十円玉がバターになりそうなくらいに、強くこすってみる。
 でも、カベにはぜんぜんキズなんかつかない。
「ダメだよ。やっぱりこんなのじゃムリ」
「いや、それでええ。予想通りや」
 はうう、って感じでぴろちゃんの方を見ると、ぴろちゃんは満足そうにうなづいてる。
「どういうことなの?」
「おかしいやないか。明らかに削れる音しとるのに、傷が付かへんなんて」
「えっ?」
 じーっと氷のカベを見てみる。
 そういえば、手ごたえはあったのに、ぜんぜん……。
「ほんとだ。キズがない。でも、どうして?」
「この頑丈な氷、氷を圧縮してガチガチにしたんかと思ってたんやけど、そうやないみたいやな。正真正銘ただの氷や」
「ごめん、ぴろちゃんもうちょっと分かりやすく……」
「説明しがいのないやっちゃなあ」
 ううっ、ぴろちゃんがため息つく理由はよくわかるけど、分からないものは分からないんだよー。
「この氷、傷ついても瞬時に再生しとるんや。やから、傷を付けても、それが見えへんね。付けた瞬間に元通りになっとるからな」
「それで、この氷じょうぶなんだ」
「感心しとるバヤイか、なゆき」
「えっ?」
「何かおかしい思わへんのか?」
「なにが?」
「ただの氷にそんな再生能力あると思うか?」
「ないよね?」
「まだわからんのか?」
 ……なんだか、すっごくあきれた目で見られてる気がする。
 必死にどういうことなのか考えてみるけど、やっぱりわからない。
 しかたないので、首をふるふる横にふった。
「つまりな……」
「うん」
「なゆきが氷にそうさせとんや!」
 えっ?
 わたし……?

 ――お願い、力をかして!

 あっ。
 あっ、あっ。
「あーーっ!」
「ようやく気付いたか、この鈍ちん」
 そうだったよ。
 わたしが、粉雪さんたちに絶対こわれない何かを作ってってたのんでたんだ。
「じゃあ、このカベって……」
「なゆきが『溶けろ』とか『消えろ』て作ったときと同じくらい強く念じたら、溶けたり消えたりするやろな。この壁維持しとるのなゆきの力やし」
 ってことは……。
「自分の力使って、死にたくもないくせに自殺装置守り続けてたってことやな。こんなマヌケはじめて見たわ」
「はううっ!」
 トドメにマヌケって言われたー。
 なんだか情けなくて涙が出てくる。
「そんなこと言ったって、わたしこの前までふつうの女の子だったんだもん」
「ふつう……か?」
「うっ。それは、その、ちょっとはどんくさいかもしれないけど……」
「ちょっと、なあ……。認めたのは立派やけど、素直に『壊滅的に鈍くさい』ってとこまで認めたほうがええんとちゃうか?」
 ぴろちゃんのいじわる。
 そこまで言わなくても……うー、今回のは言われても言い返せないよ。
 うにゅう。
「ちょっといじめ過ぎたか、すまん」
「ううん、いいよ。わたし、もっとしっかりしなきゃ」
「そういう前向きなとこは……大人よりも一人前なんやけどなあ」
「えっ?」
「いや、何でもない。やっぱ、なゆきは将来きっと素敵な子になるやろなって。がんばりや」
 なんだかよく分からないけど、にこにこしてるぴろちゃんの顔を見てると、わたしもうれしくなってくる。
 だから、わたしはおっきくうなづいた。

「うんっ」

 って、なんだか少し息が苦しくなってきたかも。
 はやく、粉雪さんたちにこの氷作るのやめてもらわないと。
 目の前の氷に手をあてて、心の中で強く思う。
 『ありがとう、もういいよ』って。


感想いただけると嬉しいです(完全匿名・全角1000文字まで)



なゆきも随分変わったなあ……。
「どうかしたんですか? いまにも逝っちゃいそうな目をして」
遠い目って言え(汗)
雪ん子名雪も変わったなあって、書いてて思ったのです。
以前はキン肉マン以上のヘタレが特徴の、ドライアイス食べられるくらいしか能がなかった妖怪娘だったのに、いつの間にこんなに強くなったのか。
というか、旧作は名雪(大)だったからこれじゃ退化したことに……。
「えっ? 昔は弱かったんですか?」
ああ、いえ、モデルになってる『名雪覚醒2』って黒歴史での名雪です。
舞と香里がべらぼうに強くて、戦闘力的にも名雪はその半分以下。
タイトルに名前入ってるくせに名雪はほとんどお荷物という。
ていうか、名雪寝まくりでよく分からないうちに事件も終わってるし。
「うわー、凄い役立たずっぷり。よくそんなクソ二次創作書けましたね
なんか、今日の葱たん毒きつい……。
でも、夜中に学校引っ張り出されてたんだから眠いのは仕方ないような気も。
それに、カップルの祐一も名雪に負けず劣らずの役立たずでしたし……。
「それは言い訳どころか、余計ダメっぷりを広げてると思います」
うぐぅ。
まあ、若気の至りってことで(汗)
今のぱうすののなゆきは、黒歴史でのパーフェクト名雪と既に同等以上の力を持ってます。
性格は、まだちょっとお荷物気味ですけど、第三期、第四期を作ることになったらどんどん自発的な性格にして、成長させてあげたいですね。
「第三期、第四期って、これまだ続くんですか?」
構想だけは一応。
最後の原作に繋がる締めくくりもまとまってます。
あとは書く時間と気力だけの問題。
「へー、もっと無計画・無軌道な人だと思ってました」
やかましい。
「で、最終的には第何期で終わるんですか?」
んー、多くなって第十期かな?
多分、一番長いのは今期だと思いますけど。途中で切るべきだった。
そしたら休めたのに。
「そんなので書く気はあるんでしょうか……?」
ありますよー。
黒歴史をマトモにリボーンするってことで、どうせならヤツもリボーンしてみたいですから。
「ヤツって、ここの管理人の長編とか短編で暴れ回ってる、『にこにこ』と『にこー』の人ですか?」
いや、確かにソレも『ヤツ』だけど……。
つーか、既に出てるでしょうが! 今期で。
「いえ、今回の妖怪倒したら『ここからが本番です』とかいって、本性現すんじゃないかとばかり」
……栞ならやりかねないなあ。

「ところでヤツってほんとは誰なんですか?」
ぴろが第一期で寝言で言ってる『グレイ』がヒントです。
そこまでして知りたい人いないでしょうけど、『名雪覚醒2』か『戦闘野郎』を見れば、どんなヤツかは分かると思います。
どっちかというと、やつぎさんがリボーンしてくれた後者のほうがかっこいいので、見るならそっち希望。



【コメントレス】
どうも、電光刑事バンです。

なゆきピ〜ンチ!
そのときぴろはどうするのか?
次回へ続く…

う〜ん、続きが気になる…

それはともかくとして、アレだけの水分をどこから持ってきたのか?
私の自作のカノンファンタジーですが、そこの名雪は氷の魔法で龍を作って攻撃させる、と言う設定がしてあります。
それをするために周囲の大気から酸素と水素を結合させて水分を作るわけです。その際に電気が発生しますから、それを使って雷撃が出来るって事になってます。
まあ、病人の部屋なので加湿器が置いてあり、その湿気を利用した、とか後付けで設定はいくらでも組めます。

アニメにしたら何話分か。一般的に三十分モノのアニメなら、一話あたりの容量は30〜40KBと言われています。
100KBですと、二話か三話ぐらいにしかなりませんね。
ちなみにテレビアニメですと、ワンクールで13話作る必要があります。

それでは。

どうもです。
期待に添えなくてすみませんが、彼は何もしません(汗)
これはあくまでなゆきの魔法少女物語。
ぴろはシニアディレクターマスコットの域を出ちゃいけないと思うのです。

んで、魔法は細かい理屈書いたって面白くないのでほってますが、なゆきをはじめとする妖怪たちの力は幽界とか魔界とかそういった別世界にある半無限の資源を呼び出す力だと考えてます。
ベルセルクのシールケや、キルバーンのダイヤ9に似た物、ってことになりますね。
でも、ぶっちゃけ魔法は愛と想いの力、それでいいと思います(ぇ)

>100KBですと、二話か三話ぐらいにしかなりませんね
むしろ、一期一話分くらいって考えて書いてるのに、三話分くらいになってたら泣きたいんですが(汗)
そっか、もう一期と合わせてアニメ五話分以上いってるのか……。
一つの敵に手間取るこの初期の運び……魔法少女というよりクウガとかアギトだ……。


>安地
 割と有名だと思ってました……環境って怖いですね(何)

>R−typeのフォース
 思わずググってしまいました(汗)
 オプションみたいなやつですかー(時代遅れ)
 これで拮抗するほどの攻撃力を持つラスボスが登場するのですか、楽しみです(笑)

>水分
 それだけなら、陽子数だけで考えれば鉄原子から2.6倍の水原子が、しかも六角構造を取るのでおよそ1.1倍(確か)ほど体積が増えるので、取るだけなら周りから色んな物質を……。
 ――あれ、それを突き詰めると新たに氷を生み出してその材料として氷か床か天井を使えば脱出が可n(ry(それより問題は熱量保存なんですが)

 そういえば、大人気なものを素直に買ったのはKanonと東方くらいかもしれない……(だからそれはやってません)

えっと、実はぱうすのにはラスボスいません。
最強の敵って意味でのラスボスはいますが、構想上の最後の一期はバトル無しなので。
エンディングとは違って、そっちがなゆきに課される正真正銘の試練となってます。
サブタイは『それでもわたしはなゆきだから』。
書きたいな……書けるかな……書けたらいいなあ(段々ダメになっていく気力)

>陽子数だけで考えれば鉄原子から2.6倍の水原子が
うぐぅ、『さまふぇすっ!』のMumurikuさんといい、なんでそんな難しい話を(苦笑)


追伸:

 それと、知っていたら教えてほしいのですが……祐一が最初からあゆの事を覚えてるSSってありますか?
 そういえば読んだことがないなあと思いまして。

 あと、遅れましたが100KB越えおめでとうございます。
 だから、傷一つ付かないのに「ガリガリ」とか音立ててるのは何故だとか突っ込まないことにします。

ゆう

ガリガリのツッコミは大当たり。
それがポイントでした。
元ネタは旧エクブレのオシリスの装甲

>それと、知っていたら教えてほしいのですが……祐一が最初からあゆの事を覚えてるSSってありますか?
『あの忘れえぬ華の音』ってSSがお探しのものかと。
ただ、なんか移転したらしくて検索には引っかかりません。
フジオカさんのSS捜索隊あたりででも訊いてみてください。
ていうか、僕に訊くよりそっちでスレッド立てたほうが早い話題でもあると思いますが(笑)


(魔法処女リンク)ただいま魔法少女やってます!→Snowy Piece / Project HH / SSS
※最近魔法少女始めた方は連絡下さい。第二期の間中同志として宣伝しますー。
【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                    ☆     25     ☆
「どうにかできへんのか、この氷」
「わからないよ、そんなこと言われても」
 はじめてやったことだし、わたし雪ん子さんだから火を出すのもムリ。
 何かないかな……。
 ごそごそとポケットの中をしらべてみる。
 ランドセルは玄関においてきたから、持ってない。
「えっと……ハンカチとティッシュならあるけど」
「どないすんねん、そんなもん」
 どうするんだろ? うーん。

 キュッキュッキュッ――

「氷磨いとる場合か、このアホォ!」
「いたっ!」
 たん、たん、たん、と氷をけって、頭の上からぴろちゃんの飛びげりが脳天直撃。
 うう、こんなのねこさんのやることじゃないよ〜。

 チャリン――

「あれ?」
「ん?」
 何かが床に落ちた。
 これって……十円玉?
「なんや、それ? なんでそんなん一枚だけ持っとるねん」
「えーっと、多分何かあったときに公衆電話で使えるようにってお母さんがわたしてくれた十円玉だと思うけど」
 おかしいなあ。
 さっきポケットしらべた時はなかったのに。
 あっ、そうか。ポケットティッシュの間にはさまってたのかも。
「ふむ。せやけど、ここ公衆電話なんかない密室やし、意味ないなあ」
「そんなことないよ。だって、十円玉だよ」
「なにがだってやねん……。そんな十円玉で何するっちゅうんや」
 もうっ、ぴろちゃんのいじわる。
 十円玉は銅でできてるから、いま持ってるものの中では一番かたいんだよ。
 だから……。

 ガリガリガリ――

「こないに分厚い氷に十円パンチしてどないすんねん、このドアホ!」
「あいたっ!」
 今度は三角とび回転キック。持ってた十円玉がちゃりーんと床に落ちた。
 ううっ、もうねこさんのかけらもないよー。
 だいたい、何でこんなにけとばされなきゃいけないの?
 そう考えると、ちょっと腹が立った。
「ぴろちゃん!」
「な、なんや!?」
 びくっと、体をふるわせておすわりするぴろちゃん。
 うにゅ、なんだか弱いものいじめしてるみたい。
 ぴろちゃん体重軽いし、いきなり飛んでくるからびっくりしただけで、ほんとはあんまり痛くないんだよね。
 うん、やっぱり怒るのやめとこう。
「ううん、やっぱりいい」
「む、なんや、怒ったと思たらいきなりションボリしおって……うっ」
 複雑な顔をしてわたしを見ていたぴろちゃんが、またさっきみたいにぺたんと横に倒れた。
 あわてて、ぴろちゃんをだきあげる。
 な、なにこれ? ぴろちゃん、ふるえてる?
「ぴろちゃん! ぴろちゃん!」
「騒ぐな……。ちょいとばかし疲れただけや。催眠術とか、イスぶっ壊したりで力使いすぎた。電池切れみたいなもんや」
「でも、でも……なんだか体がつめたいよ。だいじょうぶなの!?」
「大丈夫や。一晩寝とれば回復するやろ。それに、こんな天然冷房の中におったら体も冷えるわ」
 そう言って、ぴろちゃんはだるそうにまわりを見まわした。
 まわりには、ぶあつい氷のカベ。
「もっとも、このままやったら一晩待たずに窒息してまうやろうけどな」
 ううっ、そうだったよ。
「でも、どうしようもないよ。このカベ、十円玉でもキズ一つつかないもん」
「まったく、なんでそないなもん隙間なく四方向に作るねん。少し穴開けときゃよかったやないか」
「だって、だって……」
 あわててたからそんなの考えられなかったんだよー。
 でも、それで死にそうになってるわたしって……すっごいおマヌケ?
「やれやれ。このままこうしとっても埒開かん。なゆき、ワイ降ろしてんか。この壁破壊するさかい」
「えっ? でも、ぴろちゃん疲れてたんじゃ」
「本当の姿になったらこんなんなんてことないわい。まあ……なゆきを助けるためやったらおてんと様も許してくれるやろ」
 それって、どういうこと?
 そう思う間もなく、ぴろちゃんはわたしの手から飛び下りていた。
「なゆき、目ぇつぶっといてや。ワイのほんとの姿……なゆきには見られとうない」
「えっ、えっ? ぴろちゃん……?」
 悲しそうに後ろをふり返りながらそう言ったぴろちゃんの目には、涙が見えたんだよ。
 ごうっと、ぴろちゃんの体からふきだす、黒くて焼けそうな力の流れ。
 いったい、ぴろちゃんどうなっちゃうの!?

「ん、待てよ」

 と、思ったら、ぴろちゃんから出る怖い感じがふっと消えた。
 ふり返ったぴろちゃんは……やさしそうなねこさんの顔をしている。
 よかった。いつものかわいいぴろちゃんだよ。
「なゆき。さっき、十円パンチ氷にかましてたよな」
「十円パンチって、これ?」

 ガリガリガリ――

「せや、それ。車なんかにやったらあかんで。ヤーさんの車にやったら命ないと思いや」
「そんなことしないよっ!」
「十円玉いきなりそないなことに使うあたり、ワルになれる素質はあると思うけどなあ……」
「ならないから」
「わかったわかった。睨まんでもええやろ。それはともかく、ちょいワイ抱いてくれんか」
「うん」
 よく分からないけど、ぴろちゃんを抱いてあげる。
 ついでに、なんとなくのどのところをなでなで。こうするとねこさんは喜ぶんだよね。
「うにゃー、そこやそこや、気持ちええにゃ〜……って、ゴルァ! 何やらせとるねん!」
「わっ、ごめんー。……気持ちよさそうだったのに」
「うっ、それは否定せんが……いや、そうやなくて状況を考えんかい」
 うん、わかってるよ。
 でも、ぴろちゃん、なんだかまだトゲトゲしてたし、いつものねこさんに戻ってほしかったから。
「とりあえず、ワイの前でもう一度氷ひっかいてみてくれ。思いっきりな」
「うん。いいけど、何か意味があるの?」
「意味があるかどうかを今から確かめるんや。ほれ、こんなとこで窒息したないやろ。早くせえ」


 どういうことなんだろう?
 でも、ぴろちゃんの声は何だか心強い。
 きっと、何かわかったんだ。
 うん。信じてるよ、ぴろちゃん。


感想いただけると嬉しいです(完全匿名・全角1000文字まで)



さて、ぱうすのそろそろ大詰めー。
「長かったですねえ」
もう100KB越えてます……。
終わったらしばらくは休みたいかも。
「途中で切った方がよかったんじゃないですか?」
ですねえ。
いったいこれアニメにしたら何話分になるのやら(汗)


【コメントレス】
>安地
 安全地帯、の略です(笑) シューティング用語ですね。
 つまり、そこまで肉薄した戦いはなかったかもー、っていう。

>氷の壁
 うちのはどちらかというと低温にするだけなので、遮蔽能力も風で押せる程度の能力しかありません。
 そんな頑丈じゃないんですよー。
 もしかしたら、本当に盾くらいにはなるかも知れませんが。

>バリア張って自滅
 氷が透明って事は表面が濡れてるってことだから……とか物理的に考えちゃあ負けですよね?(笑)

ああ、シューティング用語ですか。
最近はIT用語とかたくさんでタイヘンです(ぇ)

>氷の壁
うちは、R−typeのフォース以上でないと後々困るのです(何)

>物理的
……に考えるとどうなるんだろうとか、そう言われると気になります。
まあ、某突き秘めの空想具現化に近い能力なので、物理も何もあったもんじゃないですけど(笑)
だって、そもそもこれだけ大量の氷になる水分どこから持ってきたのかとか、表面がぬれてるとか以前の大問題があります。


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                    ☆     24     ☆
 ジャンプは間に合わない。
 足を折ってのばしきる前にタンスの棚が来る。
 しゃがむのが精一杯。
 でも、タンスの棚は足元にも飛んでくる。
 だったら、だったら……さっきのぴろちゃんみたいに壊すかそらすかするしかない!
 反射的に体が動いていた。
 地面に手をついて、まわりをただよう粉雪さんたちに呼びかける。

 ――お願い、力をかして!

 その瞬間、まわりが光に包まれた。
 ちがう、これ……輝いてるカベ?
 その輝きの目の前で、ガンガンガンって激しい音がした。
 よく見ると、輝くカベの向こうでタンスの棚が全部はね返されていた。
 ひょっとして、このキレイなカベって……。

 コンコン。

 ちょっと握り拳でノックしてみる。
 固くて……冷たい。
 ひょっとしてこれって……。
「たまげたな、こんなもん作れるんかなゆきは」
「あ、ぴろちゃん」
 気がつくと、足元に下りてたぴろちゃんが輝くカベをさわって感心してる。
「凄い密度で固められた氷の柱やな。こら、大砲でも壊せへんかも。まるでダイヤモンドや」
「うん、びっくり」
 地面から出てきた、四つの氷の柱がわたし達のまわりを囲んでいる。
 とても太くて頑丈だけど、ガラスみたいに透き通ってるのに、なんだかキラキラ輝いててとってもキレイな柱。
 粉雪さんたち、守ってくれたんだ。

 ガン! ガン! ガン!
 ガリガリガリ……!

 氷の外から、モノをぶつける音と、ひっかく音が聞こえてくる。
「ヒキョウだぞ! 出てコイ!」
 それと、モールドさんの怒った声も。
「卑怯はどっちやねん。人質取っといてからに」
「……うん」
 とりあえず、ここに入ってれば安全かな。


 でも、どうしよう。このままここにいても、あの子を助けるのは無理だし、やっぱり出て行ってどうにかしないといけないよね。
 だけど、ふりーじんぐべるは使えないし、このカベは避難にしか使えないし……ううっ、人質はやっぱりひきょうだよー。
 って、あれ?
「どないした、なゆき? 真剣な表情しとったかと思ったら、今度はきょとんとしおって」
「えっと、その……、わたし達ここからどうやって出るのかな?」
「はぁっ!?」

 コンコン。
 叩いてみても……。

 ガリガリ。
 ひっかいてみても……。

 グイグイ。
 押してみても……。

 天井までびっしりつまった氷のカベは、傷一つつかなくて、ビクともしないのでした。
「ウェーハッハッハ。バカ、おバカ、おーバカ。アヒャヒャヒャヒャヒャ! 窒息しちまえ、ヒキョーモノ」
 氷の向こうから、のぞけりながら手を叩いてモールドさんが大笑いしている。
 ちっそく……?
 あ、ほんとだ、すき間が全然ない……。
 って、ええええええっ!?
「ぴろちゃん、大変だよ! わたし達大ピンチ」
「じょ、冗談やないで! バリア張って自滅なんて、ワイらマヌケもええとこやないか。なゆき、なんとかせえ」
「な、なんとかって言われても……」
 ど、どうしよう?
 わたし、世界一おマヌケさんな魔法少女になっちゃうの!?


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「大変です! こんな手紙がポストに」
手紙? 何ですか?



な……。

なんだってーーーっ!?
「ど、どういうことなんでしょうこれ!? イタズラ!?」
いや、よく考えたら『さまふぇすっ!』の感想にVALさんの名前がありませんでした。
多分、僕が『さまふぇすっ!』の運営でてんてこ舞いだった間に既に……。
「そんなことって……ううっ、惜しい人を」
いやいや、それはないでしょう。
「はえ?」
相手はクッパですし、さらったとなれば目的はただ一つ。
「ちょ、ちょっと待ってください。アレはオスですよ!?」
元々カメなのに人間を后にしようとする怪物です。
性別だって、歳の差だって些細な問題なんでしょう。
「無事が保証されたのはいいとして、どうするんですか?」
うーん……VALさんは大事だけど、あんな火を吹くカメなんかと戦いたくないなあ。
おまけに、あいつの城マグマとかバブルとかで熱そうですし。
「萌葱も行きたくないです」
じゃ、自力で脱出するのを待つということで。
「賛成です」
VALさん、無事戻れたら連絡下さいねー。

<注意>
上のやり取りはただのジョークです。
画像弄ってたらVALさんの名前がぴったり入ってしまったのでつい(殴)



【コメントレス】
 あれ、あまり間を置かずに更新したようですね。
 うちが更新したときはまだ更新してなかったのに……。

 ちびなゆがうちの栞以上にリアルに危険な目にあってますねえ……なんというか、絶体絶命な。
 それに比べると、うちは安地な戦い方が多いかも……。
 『ダルマ落とし砲ファイヤッ』が受けました(笑)

>僕が休む……
 こっちもそちらが第二期終わるまで毎日更新のはずだったんですが……合宿分の貯金が出来なかったのと、精神的にやられてたのがあって長期休みもらっちゃいましたねぇ……。
 という訳で、多分暫くは休まないかもです(笑)
 ……まぁ、出品した奴の手直しとか、放置してるSS多いんですが(汗)

>別世界
 つまり、ARIAのSSですかぁ。
 ということは三次……

安地:アンチ・ヤスチ・etc
困った、辞書に載ってない(汗)
どういう意味なんでしょ、これ?

そして今回なゆきが新魔法開発。
根雪のパクり?(ぇ)
実際のイメージはX8のクリスタルウォールと、X4のフロストタワーなんですけどね。


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                    ☆     23     ☆
 ぞろりぞろりと、モールドさんが女の子の体から出てくる。
 キノコみたい……って、そんなこと考えてる場合じゃないよ。
「よくも、驚かしてクレタな。オイラの本当の力を見せてヤル」
 ゾゾゾって、なんだか今までに感じたことのない不気味な感覚がお肌にまとわりつく。
「な、なに? なにが起きるの?」
「なんなんやこの妖気は!? 低級妖怪のレベルやないぞ」
 ウェッ、ウェッ、ウェッ、と笑い声が白黒のお部屋にひびく。
「オイラの力を信じてないな。正真正銘、本当のチカラだ」

 カタ、カタ、カタ……。

 カタカタカタカタカタカタ――ッ!

「お部屋が、ゆれてる!?」
「ヤバい、なゆきしゃがめ!」
 あわててしゃがむと、頭の上を通りすぎた目覚ましがカベにぶつかってすごい音を立てた。
 もし今のが頭に当たってたら……。
 なんて考えてる場合じゃなかった。
 モールドさんの周りには、イスとか机とか植木鉢、小さいのだとハサミとかシャーペンとかまで浮いていたんだよ。
 それを見たぴろちゃんが、びっくりして叫んだ。
「サイコキネシスやと!?」
「ぴろちゃん、何それ?」
「超能力や。しかも、こんなにたくさん宙に浮かすなんて」
 ぴろちゃんの説明も終わらないうちに、モールドさんが右手を上げる。
 ビリリって、体に感じる危険信号がおっきくなた。
 え、そんな、ウソ……。
「イッツア、イリュージョン! ファンタジック! ウヒャヒャヒャヒャ!」
 イスが机が、植木鉢が、みんないっせいに飛んでくる。
 こ、こんなにたくさんよけられないよ。
 それに、あんなスピードで当たったら、死んじゃう!?
「このクソがぁっ!」
 二つに割れたしっぽをピンと立てて、ぴろちゃんがわたしの前に立つ。
 その瞬間、もう少しでわたしにぶつかるイスがこなごなに爆発した。
 す、すごい……。ぴろちゃんの念力ってこんなことまでできるなんて。
「アジな真似ヲ。オマエから死ぬっす」
「はしゃぐな若僧! ワイをナメんやないで!」
 わたしに向かって落ちてくるはずだった机が、ぴろちゃんに方向を変える。
 机って言っても、ちゃぶ台じゃなくておっきな勉強机。
 あんなのが、こねこのぴろちゃんの上に落ちたら、ぺっしゃんこになっちゃう。
「ツブれろー。ツブれちゃえー。ツブれちまえー」
「上等や、木っ端微塵にしたる」
 モールドさんが手をふり下ろすと、勉強机がぴろちゃんめがけてまっさかさまに落ちていく。
 ぴろちゃん、ほんとに大丈夫なの!?
「念動集中! 破を念じて……くっ!?」
 ぺたん、とぴろちゃんがよこに倒れる。
「きゃあっ!?」
 ぴろちゃんの力で、こなごなにはならなかったけど、横にはじけて飛んだ机がわたしのそばをごとんごとんってすごい音を立てて転がった。
 危なかった……。今が当たってたら大けがだよ。
 って、ぴろちゃん!

 浮いてるのは机だけじゃない。
 植木鉢、花びん、ハサミ、今度はそんなのがぴろちゃんをねらってる。
 でも、ぴろちゃんは、倒れたままで……。

「くそっ……催眠術に力使いすぎた。ここまで非力なんか、今のワイは……!」
「ぴろちゃん!」
「来るななゆき! ここから出たいって念じるんや! なゆきは生き……」

 言い終わるより前に、わたしは飛びこみジャンプしてた。
 右肩で地面に着地しながら、ぴろちゃんをかかえて、ごろんと一回転。
 その勢いを使って、すぐに立ち上がった。
 ふり返ると、わたしの今さっき通りすぎたところ目がけて、植木鉢と花びんがすごい勢いでぶつかって、ハサミが床につきささった。
 よかった、今ちょっとでもためらったらふたりともやられてたよ。
「ぴろちゃん、大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫や。しかし、どこで回転受け身なんか覚えとったんや? 柔道でやることやで」
「柔道習ってるいとこの男の子に見せてもらったの」
「そうやったんか」
 できたのははじめてだったけど。
 ありがとう祐一。祐一があの時自慢して見せてくれたおかげで、ふたりとも助かったよ。
 頭から地面に飛びこむなんてさっきやろうとしても怖くて出来なかったけど、勇気があればできるんだね。
「すまん、ワイなんかのために危ないことさせて」

 わたしの手の中で、気まずそうに目をそらすぴろちゃん。
 なんだか、いつもより小さく見える。
 ううん、抱いたらよくわかるけど、ぴろちゃんってほんとうに小さいんだよね。
 こんなに小さい体で、あんな大きな机が降ってくるのを見上げてもこわがらないなんて、どんなに勇気がいるのかな。
「気にしないでぴろちゃん。わたしたち、親友だもん」
「なゆき……、ワイはな、ワイはそんなこと言われる資格ない畜生なんや、ワイなんかのために死ぬようなことせんでええ……って、ヤバい!」
「えっ!?」
 ぴろちゃんが、目をまんまるに開いて右手を前に出した。
 その方向を見て、ぞくっとした。
 タンス、それも重そうなタンスの棚がガタガタ震えて飛び出そうとしてる。
「ウェッ、ウェッ、ウェッ、だーるまさんがこーろんだッ。あれー? だーるまさんが落っこちただったかな? まあいいっす、ダルマ落とし砲ファイヤッ」
 モールドさんの合図と同時に、六段のタンスがもの凄いスピードでいっせいに飛び出した。
 ダメッ! 横にジャンプする前に当たっちゃう!


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さまふぇすっ! 結果発表
「出ましたねー。お薦めはどれですか?」
断然1位の作品です。
あとは2位の作品と……11位の作品かな。
「なるほど、順当……って、いきなり間かなり開いてますね」
うーん、いや、11位の『夏風のフェアリィ・テイル』は個人的に3位予想だったんですけど……大きく外れたましたねえ。
これだからいざ開いてみるまで結果というのは全く分からないです。
1位と2位は珍しくピタリと予想通りでしたけど。
あ、でも、1位の作品10点0は意外だったかな。
僕は10点評価でしたよってことで、メッセでも言いましたけど1位おめでとうございます。
2位は、やっぱり時間軸やら祐一のマイナスイメージとかで損した感じ。
でも、敢えてその辺の事情を説明せず、『材料は十分与えた。後は自分の頭で考えろ』って大胆さがかえって好きでした。
だって、それってKanon原作がやってるやり方ですし(笑)
……しかし、ジャンルの『やおい』って何が『やおい』なんだろう?
「それで、一番気になってるのですが3位予想の大きく外れた11位の作品は何が気に入ったんでしょう?」
んー、改めて考えると、ご都合主義とかで煙たがられそうだなあとは思いました。
でも、久瀬って子がどうしてあんな嫌味な人間になってしまったのか、それを考えると11位の作品は想像をかきたてられる作品だったと思います。
とはいえ、珍しい設定でちゃんと起承転結してたところが個人的な琴線に触れただけだったのかも(苦笑)
「なるほど。じゃ、私はそろそろ席を外しますね」
ん? どこか行くんですか?
「いえ、せっかくなので読みに行ってきます」
ああ、はいはい。行ってらっしゃいです。

さて、葱たんがいなくなったところで……。
SSの評価とは別次元で笑ったのは7位の『印刷ボタンを押した後』。
クロスと書いてないのにいきなりマリア様が始まるわ、お次はクラナド、さらにクラナドSS祭りまでネタに。
トドメには作者識別用に香水サインのような『がちゃがちゃ』連発。
調べるまでもなく作者分かりました。
今回の祭りで一番楽しみ切ったのこの人じゃなかろうか?
そう思わせられるくらいの暴れっぷりが爽快でした。
評価はBですけど、笑った度合なら1位とタメです(笑)

ということで、前に公開した感想に加えて突っ込みたかったお話はここまで。
参加者の皆さんお疲れ様でした、まる。


【コメントレス】
どうも、電光刑事バンです。
感想ありがとうございました。ギャグSSでああいう感想もらうと、こちらとしてもどうりアクションしてよいやら。
取りあえず、運営ご苦労様でした。
それでは。

ギャグだからこそ、なおさら配慮の匙加減が重要だと思うのですよ。
僕にはきつかったのです。ゴメンナサイ。


ソレガシが拝見仕ったところによれば、
『吹雪吹き付ける』
との表現、果たして馬から落馬と同様のそしりを読者諸氏に与えはしまいか、不安に思いて候。

春日 姫宮 記す

されど、名雪は小学三年生。
拙者としてはエロワードを入れまくり読者さぁびすなるものをしたい。
まだ熟れぬ果実のごとき少女ゆえ頬を朱に染めてしまい、許してくれんのでござる。
時折拙い言葉もあるが、幼き者のすることゆえ許されたし。


>今更新が続いてるのはゆうさんが更新してるからですから(笑)
 とか言われちゃうと休めないじゃないですかー(笑)
 まぁ、今んとこネタは一応続く様ですからなんとかなると思いますが。
 ただ、今は持久力が無くて長く書けないんです……。
 地の文すごく短いし。

>ARIA
 負の力はもう使わなさそうですしね……。
 ……あれ、こんな頃からぴろってこの町に来てたんでしたっけ?

いや、たまには休んでください。
僕が休む言い訳がなくなる(黙れ)
ARIAのぴろの設定をオマージュ(?)してますが、あくまで別人です。
いわばこれはオルタナティブ(別世界)の物語ってことで。


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 手を前に出す。
 あのツメよりも早く飛ぶもの。
 そう思いつくのは一つだけ。
 反射的に叫んでいた。
「鳴り響け浄霊の鈴!」
「クケッ!?」
 一瞬、びくんとモールドさんの動きが止まった。
 今なら先にとどく!
「ふりーじんぐ……」
「あかーんっ!」
 べるっ! と続けるつもりだった手に、すごい痛みが走る。
 ぴろちゃんが、わたしの右手に思いっきりかみついていた。

「何するの!?」

 ううっ、ものすごく痛いよー。血もどくどく出てる……。
「す、すまん。他に止めようがなかったんや、許してくれ」
 お座りして土下座みたいに頭を下げるぴろちゃん。
 どうしたんだろ。ここまでして止めなきゃいけなかったって……。
「……あれ?」
 そういえば、モールドさんは? そう思ってベッドを見てみると、モールドさんの姿はなかった。
「あれれ? モールドさんがいない」
「やから止めたんや。よく見てみ、あの子の腹んとこ」
「おなか? ああっ!」
 ぴろちゃんの言う通りに、女の子のおなかのあたりを見てみると、もこっと目が出ている。
 あの、ランランとした大きい目、モールドさんの……だよね。
「見たか?」
「うん。どうなってるの?」
 ビリリってした感じはまだ続いてる。
 ってことは、あそこにいるんだよね。
「悪質なやっちゃ。なゆきの魔法感知して、あの娘の体に逃げ込みおったわ」
 やっぱり。
 じゃあ、ぴろちゃんがわたしを止めたのは……。
「ぴろちゃん。だいたいわかるけど、もしさっき魔法使ってたらどうなってたの?」
「モールドは無傷で逃げおおせて、魔法はあの子に直撃やな」
「でも、わたしの魔法ってモールドさんを殺しちゃったりしないんだよね? じゃあ、あの子も大丈夫じゃないのかな?」
 そうだったら止めないと思うけど、もしぴろちゃんの言ってたことがウソだったらモールドさんが死んじゃうようなことをしてたことになっちゃう。
 だったらやっぱり魔法なんて使えないよ。
「いや、相手が妖怪やったらええねんけどな。魔法の物理作用はあんまし効果ないから、殺す気で魔法っちゅうか妖術かけん限りまず死なん。ただ、相手が魔のモノやなかったら、冷却効果の物理作用モロ受けてまうから……」
 そこまでしゃべって、ぴろちゃんは顔を洗った。

「意味分かるか?」
「ううん、ぜんぜん」

 ふるふると首を横にふる。
 かおりだったら、分かるのかなあ今の。
「とにかく、妖怪以外に例のふりーじんぐべる使たら、凍死させかねへんってことや。あれ、見た目通り極寒の吹雪吹き付ける魔法やからな」

「…………」
「大丈夫か?」
「うん、なんとか。女の子に当てちゃいけないってことだよね?」
「色々はしょりすぎとるが、まあそういうことや」
 あれ?
 でも、よく考えたらここ夢の世界で、あの子は息もしてないよね。
「念のために言うとくが……。確かにここで攻撃あの子に加えても、現実のあの子が即死ぬとは限らん。せやけどここがあの子の体と繋がってるのを忘れたらあかんで」
 はううっ、心読まれてるよー。
「ここであの子の体に攻撃するっちゅうのは、あの子の命削るのと同じやからな。助けに入ってトドメ刺したら洒落にならんやろ」
「うう、今のはよーっく分かったよ。ちゃんと覚えとく」
 『笑えない冗談』って言葉がこんなにぴったり当てはまる状況、はじめてだよ。
 それに、テレビで時々見る『武器を捨てろ。そうしなければ、こいつを撃つ』なんて状況を目の前にするのも。
 おまわりさんになって、そんなことになったらどうしようとか考えたことはあるけど……こんなに早く、本当に『そんなこと』になるなんて。

「ウェッ、ウェッ、ルールは分かったカナ? オイラ、アタマいい。クレバー、ベーリー、クレバー」
「このくされ外道が。恥を知れ、はじ……ふがっ!?」
 あわててぴろちゃんを抱き上げて口をふさぐ。
「何するんやっ!」
「人質とってる犯人を挑発しないの!」
「あ、そか。すんまへん」
 心臓に悪いことしないでね、ぴろちゃん。
 でも、どうしよう。
 セキニンジュウダイって書かれた岩がずっしりと頭の上に乗ってる気がしてきたよ。
 うにゅう。


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『子午線の祀り』だけじゃなかったんだ……。
「いきなり何ですか」
いや、久々に聖剣伝説2やったんですけど、ラスボス曲以外にも名曲があったんだなあ、と。
「んー、そう言われてみると、ラスボスの『子午線の祀り』以外で感動した曲ってないですね。通常ボス曲以外、目立った曲がないのが聖剣伝説2の特徴ですし」
あのボス曲も、サビはともかく入り方がファミコン臭いのがなんとも。
まあ、それはともかくコレをどうぞ。
「はいはい、どもですよ」
メディアプレイヤー、ON。
「…………」(試聴中)
ブラウザ、閉じる。
「うわあ、すごくいい曲じゃないですか。そういえば、フラミーの曲って後半で変わるんでしたね」
そうなんですよ。終盤、その『予感』といい『暗黒星』といい、いい曲は意外にあったんです。
インパクトだけなら『子午線の祀り』や『危機』が強いので、忘れられがちですけど。
ていうか、サントラ持ってないから忘れてしまう(汗)
「で、サントラないのにこの音楽どこから持って来たんですか?」
ああ、それは普段MIDIやMP3収集に利用してるサイトからです。
『子午線の祀り』『予感』に『聖剣』ってキーワードプラスして検索してみてください。
ちなみに、『予感』は同じスクエアの『ゼノギアス』に同じ曲名の名曲があるので、ちょっと混在してますので注意をー。

COMPUTER MUSIC CENTER

他にもお気に入りのゲームの曲なんか調べてみるとたくさん集まりますよー。
「HD凄いですねえ。何なんですか、このMIDIファイルとMP3ファイルの山は」
それは言わないで……。


【コメントレス】
 わ、SSSならではの思わせぶりな「ここで一旦CMです」展開。
 私も多用してますがー。

 名雪の力が未知数なお陰で展開が予測できないんですけどー。
 っていうか、ぴろ……威勢良かった割にはジリ貧だな……って名雪庇ってるからですか。

 次回も期待してます、頑張ってくださいっ。
 非常に望んでますので、鋭意。

 運営お疲れ様です。
 そういえば、Kanon書きの年代層は今やどれくらいなんでしょうねえ……。

ゆう

ご安心をー。今更新が続いてるのはゆうさんが更新してるからですから(笑)
ぴろが戦闘で力をあんまり使いたがらないのは、ARIAをご存知なら分かると思います。
彼、破壊するだけならこんな低級妖怪くらい一撃で潰せますよ、本当なら。


えーとですね、私の好みに合わせて録画してくれる人が居まして。
偶に出掛けて行って、纏めてビデオを観るんですよ、はい。
世間では「実家」と言うらしいです(笑)
ちなみに私、また日程を間違えてました。発表は明日の夜なんですね。
土曜の夜まで留守にするので、先に書いておきます。
運営ご苦労様です。ご覧頂きありがとうございました。
−Mumuriku−

終戦後みたいに近所のテレビがある家にご近所一同が集まって、プロレスとかに興じてる姿を想像しました。
ゴメンナサイ。


(魔法処女リンク)ただいま魔法少女やってます!→Snowy Piece / Project HH / SSS
※最近魔法少女始めた方は連絡下さい。第二期の間中同志として宣伝しますー。
【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                ☆     21     ☆
「えーいっ!」
 思いっきり手を前に出して叫んで……。
 どうするんだっけ?

 ずしゃーーっ!

 あ、ぴろちゃんがコケた。
「このアホ娘ーっ! いつも通りやればええんや」
「え、でも、魔法で攻撃したら死んじゃうんじゃ……」
 前のテケテケさんは、わたし達にそうして欲しいってお願いしてたけど、このモールドさんはそんなんじゃないし。
 無理矢理攻撃しちゃったら、殺しちゃうんじゃないの?
「だから、言うてるやろ。魔法っちゅうのは殺すつもりでやれば……って、うおっ!?」
「きゃっ!?」
 ぶんっ、って目の前をツメが通りすぎる。
 後ろを見て、ぎょっとした。
 カベに二本のすごい傷ができてる。こんなの、もし当たったら……。
「悩んどる場合やない。こっちが殺されてまうで!」
「で、でもー」
「ウェッ、ウェッ、ウェッ、血を散らセェー!」
 ぶんぶん、ムチみたいにのびたツメが飛んでくる。
 ビリリって感じでどこに来るかわかるからよけられるけど、このままじゃ疲れちゃってそのうち……。
 その先を想像して、ごくっとつばを飲みこむ。
 ううっ、スプラッタだよー。
「ええか、なゆき。なゆきは、テケテケの時に、相手を活かす心を学んだんや。その気持ちがあれば……ぐぁっ!」
 空中に飛んでツメをよけたぴろちゃんを、返ってきたツメがはたき落とした。
 すごい勢いでカベに叩きつけられるぴろちゃん。
「ぴろちゃん!?」
「く、くそったれ、三番と四番持ってかれた」
 よ、よかった。生きてる。
 ふり回されたツメの裏側だったから助かったんだ。
 すごく痛そうだけど。
「なゆき、ぼさっとすんな! 来るで!」
「わわっ!」
 あわてて地面に転がって、ぴろちゃんをかばうようにおおいかぶさる。
 さっき立っていたところは、ツメが通りすぎて、先にあったクローゼットがズタズタに。
「アホ! なんで転がったんや!」
「だって、このままじゃぴろちゃんが」
「ふたりとも一緒にやられてまうかもしれへんかったやろ!」
 苦しんでて動けないぴろちゃんほっとくなんてできないよ。
「その怯み……」
「やばっ! なゆき!」
 足は、まだ地面にヒザがついたまま。
 これじゃよけられないよ。
「イタダキだ!」
 耳までさけた口をうれしそうに開いて、モールドさんのツメがふり上げられた。


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なんかこんなのが来ました。
「復さんってお知り合いですか?」
えーっと……あんまり接点ないような。
本名は確か復路鵜さん。
作風が全然合わないので、こちらから彼の作品読むこともなく、向こうも僕の作品含めてどりぷろ見てないと思うんですけど。
「へー。で、何でそんな方が指名を?
さあ……? まあ他に大したネタがあるわけでもないので行ってみますか。

【SSを書くまでの道のり】
(1)リンク先を見て回る。
(2)大して気になる作品は更新されてないなと確認する。
(3)クリーム入りフルーツを見る。
(4)やはり今日もSS更新がないことを見て安堵。
(5)コメント管理ページを開く。
(6)特に感想や続きを希望するコメントはないことを確認し、いつも通りの平和にティーブレイク。
(7)ま、他も書いてないし誰にも望まれてもいないならいっかー、と自分に言い聞かせて書かないことにする。

以上。
「以上……って、これじゃ何も書いてないじゃないですかっ!」
つまりまあ、SSを書くまでの道のりはここを越えてからなんですねえ。
なんて険しい……。
「相変わらず無茶苦茶です」


ああ、そういえば『さまふぇすっ!』の全感想上げときました。
作者は立場上わかってますけど、そっち関連の個別の話はまた後日で。
さまふぇすっ! 全感想
「あれ、一作抜けてますけど、自作ですか?」
東鳩2未プレイなのに、何故よりによってクロスなんか書かなきゃいけないんですか……。
未プレイなので感想控えただけです。あゆかわいかったですけどね。


【コメントレス】
あ、薦められていたのに観てません。
というか、テレビがないので観れません(笑)
配役にちょっと微妙な感じはしていましたが、やっぱり?
でもですね、そんな描写が望まれる「戦争」イメージなんだと思いますよ、現代の。
一作目の『サトウキビ畑の唄』は、とても良かったのにねぇ。
−Mumuriku−

テレビないという発言のあとに、一作目の『サトウキビ畑の唄』は、とても良かった。
……この謎を私はどう解釈すればいいのでしょうか?(汗)
いずれにしても、この竹島問題でもめてる時期に朝鮮に餌を与えるようなネタとかはどうかと思います。
軍人をことさらキチガイのように描いているのも、うにゅう。


 あんな短いのを散々登録している悪者は私です(汗)
いや、ゆうさんはいいんですよ。
僕がやると、運営って立場上色々 粘着 反発ありそうなので、それで控えてたんです。
おまけに毎日更新にはなってないし(殴)


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 えっと、あれ?
 わたし寝ちゃったはずなのに、起きてる?
 まわりをきょろきょろ見回してみる。
 さっきと同じ部屋、ベッドにはあの子が寝てて、枕元にはぴろちゃんもいて……。
 でも、ちょっとヘン。
 まわりが全部白黒で、女の子も白黒。息もしてない……というよりは、止まってる。
 女の子だけじゃなくて、カベにかかってる時計も。
 いつもと同じ色で動いているのは、わたしとぴろちゃんだけだった。
「なゆき、意識ははっきりしとるか?」
「あ、うん。大丈夫だよ。ぴろちゃん、これってどうなってるの?」
 よかった、ぴろちゃんとは普通にお話できるよ。
「ここは夢空間。現実と幻想の狭間の世界や」
「はざま……?」
「ま、ぶっちゃけてまうと、夢が作られる一歩手前の世界やな。さっきまでの世界がそのまんま白黒コピーされとるやろ」
「うん」
「一番浅い精神世界とか、まあ言い方は色々あるが分からんでもええ。なゆきにはまだ難しすぎるやろ。それよりも」
「うん、あの子を助けなきゃ」
 なんだか、頭悪いって言われたみたいで気になるけど、そんな場合じゃないよね。
 女の子から、元の世界で感じたのよりもっとすごいビリビリを感じる。
 たぶん……中に何かいる。
「なゆき、今日朝に話とったグレムリン、覚えとるか?」
「え? あ、うん、覚えてるよ」
「グレムリンっちゅうのはヨーロッパの妖怪でな、機械に取り憑いて悪さをする小悪魔や」
「機械をおかしくしちゃうなんて、困った妖怪さんだね」
「まあ、連中のほとんどは大事になる悪戯はせえへんし、時々事故に繋がる故障をこっそり直したりするええ奴もいるからええねんけど」
「そうなんだ」
 よかった。テレビとかトースターが爆発したらどうしようって思っちゃったよ。
 あ、でも、この前まで変な音出してた暖房が元に戻ってたのって、ひょっとしてそのグレムリンさんのおかげなのかな?
 うん、感謝しとこう。ありがとう、グレムリンさん。


 あれ? でも、それってこの子と何か関係あるのかな?
「世の中にはグレムリンみたいに何かに取り憑く小悪魔も色々おってな、中には夢に取り憑いて悪戯しよるやつもおる」
「あっ、ひょっとして……」
 ぽんっ、と手を打つとぴろちゃんがこくんとうなづいた。
「そういうこっちゃ。それ系の妖怪がこの娘に取り憑いて、命を吸っとるんや」
「命って……そんな!」
 大変だよ、そんなの吸われたら、この子本当に死んじゃう。
 じゃなくって、この苦しそうな顔、きっともう危ないところまで……。
「止めさせなきゃ!」
「そや。そのために、夢の世界に入ったんやからな」
 ぴろちゃんが後ろをむいて、寝ている女の子の頭をにらみつける。
 一瞬、女の子から出ていたビリビリが消えて、ぴろちゃんからビリリッってしたものがふき出した。
 何となく分かってきたよ。
 きっとこのビリビリって、妖怪さんから出るこわい力を感じてるのかも。
「おい、そこのクソガキ。わざわざワイらから出向いてやったんや、いい加減出てこんかい」
 ぴろちゃんが女の子の頭に向かって怖い声を出す。
 すると、ちょっとの間をおいて、女の子の頭から何かが出てきた。

 ビリリッ!

「なゆき、危ない!」
「わわっ!?」

 ひゅんっ、って何かが顔の前を通りすぎた。
 び、びっくりした。後ろに飛ぶのがおくれてたら、当たってたよ。
 目の前を通りすぎていったのは、カマみたいなツメ。
 緑色とオレンジのだんだらな服を着た、体の色がなんだか毒っぽく見える紫をしているピエロさんみたいな何かが、女の子のお腹から生えていた。

「ナンダヨー。ヒトが気持ちよくマズい汁吸ってたのに」
「お前、何モンや? 出てくるや否や、攻撃しかけるとはご挨拶やな」

 ウエッ、ウエッ、ウエッって紫ピエロさんが何だかヘンな声を出す。
 もしかして、これ笑い声なの?
 ベロはとがってるし、青色だし、気持ち悪いよー。


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ぱうすの、連載更新情報に登録してきました。
「あれ? 短いのチマチマ載せると嫌がる人もいるから控えておくって言ってませんでしたっけ?」
いや、なんか最近平気で100行以上書いてたり、全体の容量も80KB突破してたりで……こんなもん一括登録して読む人どれだけいるんですか?
「あ、ほんとだ。いつの間にか第一期とっくに越えてますね」
そんなわけで、そろそろちょっとずつ読む人のこと考えて登録。
10話越えたあたりでやっとくべきでした。


さて、話題の『8月6日 ヒロシマ』を見ましたよ。
「僭越ながら萌葱も」
とりあえず感想を。
女って鬱陶しい生き物ですね。
「なるほどー。って、ええっ!?」
もう、なんていうか、キャアキャアうるさいだけだし、自分勝手だし。
ぶっちゃけ、朝鮮さんとか弟さん虐めてた軍人とか、嫌われるように描かれてる人物と大して違うようには思えませんでした。
「あー……確かに。あれじゃそう見えても仕方ないです。写真屋さんさんざん待たせたりして、無神経なところとかありましたね。私もオバサンになったらあんな風になっちゃうんでしょうか」
人それぞれ、かと。
シャルウイーダンスのおばあちゃんとか、大誘拐のおばあちゃんとか、しわくちゃになったって綺麗に見える人はいますよ。
それ以前にあの三姉妹オバサンって年じゃないんですが。
「15以上にもなってガサツで無神経な女の人は、もうオバサンって人種なんです」
うわ……なんか凄いこと言い出してるよ。
でも、身も心も永遠の十七歳であろうとするにはそういう心構えが必要なのかもしれませんね。
葱たんガンバ。
「うう、励ましありがとうございます」
とりあえず話を戻して。ほんとに、製作者は何を訴えたかったのかよく分かりません。
確かにこういう死に方をした人はいたかもしれない。
でも、ドラマですよ?
何か伝えたいことがあって、一箇所に焦点を当てて描く形式です。
ただ『こんな人がいた』ってだけのことをやりたいなら、ドミュメンタリー番組でいいでしょう。
出てきた結論は、『戦時下において女は鬱陶しい生き物であった』です。
ていうかもっと突っ込むと、原爆という史実がなければ彼女達の死を全然悲しめない。
ぶっちゃけ、『役者』が死んだふりしてるだけなので、最期の瞬間には欠伸したくもなりました。
ある意味、実際に死んでいった人たちを踏み台にして「さあ悲しめ」と言われてるような不快感も。
他にも、なんか正義の押し売りみたいなのが鼻について、作風全体にあまりいい印象が持てませんでした。
なんていうか、あちこち小骨が引っかかるような不自然さのオンパレードだった気がします。真に迫ってない。
「うーん、萌葱はそこまで不満に思いませんでしたけど……」
やっぱり、前作の『サトウキビ畑の唄』を見てるとそう思うんじゃないかともいます。
あっちは、笑顔を忘れなければ人はどんな時代も生きていける、人と人は分かり合える、そんな明確な優しさ、それでいてそういうものが失われるのが戦争なのだという厳しいさをもうまく描ききってました。
戦争モノで、敗戦モノなのに明るいってのが新鮮で、かえってそれが自然体に感じられたのです。
それゆえ、純粋に笑って泣いて感動しました。
でも、今回のははだしのゲンでもあるような『戦争って悲惨・朝鮮人に悪いことしてました』、みたいなステレオタイプの描かれ方、思想が出てて……。
おまけに、ウソはいかんです。あのドラマ、原爆を語る人は嘘つきであるように見せてました。
もうこれは酷すぎる。
「ええっ!? 原爆を語る人は嘘つきなんですか?」
見せ方の問題ですね。
語り部のお爺さんいましたけど、その回想部分に『誰が見てたのか?』って所があるのは大問題。
これじゃ、原爆を語る人があることないこと捏造してことさら悲惨に見せてる、とも取れかねないです。
「ああ、そう言われれば……三姉妹の最期に至る瞬間を誰が見てたのかとか、三人だけの会話を誰がお爺さんに伝えたのかとか、作中ではよく分かりませんよね」
そうなんです。回想演出としても、あのお爺さんの話に涙してる学生達は演技が過ぎるだろう、と。
お爺さんが三姉妹について知れたことは、どんな姿で死体になってたかくらいなんですから。
つまり、どう考えても、はじめお爺さんの話聞く気無しだった学生達が泣くようなボリュームある話になるわけがない。
こういう捏造やっちゃ何から何まで嘘臭くなってしまいます。
「うーん、そう考えると……ずいぶんいい加減なドラマですね」
戦争の悲惨さ訴えたいなら、素直に原爆投下後の地獄を再現した方が早かったと思います。
「そっちの描写、ガレキあるだけでしたね。死体も怪我人もなくて目には優しかったかもしれませんけど」
そんなこんなで、個人的に広島を題材に何か斬新なことをやれたり訴えられたかというとNO。
はだしのゲン見てれば、わざわざコレ見る必要ないと思います。
でも、最後の最後にあった一言には大きく頷きました。
「『あんなもの、人の上に落としちゃいかんのです』ですよね?」
です。『人の上』ってところがずしりと来ますよね。
あのドラマ内で唯一と言っていい熱演シーンであり……。
「……テーマとしてまともに機能してるのはそれだけでした」
まったくもってその通りっす。
でも、『あんなもの』は原爆だけじゃないとも思います。
『あんなもの、人の下に置いちゃいかんのです』とか。

で、スタッフにそれを返す言葉として一言。
『人の生死を扱うのに、不真面目な態度で臨んじゃいかんのです』

「やっぱり、二作目はダメになるってジンクスは8割くらい真ですねえ」
ここの薦めで見た人、ほんとゴメンナサイ。
懲りずに『サトウキビ畑の唄』見ていただけると嬉しいです。


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                ☆     20     ☆
 えっと、あれ?
 わたし寝ちゃったはずなのに、起きてる?
 まわりをきょろきょろ見回してみる。
 さっきと同じ部屋、ベッドにはあの子が寝てて、枕元にはぴろちゃんもいて……。
 でも、ちょっとヘン。
 まわりが全部白黒で、女の子も白黒。息もしてない……というよりは、止まってる。
 女の子だけじゃなくて、カベにかかってる時計も。
 いつもと同じ色で動いているのは、わたしとぴろちゃんだけだった。
「なゆき、意識ははっきりしとるか?」
「あ、うん。大丈夫だよ。ぴろちゃん、これってどうなってるの?」
 よかった、ぴろちゃんとは普通にお話できるよ。
「ここは夢空間。現実と幻想の狭間の世界や」
「はざま……?」
「ま、ぶっちゃけてまうと、夢が作られる一歩手前の世界やな。さっきまでの世界がそのまんま白黒コピーされとるやろ」
「うん」
「一番浅い精神世界とか、まあ言い方は色々あるが分からんでもええ。なゆきにはまだ難しすぎるやろ。それよりも」
「うん、あの子を助けなきゃ」
 なんだか、頭悪いって言われたみたいで気になるけど、そんな場合じゃないよね。
 女の子から、元の世界で感じたのよりもっとすごいビリビリを感じる。
 たぶん……中に何かいる。
「なゆき、今日朝に話とったグレムリン、覚えとるか?」
「え? あ、うん、覚えてるよ」
「グレムリンっちゅうのはヨーロッパの妖怪でな、機械に取り憑いて悪さをする小悪魔や」
「機械をおかしくしちゃうなんて、困った妖怪さんだね」
「まあ、連中のほとんどは大事になる悪戯はせえへんし、時々事故に繋がる故障をこっそり直したりするええ奴もいるからええねんけど」
「そうなんだ」
 よかった。テレビとかトースターが爆発したらどうしようって思っちゃったよ。
 あ、でも、この前まで変な音出してた暖房が元に戻ってたのって、ひょっとしてそのグレムリンさんのおかげなのかな?
 うん、感謝しとこう。ありがとう、グレムリンさん。


 あれ? でも、それってこの子と何か関係あるのかな?
「世の中にはグレムリンみたいに何かに取り憑く小悪魔も色々おってな、中には夢に取り憑いて悪戯しよるやつもおる」
「あっ、ひょっとして……」
 ぽんっ、と手を打つとぴろちゃんがこくんとうなづいた。
「そういうこっちゃ。それ系の妖怪がこの娘に取り憑いて、命を吸っとるんや」
「命って……そんな!」
 大変だよ、そんなの吸われたら、この子本当に死んじゃう。
 じゃなくって、この苦しそうな顔、きっともう危ないところまで……。
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 ぴろちゃんが後ろをむいて、寝ている女の子の頭をにらみつける。
 一瞬、女の子から出ていたビリビリが消えて、ぴろちゃんからビリリッってしたものがふき出した。
 何となく分かってきたよ。
 きっとこのビリビリって、妖怪さんから出るこわい力を感じてるのかも。
「おい、そこのクソガキ。わざわざワイらから出向いてやったんや、いい加減出てこんかい」
 ぴろちゃんが女の子の頭に向かって怖い声を出す。
 すると、ちょっとの間をおいて、女の子の頭から何かが出てきた。

 ビリリッ!

「なゆき、危ない!」
「わわっ!?」

 ひゅんっ、って何かが顔の前を通りすぎた。
 び、びっくりした。後ろに飛ぶのがおくれてたら、当たってたよ。
 目の前を通りすぎていったのは、カマみたいなツメ。
 緑色とオレンジのだんだらな服を着た、体の色がなんだか毒っぽく見える紫をしているピエロさんみたいな何かが、女の子のお腹から生えていた。

「ナンダヨー。ヒトが気持ちよくマズい汁吸ってたのに」
「お前、何モンや? 出てくるや否や、攻撃しかけるとはご挨拶やな」

 ウエッ、ウエッ、ウエッって紫ピエロさんが何だかヘンな声を出す。
 もしかして、これ笑い声なの?
 ベロはとがってるし、青色だし、気持ち悪いよー。


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こういう手があったのか……。
「あったんですねえ……。で、これなんですか?」
マリオ一人分の段差をダッシュで越えられること知らなかった人が、どうやって8−2のこの難所をクリアしたのかと気になって検証してみたんです。
葱たんならここどうします?
「やっぱり、土管の右の足場からBボタンダッシュしてジャンプじゃないですか? 一マス分のギリギリダッシュのせいで、時々ダッシュできずに落ちちゃいますけど」
ええ。なのに、それ定石なのに、ダッシュしらないでどう越えるのかと思ってたら、こういう手があったんですねえ、と。
むしろこの方が、成功確率高かったです。
「でも、これよく考えたら8−1の終盤であるシチュエーションと同じですね」
そうなんですよ、あの何の為にいるのかよく分からないノコノコの先にある、一人分の足場を使った連続ジャンプ。
実はあれ、十分加速ついてたら空中ブレーキかけて着地補正しても、飛び越えられるから、勇気を出せば全然平気なんですよね。
「十●年目の真実、ですねえ」
まったくです。
微妙に伏字入れとくあたり、葱たん永遠の十七歳にこだわってるなあ。


【コメントレス】
 栞参加ですかー。
 それじゃあこっちも名雪の登場増やしますかー(美汐組入ったばかりではあるんですが/汗)
 さて、まとめる段になってラスボスを誰にしようかなと思案。
 流石にここから無計画に進めると辻褄が合わなくなりそうだしなぁ……。

 何の妖怪だろう……夢魔のようなそうでないような……。

ゆう

栞はレギュラーにはなりませんよー。
名無しの少女のままです。だって、ここでレギュラー化しちゃったら、原作との兼ね合いが(苦笑)
名雪達は、最終的にとある(自粛)によって原作につながっていく、脳内構想があるんですけどね。

どうでもいいですけど、『決闘』ってなんともファンタスティックな魔法少女だなあと、呆然とした僕がいました(笑)

そして、今回の妖怪さんは……病魔モール(ぇ)


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【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                ☆     19     ☆
 ビリビリしたものを感じるドアのドアノブに手をおいて、ごくっと息を飲みこむ。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
「開けるよ?」
 ぴろちゃんが、こくってうなづくのを見て、ノブを回した。

 きぃ……。

 えっと、おじゃまします。
 と、心の中でつぶやきながらお部屋の中をのぞきこむ。
 かおりのと似た感じの普通の部屋……だよね。あれ?
 ビリビリの感じる方に歩いていくと、ベッドの上に寝ている女の子がいた。
「誰や、これ?」
「……知らない」
 誰なんだろう、この子?
 まっくろな髪のおかっぱで、多分わたしより年下の小さな女の子。
 わたしはその子にまったく見覚えがなかった。
「姐さんの妹とかか?」
「わからないよ。だって、かおりは一人っ子だと思ってたし……」
「ふーむ……妹おるなら、なゆきに言うてもええやろうに。遊びにきとる親戚の子とかやろか」
 じーっと、その子の顔を見てみる。
 やっぱり、かおりには似てないかなぁ……。
「よく分からないけど、見なかったことにした方がいいかな?」
「どうやろうな。まあ、何か事情あるかもしれへんし、黙っといてやるのもええんとちゃうか?」
「うん、そうだね」
 気にならないって言ったらウソだけど、でも、今はもっと大切なことがあるよね。
 ぎゅっと手をにぎって、自分にうなづく。


 ベットで寝てる女の子からは、よく分からないけどもすごくイヤな感じがする。
 それに、女の子も何だかヘン。
 なんていうか、普通な感じがしない。
 さわったらこわれちゃいそうな、そんな危ない感じがするんだよ。
「ぴろちゃん、この子どうなってるの?」
「なゆきも薄々気付いたか。どうやら、何かに取り憑かれとるな」
「取りつく? ときどき聞くけど、悪い幽霊さんのノロイみたいな?」
「まあそんなとこやな」
 このヘンな感じ、そういうことだったんだ。
 あれ? でも、それじゃこの子って。
「ぴろちゃん、じゃあこの子はかおりの妹じゃないの?」
「は? 何でや?」
「だって、かおりってそういうのに取りつかれたりしないって言わなかった?」
 お守りみたいなものだから大丈夫だって言ってたよね?
 ミコさんの一族っていうのだったら、かおりの妹だって……。
「んー、それなんやがな……」
「うん」
「この娘、どうも姐さんの妹っぽいんや」
「えっ?」
 かおりの、妹?
 ちょっとびっくりして、もう一度その子の顔を見てみる。
 でも、やっぱり似てるようには見えない。
 かおりの髪はカールしてるけど、この子はさらっとした髪だし。
 それに、かおりより……おとなしそうな顔?
 なんて思ってたら、ぴろちゃんが横からにゅっと顔を出した。
「ちゃうちゃう。見た目やのうて、なんちゅうか雰囲気みたいなモンがよく似てるんや。ま、分かり易う言うと、姐さんや、さっき下におった姐さんのおかんと同じ巫女の力があるってことやな」
「で、でも、妹さんでミコさんならどうして取りつかれてるの?」
 ちょっとパニック。
 ううっ、そんなに一気に言われたら考えるのが大変だよ。
「普通ならそうなんやけど、どうもこの娘、体が弱いみたいやな」
「えっ?」
「ほれ、なゆきでも分かるやろ。疲れてるときとか、体が弱っとると病気にかかりやすいやないか」
「うん」
 言われてみると、なんだかその子が普通じゃない感じがもっとはっきり分かった気がする。
 クラスにもちょっと体の弱い子がいるけど、その子と同じで、この子の顔はあまり元気がないように見えるんだ。
「まあ、巫女さんの力があっても、それが弱っとったら取り憑くスキもできるっちゅうことや。ただ……」
「ただ? どうしたの?」
 ぴろちゃんの顔にシワができる。
 たぶん、あまりよくないことがあるんだ。
「ちょっとヤバいで。この娘、元々相当体弱いところに取り憑かれて命吸われとるみたいや」
「命を吸われてるって、じゃあこの子……」
「ああ、このままほっといたら数日中に死ぬかもしれへん」
 し、死ぬ? この子が?
 この子がもうすぐ死んじゃうの?
 そう言われてその子の顔を見てみると、なんだか寝顔も苦しそうで、顔色もさっきのかおりと全然ちがう。
「そんなのダメだよ! どうにかできないのぴろちゃん?」
 助けてあげたい。
 大切な友達の妹さんだし、こんなの苦しそうな顔してるの見てられないよ。

「分かっとる」

 びくっ。
 ぴろちゃんの方を見ると同時に、ちょっと寒気がした。
 先のハゲちゃった尻尾が二つに分かれて、ぴんと立っていた。
 ひょっとして、ぴろちゃん怒ってる?
「このイカれたガキが……何考えとるんや」
「ご、ごめんなさいっ!」
「あ、いやいや、なゆきやのうて、この娘に取り憑いとる妖怪のことや」
 よ、よかった。ガキって言われたからわたしだと思ったよー。
 さっきも怖かったけど、ぴろちゃんって本当に怒るとものすごく怖いかも。
「どうやら、こっちに出てくる気配はないみたいやな。現実世界ではろくな姿も取れへんヘタレか。まあええ。そんならこっちから行ったろう」
 ぴろちゃんは、そう言って女の子のそばに立つと、くるくる右手(前足)を顔の前で回し始めた。
 ちょっとして、みょわーんって黒い輪っかみたいなのがそこにできる。
 輪っか、じゃなくて穴……かも。
「なゆき、入るで」
「えっ、その穴に?」
 その子を助けるためだっていうのは分かるけど。
 でも、何の穴か分からないのに入るのはこわいよ。
 それに……入れるの、その穴?
 ぴろちゃんが右手回して開けただけだから、みょわんみょわんしてるその穴はねこさんサイズくらいしかなかった。
 たぶん、片足を入れるのが限界……。
「安心せえ。夢空間……簡単に言うと夢の世界に入るだけや。それに、なゆきはどうしたいねん」
 じっとぴろちゃんがこっちを見てる。
 うん、そうだね。
 胸の前でぐっと両手を握りしめて、おっきくうなづく。
 そうだよね。迷うことなんかないんだよ。
「わたしはその子を助けたい。それに、ぴろちゃんを信じるよ」
「せやせや、それでこそなゆきやで」
 ぴろちゃんはにこって笑ってくれた。


 ぴろちゃんが穴をのぞきこむと、するっとぴろちゃんの体が穴の中に吸い込まれる。
 わたしも、その穴の中をゆっくりのぞきこんで見た。

 ぐるぐるぐる〜。

 え、えっと、あれ、あれれれれ?
 景色が回って、わたしが回って……うにゅ、なんだか気持ちいい、かも。
 どんどん回って、まわりが何もかも分からなくなって、わたしは眠ちゃったのでした。


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さて、なんかまた唐突にプチ企画やっちゃいましたよ。
「プチ企画? 今度はなにやらかしたんですか?」
人を犯罪者のように、もう。
単にマリオやってただけですよ。
初代をマリオコレクションで。
「それのどこが企画……?」
いや、ちょっとメッセメンバー内で、アクションゲーム熟達度を試してみようって話になりまして。
で、マリオのタイムアタックを。
「ルールは?」
コンティニューありで、とりあえず何分でクリア出来るか。
もしくは、どこまでクリア出来るか、です。
「なるほど。それで、どんな感じだったんですか?」
こんな感じでした。

春日 姫宮:4−2ギブアップ
VAL:8−2ギブアップ
エルラ:表クリア27分、裏クリア21分
くろG:表クリア60分、裏クリア30分

最終認定ランクは名前の順で、一番下が最強プレイヤーです。
「あれ? でも、クリアタイムならエルラさんの方が上ですよ? というより、なんで表の方が時間かかってるんですか?」
いや、エミュでやってたんですけどパッドが暴走して8−3でゲームオーバー食いまして、んで1−1から再プレイしてクリアしたんです。
うまく行く時なら15分くらいで表はクリア可能かと。8−1まで4分で行ってましたし
「……なのに、なんでくろGさんの方が上なんですか」
いや、確かにプレイタイムは遅いんですけど……。
「けど?」
くろGさん、過去にクリア経験どころか8面行ったこともないという素人でして。
どれくらい素人だったかというと、マリオ一人分の谷がダッシュで渡れることを知らなかったくらい。
「え、えええええっ!?」
そりゃ、驚きましたよ。どうやって8−2越したのか、それだけでも奇跡。
しかも、初プレイで8−3をノーミスクリア……ファイアー無しで。
「…………」(←あんぐり口開け中)
最終クッパは、ジャンプでハンマーの間をすり抜けてクリアというスーパープレイで終了。
「なんていうか、偉大なる素人って感じですねえ」
ええ、なんか最近スペランカーも数日でクリアしたそうですし、ひょっとするとお知り合いの中では一番のゲーム達人かも。
集中力切れたとかで、本来ならクリア出来るはずのVALさんが哀れです。

というわけで、興味ある人はスーパーマリオブラザーズのタイムアタック挑戦してみて下さいねー。


【コメントレス】
タシロ砲の意味間違ってるぞ。
ふむ。


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※最近魔法少女始めた方は連絡下さい。第二期の間中同志として宣伝しますー。
【PowderSnow Fairy 街のちいさな妖精さん】   (第一期『雪国少女なゆきちゃん』はこちら)
                ☆     18     ☆
 きぃ……。
 きょろきょろと、すこし開けたドアから中をのぞきこむ。
「すごい……ほんとにねてる」
 リビングのソファーには、かおりのお母さんがすやすや気持ちよさそうにお昼寝していた。
「なゆき、妖気がしとるのこっちやないで」
「うん。わかってるけど、お台所見てこなきゃ」
 肌に感じるピリピリしたのは上からきてる。
 でも、お台所の火がついてたりしたら大変だよ。
「マメやなあ。まあ、万一ってこともあるし、一応見とこか」
「うん」
 いっしょにクッキー作ってみたりしたこともあるから、お台所の場所は覚えてる。
 迷わず、リビングの奥のドアを開けた。
 かおりのおうちって、わたしの家とよく似てるんだよね。
「なゆき、このうち来たことあるんか?」
「うん、あるよー。でも、あんまり来ないかな……わたしのおうちにかおりが来ることの方が多いかも」
「そうなんか。いや、なんとなく勝手知りたる家っちゅう感じで台所入りよったからな」
「うーん……そうでもないんだけど。かおりの家、勝手にあっちこっち入っちゃダメみたいだから、かおりのお部屋とこのあたりくらいだよ」
「……まあ、壊されたら困るもんとか、金置いとるとことか、寝室とか、客に『どうぞ』っちゅうワケにはいかへんところはあるわな」
「わたしの家はそんなことないけど」
 お台所を見回して、においもかいでみたけど火もガスも大丈夫みたい。
 他も、危なそうなものはない……かな?
「大丈夫みたいやな。ほな、のんびりしとらんと妖気の方を調査や。ここのモンが寝とるのは一時間くらいやからな」
「うん。じゃ、二階行こっか」
 そう言って、わたしたちはぬき足さし足で二階に向かったのでした。

「ううっ、ぴろちゃん。これってなんだか泥棒さんみたいだよー」
「……言うな、なゆき。それを気にしたら負けや」

 ぴろちゃんの力でおうちの人たち眠らせて、ぴろちゃんの力で玄関のカギ開けちゃって……。
 やっぱり、かおりに言わないで入るのは良くなかったかも。
 たぶん、良心の火薬とかいうのに火がついてるんだよね。
(それ、火薬やのうて呵責やで)
(うにゅっ!?)
 階段でこけた。


 二階に上ると、もうはっきり分かるくらいにピリピリしたものがお肌にふきつけてきた。
 方向は……あ、あの部屋って。
「どうやら、あの部屋からみたいやな」
「うん。ピリピリしてるよ、すっごく」
「あの部屋は何なんや?」
「えっと、分からない」
「なんやて?」
「分からないの。あの部屋、入っちゃいけないって言われてたから。あと、あっちとこっちも」
 そう言って、他のドアも指さしてみる。
 よく考えると、二階はかおりのお部屋くらいしか入ったことないんだよね。
「ふーむ。となると、姐さんの親の寝室とか物置とかやろか……」
「……たぶん」
「よっしゃ。せっかくやし、この機会に禁断の扉は全部開けてまおかー」
 とことこと、なんだかうれしそうに歩き出すぴろちゃん。
 うんうん、開けちゃいけないって言われてると、よけいに中が見たくなっちゃうよね。
 って、そうじゃなくて。
「ダメだよ、ぴろちゃん!」
「おうわっ!?」
 あわてて、目的のドアから一番離れた方のドアに向かったぴろちゃんの尻尾をつかむ。
 そのまま、……ぐいって宙ぶらりんにしちゃった。
「こら、なゆき! どこ持って引っ張りあげとるねん!」
「わわっ!? ごめんー」
 どうしよ、どうしよ。
 こんなところ持って持ち上げちゃったら……。
「痛たたたた! 振り回すな、切れてまう!」
「で、でもどうすればいいの!?」
 じたばたしながら、ぴろちゃんがふりこみたいにゆれている
「パニくるな! 持ってる手を離せばええだけ……ひぎっ!」

 ブチッ!

「……え?」
 い、今の音。
 おそるおそる手を見てみる。
 そこにはぴろちゃんのちぎれた尻尾が……あれ?
「ない?」
「あってたまるかドアホッ!」
 手には、なんだか茶色いものがたくさんあった。
 えっと、これって……毛?
「あーもう、今日は水難ならぬ毛難の日なんか? こんなとこ禿たんはじめてやで……」 床ではぴろちゃんが、泣きながら毛のなくなっちゃった尻尾の先をなめていた。
「よかった。尻尾無事だったよー」
「ようないわっ! こんだけ一気に毛抜かれてみい。どれだけ痛い思てるねん」
「ご、ごめんなさい」
 悪いのは人のぷらいばしーをのぞこうとしたぴろちゃんだと思うけど。


 だけど……。
「しかし姐さんも、寝顔だけは子供らしくてかわいいなあ」
「……うん」
 寝てるか確認って言って、かおりのお部屋に先に入ったわたしもぴろちゃんと同じかも。
 ごめんね、かおり。
 見るつもりじゃなかったけど、いっしょにおふとんで寝てたクマさんのヌイグルミ、かわいかったよ。
 でも、わたしが前に来た時はこんなクマさんいなかったし……やっぱりこのクマさん、かおりの秘密なんだよね。
 誰かに言っちゃわないようにこれから気をつけなきゃ。
 うにゅう。

「何や? 疲れた顔して?」
「ぴろちゃん。人はみんな、上手にウソをつけるようになって大人になっていくんだよ」
「……は? いきなり何言うてんのや? アタマ健康か?」


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「帰ってきましたよー」
あ、葱たんおかえり。随分長かったですね。
「日本全国の潮溜まりを引きずりまわされてたんです……」
……なんかよく分からないけど、大変だったみたいですね(汗)
んじゃ、まあいつも通りいきますか。
「あの、一つ聞いていいですか?」
はい?
「私、帰ってきたの二日前だったんですけど、上の連載放置してどこ行ってたんですか?」
ぎくっ!
『さまふぇすっ!』の感想書いてたんですよ。
作品数はシオリー祭りより減ってましたけど、容量はあんまり違ってなくて予想外に時間が……。
「でも、それだけ楽しめたんですよね?」
それはもちろん。
今回評価SとSSが一本ずつあるくらいです。
他も一作除いて評価C(平均)以上だったから大満足でした。
楽しい一時をありがとうございます。
「よかったですね。萌葱は感想上がったら気になるの読もうと思います」
うわ、局長みたいなことを。
「管理局育ちですから。でも、一作除いて、って何かあったんですか?」
うーん、いや、作品は悪くないし、嫌いじゃないけど……生理的に受け付けないモノが含まれてたってところかなあ。
未成年の飲酒喫煙とか、その他犯罪行為に不快感持つ人がいるのとよく似たものだと思います。
過去taiさんにも感想で漏らした不満事項と同じ系統だったりしますけど。
「……何だったんでしょう? SとSSの作品も気になりますけど、そっちも気になります」
とりあえず、採点期間終わるまではナイショです。


しかし……1〜2日おき更新くらいのつもりで、って宣言してるとぱうすの放置でかなり後ろ髪引かれる思いでした。
「だったら、期間中に連載がかぶらないようにすればよかったのに」
いや、もっと早く終わると思ってたんですけど、予想外に長引いてしまって……(汗)
最終的に第二期は100KB超えそうな勢い。
でも大丈夫です。
「へ? 何がですか?」
いや、コメントも掲示板も特に更新止まってることへの指摘なかったんで……これからは堂々とサボれる。
「威張って言わないで下さいよ、そんなこと。どりーむぷろじぇくとのお客さんが大人なだけかもしれないじゃないですか。更新請求って、迷惑行為だっていうじゃないですか。黙って見守ってくれるお客さんばかりっていいことだと思いますよ」
……うん、そうだね。なんかそういうことする人には失礼な人も多いっていうし、うちの閲覧者は精神年齢高い人が多いのかも。
しばらく放置しててスミマセンでした。


【コメントレス】
さまふぇす!の運営お疲れ様です。
とりあえず作品が公開されたみたいで。
15作品は少し少なめなのかな? ピン題と同じくらいだから、コンペじゃなければこんなものなのかな?

とりあえず、しっかり参加したことを報告しますね。
締め切り間に合いました。
琴吹

どもー。
作品数の割に、容量はシオリーとほぼ同じくらいだったり。
まさか100KBなんかが来るとは思いませんでした。
こんぺじゃないから、というよりお題って制約なんでしょうね。
まあ、ストーリーガーデンさんとこの前夜祭っていうか、中継ぎとしては十分だったんじゃないかと思います。
特に質の方で。


ごめんなさい、タシロ砲というのがわからんとです(汗 HH
タシロ・ヴァゴがマリアを撃った一発。
タシロ・タツミによるエクセリヲンの主砲。
タシロギアソリッドの盗撮。
さて、いずれか?
いずれでもありません。
とりあえずF5キー連打のこと。良い子は迷惑行為なのでやらないよう注意しましょう。


ごめんなさい、調べたらわかりました(ぉ 
あと一万ヒットした瞬間に更新するわけナジャイの出大丈夫ですよ、ええ(何

HH

そうやって未消化状態でたまっていく……。

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                ☆     17     ☆
 あとをついていくと、かおりはおうちに入っていきました。
 かおりがいなくなったのを見て、塀からぴろちゃんがすとんと着地。
(ここ、姐さんの家か?)
(うん。美坂って表札にあるでしょ?)
(せやな。さて……)
 その場におすわりして、顔をあげたままお鼻をひくひくさせるぴろちゃん。
 妖怪さんの気配をさぐってるのかな?
(んー、これは……)
 何か言おうとしたところで、ぴろちゃんが飛び上がる。
「ぎにゃっ!?」
「ど、どうしたのぴろちゃん!?」
「う、上に鼻向けて妖気嗅いどったら、雪が鼻に……ごっつ冷た」
「だ、大丈夫?」
 あわててぴろちゃんを抱き上げて、ぎゅーって顔をあっためてあげた。
 鼻の中に雪が入ったら冷たいよね。
 雪ん子さんになる前はわたしもそうだったし。
「あー、すまん。犬ほどやないけど、猫かて鼻は敏感やからな。もろ吸いこんでもうたわ」
「で、どうだったの?」
 胸の中にぴろちゃんを抱きながら、小声でお話。
 やっぱりテレパシーよりこっちの方がいいかも。
 人にみられちゃったら困るけど。
 うにゅう、おひげがくすぐったいよー。
「間違いなくなんかおるな」
「やっぱり?」
「なゆきも感じとったんか?」
「うん、なんかちょっとテケテケさんの時みたいなピリピリがするの」
 お肌に感じる電気みたいな感じ。
 前に夜の学校で感じたのよりは弱いけど、なんとなく危険な気がする。
「そのピリピリは、妖怪の妖気や。まだ遠いからはっきりせえへんけど、壁ぶち抜いてくるくらいや。どうやら、厄介のがおるみたいやで」
「うん」
 ごくっと息を飲みこんでうなづいた。


「しかし、分からんな……」
「え?」
「いや、姐はん巫女さんの家系や言うたやろ。妖怪寄せ付けへんっちゅう」
「あ、うん」
「あの家、姐さんの家なら家族やって巫女さんの家系やろうし、妖怪が住み着くなんてちょっと考えられへんねんけど。普通はいづらいはずやで」
「そうなの? でも、わたしは何度か遊びにいってるよ?」
「んー、まあなゆきはワイみたいな悪霊やないし。せやけど、この感じ、どう考えても巫女とか嫌う悪霊のもんやで。ワイなんかあの家あんま近寄りたないのに」
 うにゅ、ちょっとよく分からないかも。
 でも、そんなのがかおりの家にいるならなんとかしなきゃ。
 かおりの機嫌が悪いのも、その妖怪さんが何かしてるからかもしれないし。


「ぴろちゃん、どうするの?」
「どうもこうもあらへん。入って調べるしかあらへんやろ」
 それはそうなんだけど……。
「そうじゃなくて、どうやって入るの? かおりだけだったらいいけど、お母さんとかいるかもしれないよ」
「ああ……せやな。それはちとまずい」
 鈍くさいとか言われるけど、わたしだってそろそろ小学三年生。
 魔法とか妖怪とか、そんなことを大人の人に言ったら変な顔をされるのは分かってます。
「やっぱり、かおりには言わなくてよかったかも」
「お母ちゃんおったら説明するの姐さんやろうしなぁ。頭おかしくなったとか思われてもしゃあないわな」
 うん、そんなのにかおり巻き込んだらあまりよくないよ。
「でも、どうしよう。このままじゃ何もできないよ」
「なに、こっそり入るくらいなら大丈夫や」
 ぴょんと、わたしの腕から飛び下りたぴろちゃんは、とことことかおりの家の前に歩いていく。
「なゆき、ちょい気つけえや。ビリリっていくで」
「えっ?」
「普段はなゆきに妖気向けへんようにしとるけど、こいつは加減きかへんからな」
「加減って、何するつもりなの!?」
 まさか、前みたいにかおりの家を必殺するつもりじゃ……。
「催眠術かけるだけや。巫女いうても力が効かへんわけじゃないからな」
「さいみんじゅつって、眠らせるの? でも、いきなり倒れたりしたら大変だよ」
「安心せえ。急激な睡魔に襲われて5分後くらいにぐっすりや。火かけとったりしたらヤバいのくらい考えとる。ええな、いくで」
「う、うんっ」

 バチッ!

「きゃっ!?」
 一瞬、今までに感じたこともないすごいビリビリが体を通り抜けていった。
 足から力が抜けて、とすんとすわってしまう。
 なんか、ぴろちゃんの目がぴかって赤く光った時、ビリッて来たよ。
「大丈夫かなゆき?」
「ぴろちゃん……」
 すわりこんじゃったわたしの前に歩いてきたぴろちゃんは、がくがくふるえて動かないわたしの足をさすってくれた。
 よく分からない。
 でも、なんだかとっても怖いものを見た気がして、ぼろぼろ涙が止まらなくなる。
「ぴろちゃん、怖かったよー」
「すまんすまん。あれだけ膨大な妖気に当てられたら、そら怖いやろ。普通の人間かて震えよるわ」
 立とうとしても、足に力が入らない。
 ううっ、どうなっちゃったのわたし?
「なゆき、隠しとってすまんなぁ。普段は使わんようにしとるけど、今のがワイの本当の力や。怖かったやろ、暗かったやろ?」
「う、うん……」
 怖かったよ。
 それに、なんだか心がまっくろになって、あたりがまっくらになっていく感じがしたよ。
「でも、ぴろちゃん……」
「……ん?」
「それでも、わたしはぴろちゃんが大好きだから。嫌いになったりなんかしないよ」
「な、なゆき、お前何を!?」
 ぐぐって、足に力を入れる。
 負けないもん。
 ぴろちゃんに悲しい顔をさせる力なんかに。
 普段使わないって、ぴろちゃんは言ってた。
 それは、あの力が悲しい力だから。
 立たなきゃ。そんな気持ちに負けちゃいけない……!
 右足……うんっ。左足、うごく。


 うんしょ、ってふんばって立ち上がった。
 足元で、ぴろちゃんがびっくりしてわたしを見上げてた。。
「えへへ、立っちゃった。いこ、ぴろちゃん」
「……こら、なんちゅうたまげた娘や。ワイの妖気を一分そこらではね飛ばしてまうなんて」
 あんぐり口を開けて、しりもちついてたぴろちゃんはしばらくぼーっとしてたけど……。
 今度はとてもうれしそうに笑ってくれたんだよ。
「なゆき。今なゆきが見せたんは勇気や。どんな恐怖かて勇気があればはね飛ばせる。そんでもって、なゆきにはそれがある。覚えとき、勇気があれば……なゆきは無敵や」
「わたしは、むてき?」
 よく分からないけど、勇気って言葉はとっても大事なことだっていうことは分かった。
 うん、ちゃんと覚えておくよ、ぴろちゃん。


「よっしゃ、ぼちぼち寝込みを襲おうか」
「うんっ! って、ええーーっ!?」
「いや、冗談やて。そんなに驚かんでもええやろ」
 だって、ぴろちゃんの冗談はカゲキだよー。
 それに、時々本当にカゲキなことやってるし……おとなりのコロちゃんかわいそう。


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前々回前回のロックマンX4攻略、実際にやってみました。
X4をやるのは半年ぶり、だったかな。
ステージ忘れててスティングレンステージのスクロールに引っかかって一回死んだりとかトラブルありましたけど、概ねさらっとクリア出来ました。
まあ、X8数ヶ月前にやってた身ですし、一年ぶりの人よりは圧倒的に有利ですね(笑)

【X編:1時間10分】
スティングレンステージの二面で、マップをど忘れして強制スクロール死。
その後は大した問題もなく終了。
大槻教授 プラズマはやはり反則的ですね。
取る時、手前にあってくれればもっと楽なのに。

【ZERO編:1時間15分】
カーネル乱入戦がないだけXより有利なはずなのに……。
やはり弱点がないボスの攻略にどうしても時間がかかるのでしょうか。
ジェネラルで体力計算間違えて一回死んだのも問題ですが(ぉぃ)

即攻略、やってみて思ったことはある程度楽ですね。
クリアしてしまえばいいのだから、わざわざ全て避けるなんてプレイをする必要ないです。
とはいえ、かなりあちこちで特攻かけてダメージモーション分タイムロスもしてしまいました。
被弾率落とせばもっと縮められる……かなあ?


【コメントレス】
魔法処女リンクになっているのは仕様ですか?(何
んー? 秋子さんでやる人いるなら処女は止めておきますよ。
でも、よく考えたら雪凪ゆうさんとこの栞は処女じゃないかなあ。
魔法少女にも処女か非処女かが重要になってくる時代なんですねえ(何)


もしかしてF5アタック受けました?
aceさんが更新しただけですよ(汗)
どうでもいいですけど、タシロ砲というと今はHHさんところにやりたいかも。
『一万ヒットごとに更新する予定です。』
ってあると、ねえ?(何)
はっ! しかし、よく見ればこれ『予定』か。
『予定は未定です』って最高の返し文句があるじゃないか……。
流石だ、HHさん。


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「でも、どうしたのぴろちゃん? こんなところで出てきて」
「ん、それなんやけどな学校終わったころから起きとった。教科書減らしてくれておおきにな」
 え……あ、起きてたんだ。
 じゃあ、ねこさんなのにタヌキ寝入りしてたの?
(人聞き悪いこと言うなや。って、猫聞きか)
(わっ、ごめん)
(人おらんけど、どこで見られるか分からんからな。今からは念話や)
(うん、おっけーだよ。あ、でも……)
(なんや?)
(誰かとお話してる時は静かにしててね。突然ヘンなこと言ったら、相手の人びっくりしちゃうから)
(……それくらいの分割思考慣れえや。なゆき、お前食事中噛むのと飲み込むの同時にやれへんタイプやな)
(え? えっと……)
 お食事中?
 ちょっと頭の中でイメージしてみる。
 ごはんをおはしで口の中に入れて、もぐもぐ。
 かまずに飲み込んだら体に悪いって言うから、しっかりかんで……。
(もうええ、よう分かったからそのへんでやめとき)
(う、うん)
 何が分かったのかな?
 でも、分からないことが分かったんだからいいことだよね。
(……とりあえず、何か大幅に勘違いしとるっちゅうことだけは言うておくわ)
 うにゅ?
(それはそうと、かおりの姐さん追っかけるで)
(えっ?)
 かおりを追いかける?


 よく分からなくて首をかしげてると、ぴろちゃんは塀の上にぴょんと飛び乗って歩き始めちゃった。
 と、とりあえずついていかなきゃ。
 何をするつもりか見てないと危ないし……ってこれはぴろちゃんにはないしょだよ。
(ぴろちゃん。追いかけるだけならいいけど、どうして?)
(どうも気になるんや。あれだけ力持っとるのに、触られるまでワイが気付かんっちゅうのもおかしい)
(そうなの?)
(アホ! ワイ、腹が禿てもうてるんやで。なゆきかて、アツアツの熱湯入ったヤカン触ったりはせんやろ。触る前に、なんかヤバいとか思わへんか?)
 アツアツの熱湯入ったヤカン……。
 さわる前に、雰囲気とかむわっとした熱さとかで気付くよね。
 なんとなく分かったので、ぴろちゃんにこくこくうなづく。
(普通やったら、触られる前にヤバいて気付いて逃げられるのに、姐さんどういうわけか全然そういうのを感じられなかったんや。巫女さんの力をな)
(えっと、どういうこと?)
(つまりや。姐さんか姐さんの周りに、何かの異変があるっちゅうことや)
(それって……)
(せや、ほぼ90%妖怪やな。そいつの『におい』ちゅうか妖気が姐さんにも染み付いとって、てっきりなゆきと同じ妖怪の混かと思ってしまったんや)
(え、ええっと……)
 うーんと、えーっと……。
 頭を必死に使ってみたけど、ぴろちゃんの話はよく分からない。
 それでも、なんとか分かったのは……。
(とにかく、かおりに周りに妖怪さんがいるってこと?)
(一言で言ってまうとそういうことや。っと、止まり!)
 きききっ、って音が出るかと思うくらいの感じでぴろちゃんがブレーキをかける。
 わたしも、『わっ』って言いそうになったけど、むぎゅっと口を押さえてブレーキ。
 曲がり角の先をかおりが歩いてた。
(よっしゃ、追いついたな。こっからは気付かれずにいくで。隠密行動や)
(ねえ、ぴろちゃん。かおりに言ったらダメなの? こっそり後をつけるなんて、なんだか悪い人みたいだよ)
(こっそり後つけるのやったらポリ公……いや、警察かてやっとるやないか)
(で、でも、それとこれは違う気がするよー)
 おまわりさんは、悪い人を捕まえるために後をつけるけど、それだったらかおりが悪いことしてるみたいだし。
(ほんならなゆき。もし言って捜査に協力してもらったとしてや、それが間違いやった時、姐さんにどう謝るんや?)
(……え?)
 ちょっと想像してみる。


 調べてみたけど何もなかった時。
「ごめんねかおり、間違いだったよ」
「何が『妖怪がいる』よ。本当にびっくりしたじゃない」
 ぐりぐりぐり。
「いたいよ、やめてよー」
 うう、頭を握り拳でぐりぐりされた。


 黙って調べて見つかった時。
「なゆき!? こんなところで何してるの!?」
「ご、ごめんね、かおり。これにはワケがあって……」
「はぁ……まあいいわ」
 あきれられたけど、許してもらえた。


 結論。
 だまって後をつけたほうがいいかも。
 見つからなかったら怒られないし、それに運がよければかおりを巻き込まないでもすむもんね。
(結論出たんか?)
(う、うん。やっぱりこっそりいくよ)
(おっしゃ、楽しいスニーキングミッション開始やー)
 すにー……なに?
 ぴろちゃんの言ってることは、時々むずかしい。
 そういえば、かおりもそうだけど。
 かおりとぴろちゃんがお話してる時、わたしふたりのお話がむずかしくてよく分からなかった。
 なんていうか……お母さんの電話もそうだけど、大人の話って感じがする。
 でも、たしかぴろちゃんは百才以上なんだよね。
 ほんとは大人だし、やっぱり大人っぽい人の方が話が合うのかな?
(ねえ、ぴろちゃん。かおりってどう思う?)
(どうって、なんのこっちゃ?)
(うん、大人っぽいかなあって。わたしたちのクラスでも一番おとなっぽいもん。むずかしい言葉もよく使うんだよ)
 わたしがそう説明すると、ぴろちゃんはちょっと顔にシワをよせた。
(なゆきの頭ん中は『オトナ=難しい言葉が使える』かい)
 え? えっと、なんだかそれだけじゃない気もするけど……でも大人の人達は子供には分からない話ができるし……違わないかも。
(はあ、まあええ。どっちにしろ、ワイはそうは思わんな)
(……え?)
(あんなもん、ただのガキの強がりか背伸びや。なんや知らんが、姐さんは早く大人になりたがってるみたいやけどな)
 そう、なんだ。
 ほんとの大人になるのって、もっと色々あるのかな。
(やっぱり、大人のぴろちゃんから見たら違うの?)
(大人? ワイがか?)
(うん、だって百年生きてるんでしょ?)
 そう言うと、ぴろちゃんは鼻を『ふんっ』って鳴らして笑った。
 うう、なんか良くない笑いかただよー。
(ワイもまだまだガキや。あの姐さんがなんや他人や思えへんのは、似たモン同士やからかもしれへんな)
 百年生きてても大人じゃないって、大人の世界ってむずかしい。
 わたしは、なれるのかなあ?
(心配せんでも、一番大人に近いのはなゆきや)
(うにゅ? わたし?)
(敵を作らへんヤツ、っちゅうのはそれだけすごいってことや)
 どういうことなんだろ。
 やっぱりむずかしいし、ぴろちゃんは大人だって思うんだけど……。
 そう思っていると、ぴろちゃんは今度はにこってほほえんだ。
(ま、そのうち分かるわい)
 今度はいい笑いかた、かも。
 よく分からないけど、悪い意味じゃないよね。
 だから、わたしはおっきくうなづいて言った。

「うんっ。ふぁいとっ、だよ」
「せやせや、その意気やで」

 ふたりとも声を出してしまって、あわてて影にかくれたのはないしょだよ。
 かおり、気付いてないよね?


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戻ってきました、と思ったら今度は葱たんが旅行で不在ですか。
ま、楽しんで来てください。
で、葱たんがいないのはちょうどいいので今のうちに……(何)

不在期間中、TOP更新してくれてた方々ありがとうございました。

はい、実はこれそれあれは『不在中なのに更新!?』ってネタだったのです。
誰がどれ書いてたかは言って欲しくない人もいそうなので内緒ですが、最後のは丸分かりですね(笑)
見事に『こそあど』言葉を並べたところで、前回の続きのZERO編でも。

ZEROは面白いです。
なんたって、一筆書きで全アイテム回収も可能ってのがいいですね。


【ZERO編】
(1)ジェット・スティングレン
さすがにエアダッシュがないと、接近戦命のゼロにとって戦術の幅が狭くなるのでここから。
ステージもライドチェイサーなので、体力以外性能が問題にならないところがよいです。
ボスは、スティングレンの真下に陣取り、エイ放出が始まったらジャンプ斬りで本体にダメージ。
背中からジャンプ斬りがかすります。
その後、迫ってくるエイを地上の通常切り一段目で破壊。
真下に陣取ってる関係で、吸い込み攻撃は効果がありません。背中を斬り放題です。
上下の体当たりさえ食わなければ、ノーダメージクリアも余裕。

(2)マグマード・ドラグーン
ここを即攻略するメリットは二つ。
まず、入手出来る龍炎刃はザコに多段ヒットする上に、範囲も広く以降のステージ攻略に便利。
二つ目に、龍炎刃で入手出来るアイテムがあることがあげられます。
ドラグーンは強敵で、ゼロの場合弱点もないと最悪な状況ですが、ライドアーマーで削りまくり、前ステージ入手のサブタンクも使用すれば、勝てないこともないはずです。
まあ、ドラグーンを読みきっていれば、ライドアーマーもサブタンクもなしで完封できますけど。

(3)ウェブ・スパイダス
蜂の巣は龍炎刃でサクサク破壊。
ステージ中、銛持った固い敵に守られる扉がありますが、敵とダメージを無視して扉を斬りまくりましょう。
扉壊せば敵は勝手に破壊されます(ぉ)
もちろん、途中の龍炎刃で回収できるアイテムはお忘れなく。

(4)スプリット・マッシュラーム
ライフアップは、落ちていく通路を足場にして入手。
ゼロでボスを真面目に相手すると、時間的にXの比にならないほど死ねるので雷神撃で即殺。
雷神撃が当たらない時も、通常攻撃で削っておくとよい感じです。

(5)サイバー・クジャッカー
空円舞、空円斬でSランクも楽勝。
ボスは龍炎刃で瞬殺。

(6)スラッシュ・ビストレオ
どうせならフクロウル前に体力増やしておいて損な事はないので(ぉ)
ライドアーマーの固い敵、囲まれた場合は落鳳破による無敵回避で処理。
この技、ザコを一撃必殺もできるので非常に便利です。
中ボスは龍炎刃をぶち当てまくればOK。
クールにキメたい人は、ビストレオの飛びかかり攻撃と同時に飛びかかって夕日に勝利を飾ってください。

(7)フロスト・キバトドス
ボスはダメージなんか気にせず龍炎刃で処刑。
ライフアップを忘れずに。
8ボスリターンの時のことを考えると、武器サブタンクも取っておいて損はないかも。

(8)ストーム・フクロウル
中ボスは龍炎刃で連続ダメージ可能。
フクロウルは止めさせたい攻撃の時のみ、落鳳破で攻撃を中断させましょう。
3WAYのミサイルは、切り払いで処理するのがかっこイイ(ぇ)

(ラスト1)兄さん
ステージは少々のダメージ気にせず特攻。
ボス前の左上に回復アイテムが隠れてるので無問題なのです。
また、カーネルの衝撃波攻撃は刀身に当たり判定なしなので、密着していれば斬り放題です。

(ラスト2)妹将軍
ステージ中の固い敵は落鳳破で必殺。
アイリスは龍炎刃でビットもろともコアを攻撃。
実は、ビーム攻撃で地面に沈んでいる時も龍炎刃は当たります。
ジェネラルは真面目に相手すると、異常に時間がかかる危険があるので、サブタンクにモノを言わせてロケットパンチ攻撃時も強引に攻撃をしたいところ。

(ラスト3)
ドラグーン・ビストレオ・フクロウルでサブタンク使用も止む無し。
シグマには体力サブタンクを一個保険に持つ程度で十分ですので、勝てる戦いなら惜しまず使っていきませう。
ゼロの場合シグマのダメージ源は左下本体の吸い込みぶっつけ攻撃のみ。
瓦礫もろとも本体をゼットセイバーで斬りまくるしか対処法がないですが、どうしても切れ目に当たってしまう可能性が消しきれません。
その代わり、Xでは苦労する黄色顔のサンダービットは出現と同時に龍炎刃で破壊できるのでノーダメージで切り抜けられます。

ふう、まあこんなところですか。
X4は8ボス全てのノーマル完封をやれた楽しい作品でした。
続くX6やX7がX4の絶妙なバランスと快適さを見習えなかったのが残念です。
X8がX4並の傑作だっただけに、前二作で買うのを止めてしまったファンが多いだろうなと思うと……。


【コメントレス】
 ……ゼロならキノコとオカマ以外弱点無しでもサクサクいける気がします。
 個人的に死にそうになりながらぎりぎりを避けるドラグーンが一番熱い。あとエイ。
 何故かこの間やった時はアイリスが一番苦戦した……(汗)
 やるの一年以上久し振りだったのに……軍隊衆は竜とレオ以外は初見殺し、しかしアイリスで三落ち(ビットが……)
 シグマでさえ二落ちだったのに何故だろう……。

 そうそう、諸事情により貯金が書けなくなってしまったので火曜から三日間は魔法少女連載出来なさそうですよ(合宿行って来るのでー)

ゆう
X4のゼットセイバーはボスに多段ヒットしてくれないのが痛いです(汗)
まあ、菌類小僧とオカマ以外弱点が効率よく当てられるのはトドとエイくらいなものですが。
ちなみに、エイはゼロでも一番最初にノーダメージクリア余裕で可能ですよ?

そして、魔法少女復帰は僕よりも早かったゆうさんに乾杯(ぇ)


 で、内容感想。
 このまま行くと、数話で他にばれそうですね(笑)
 登場キャラを当分増やす気がなければ別ですがー。

 それはそうと、猫が寝てる時点で何もランドセルに入れられないような気がする私は負け組ですか?

ま、まあ、ぴろは仔猫ですし小さいですから(何)


FF6のセリスに激しくツッコミたい。
カレーライスとハヤシライスは帝国兵士の発言だったような……。
緊縛拷問マニアのセリスにどんなツッコミを?(汗)


「毎度様、お届け物です」
「ハンコお願いします。無ければサインで構わないっすよ」
「はい、どーもでした」
「あ、耳に気を付けてくださいね」
 http://www.search-lights.org/other/Save2005-8-2.jpg
「荷主ですか? えーと、”なんかそこにいるのが嫌になって消えようとしたけど、やっぱり帰って来ようと決めたM(Mだからといってそんな趣味はない。良いんだ、自分のことだから)”って書いてありますねぇ」
「そしたら、また」

スイカ、僕は食べないんですけどねぇ……。
ほら、種食べたら、来年立派なスイカになっちゃいそうとか怖いじゃないですか。


__∧__
\ ´A` / 寂しいな・・・
  |/\|

まあ、過疎サイトはそれが取り柄ですから(違)


ぽぽろ閉鎖したのいつでしたっけ?
8/7 エルラさん 2
8/12 エルラ 6
うちのアクセス解析でエルラさん探している痕跡を発見したので、一応ご報告。

落ちてるのにどうしたのかの質問無いって言ってたけど、落ちてたら連絡取れないよなとか思ったり。

さまふぇす!のし上がりは70%くらい。
来週締め切りなら余裕なのに・・・。
今のところ、間に合う予定です。

琴吹

報告どもです。
二件ほどメールもあったので、旧ページにも対処しておきました。

>落ちてるのにどうしたのかの質問無いって言ってたけど、落ちてたら連絡取れないよなとか思ったり。
いや、捜索隊とかで質問とかなかったので別にいいかなーと(苦笑)

さまふぇすっ! は、もう間に合い確定のようでお疲れ様です。
最終的に何作集まるんでしょうかねえ。
なんか100KB以上とかいう質問があって、全部読めるのか不安になってきましたが。


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「そういえば……」
「うちの家主も名雪さん達も夏休みに入ってるのに……」
「なんで萌葱だけは何時もどおりなんでしょうか?」
「ちょっと、理不尽な気がします」
「萌葱も海や山へ遊びに行きたいな……」
「お困りですかっ?」
「え? だれ?」

         |||
           _
    風    '´    ヽ
      子 i ノノノノノ))
        <l!(!ll ゚ ‐゚ノll
       ☆⊂| y と)
        巛 〉 ´⌒l 参
  すちゃっ  (__ノ ^U   上

「初めまして」
「あ、初めまして…」
「これ、お近づきの印に受け取ってくださいっ」
「あ、わざわざどうも……ええっと、彫刻?」
「はい、風子が作ったとても可愛らしい和みまくりな絶品です。
 お中元でも大変人気で今では一家に一つ欠かせないぐらいです」

「は、はぁ」
「って、貴方はなんなんですか? というか人の家に何処からどうやって!?」
「これは風子とした事がうっかりしていました」
「人に名前を聞く前に名乗るのが礼儀でした……」
「いえ、名前を聞いたのは萌葱なんですけど」
「では、改めまして自己紹介を……」
「人の話を聞いてください……」
「年齢は18歳。好きな物は海洋生物全般で、特にヒトデが好きです」
「あと最近、特技に彫刻が加わりました。
 自分で言うのもなんですがなかなか可愛らしく出来上がります」

「はぁ、そうなんですか」
「……」
「けっきょく名乗って無いじゃないですかっ!?」
「んーこのまんぢゅう、耳にあんこが入ってませんっ。
 詐欺です。風子クレーマーとして目覚めてしまいそうですっ」

「ああっ、何時の間にっ!? というか何勝手に食べてるんですかっ!」
「うっ!?」
「え?」
「ううっ……」
「ちょっ、詰まったんですか? 大丈夫ですか!?」
「今度はお茶が怖いです……」
「……分かりました。入れてくればいいんですね」

――数分後――

「ふぅ……ひとごこちつきました」
「それで風子はなんでこんな所にいるんでしょうか?」
「それを萌葱に聞きかないでくださいっ」
「そうですっ! こう言う時はおねぇちゃんが持たせてくれたメモを見れば良いんです」
「えっと……」
「ってお買い物メモですーっ!?」
「風子お使いの途中だったんでしょうか?」
「だから萌葱に聞かないでくださいっ」
「唐突ですが、思い出しました」
「ホントに唐突ですね」
「というわけで一緒に海に行きましょうっ!」
「なんか色々端折られてる気がするんですが」
「大丈夫です。こう見えても風子海のエキスパートです」
「いえ、そういう心配してるわけではないです」
「それでは早速レッツゴーです」
「お願いですから人の話を少しは聞いてくださいっ!」
「大体、萌葱はお留守番の最中なので遊びにいけないんです」
「あ、それですっ! やっと思い出しました。
 風子その話を聞いて助けに来たんです」

「今思い出したんですかっ!? というかさっき思い出したというのは……」
「風子に任せてくれれば大丈夫ですっ!
 それで、すみませんがさっきプレゼントしたヒトデの彫刻を返してください」

「何を言っても無駄みたいですね……というかこれヒトデだったんですか」
「あ、サインペンもあればお願いします」
「はぁ……どうぞ。これでいいんですか?」
「ありがとうございます。では」

キュッキュッキュッ

__∧__
\ ゚皿゚ /
  |/\|

「ふぅ……出来ました」
「お留守番代理のヒトデ原さん二号です」
「え、代理って顔を描いただけ……」
「それでは海に行きましょうっ! 海の仲間が風子達を呼んでますっ!」
「いえ、ですから。これじゃ留守番が……って引っ張らないでくださいーっ!」
「大丈夫です。お金も風子が持ってます。なぜか一万円もあります」
「それってもしかしておつかいのお金なんじゃ……」
「んーっ楽しみですっ。風子お友達と一緒の海は初めてです」
「萌葱が何時から友達になってるんですかっ!? って服がっ服が伸びますーっ!」
「あ、なんかもう外にっ。あ、ドアまでっ。あーっ!?」

パタン

__∧__
\ ゚皿゚ / ……
  |/\|



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 ご主人様が一人で映画劇場を見ていると、呼び鈴の鳴る音がしました。

【?】「やあ、名雪に会いに来たよ」
【エルラ】「名雪ですか?(苦笑」
【?】「もちろん、キミにも会いたかったさ」

 あれは……名雪を愛するあまり暴走の多かったAさんです。

【名雪を愛するあまり暴走の多いA】「さあ、今夜もSSを書こうじゃないか……おや?」
【?】「……なんだか散らかった部屋だな。まぁ私も人のことは言えないが」
【エルラ】「Bさん? 何でここに?」

 あれは……同人に力を入れるあまり、Kanonこんぺにはもう出てこなくなったBさんです。

【同人に力を入れるあまり、Kanonこんぺにはもう出てこなくなったB】「エルラちんは、もう少し匿名の相手との付き合い方を考えた方がいいぞ。……お?」
【?】「こんばんは、エルラさん」
【エルラ】「あ、Cさん。お久しぶりです」

 あれは……殺伐としたSS界に嫌気がさして、この世界を去ったばかりのCさんです。

【殺伐としたSS界に嫌気がさして、この世界を去ったばかりのC】「私もやっぱり、もう一度書きたくなったんだ。……何と言っても――」

【A,B,C】「――私たち、Kanonが好きなことに、そしてSSが好きなことに変わりはないからね」

【エルラ】「みんな……」
【B】「SS書くぞ!」
【C】「私も参加していいかな?」
【A】「ま、私がどのキャラを使うかは内緒だけど!」
【エルラ】「言っとくけど、僕の感想は厳しいですよ」

 ああ……こんな嬉しそうなご主人様の顔、久しぶりに見ました。

【B】「飽きた。Kanonプレイするぞ!」
【C】「それも良いですね」
【A】「最初は名雪シナリオが良いな」
【エルラ】「みんな仕方ないなあ……PCのスイッチ入れますよ」

 そうです。ヘンタイでレズのケまであるご主人様ですけど、Kanonを愛していることは、それだけは私がずっとずっと見てきたんですから。

【エルラ】「あはははは♪」
【B】「あはははは♪」
【C】「あはははは♪」
【A】「なゆきぃ♪」

 ………
 ……
 …

 そんな、幸せな夢を見ていました。
 いつか現実になることを、そっと願いながら。


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『旅に出ます…捜さないでください。
 後、留守の間に変な事言ってたら後でお仕置きしますからね♥
                                  byエルラ』
「……」
「ええっと、なんなんでしょうかこれは?」
「まさかあの人家出なんですか?」
「でも、出かける前にちゃんと数日留守にするって言ってたんですから、こんな手紙を残していかなくてもいいのに……」
「……」
「まぁ、久々の平和な一時ですし些末な事は気にしなくてもいいですよね」
「とりあえずお茶でも入れてきましょう」
パタパタ
「よいしょっと」
「ふぅ〜」
「気を使う人がいないと、とってもくつろげますね」
「これからもあの人ちょくちょく消えてくれると良いんですが……」
「そういえばネコミミまんぢうまだ残ってましたっけ」
がさごそ
「はむっ、もぐもぐ」
「うーん、やっぱりあんこの入ってないこの耳はちょっと詐欺みたいな気がします」
「……」
「えっと、TVでも見ましょうか」
かちっ
「我こそは〜♪我こそは〜♪」
かちっ
「続いてのニュースです。本日、北の町で新種の魔法少女が見つかったと…」
かちっ
「酸っぱい果実に甘いクリーム。みんなが待っていたこの味。クリーム入りキウイフルーツが新発売!」
ぱちんっ
「……」
「面白い番組はやってないですね……」
「うう、一人の時間が久しぶり過ぎて暇を持て余しそうです……」
「なにか面白い事ないでしょうか」
うろうろ
「あ、そういえば男の人がいない時のお約束がありましたよね」
「やっぱりベッドの下かな〜♪」
ガサガサ
「っと手応えアリ」
「ふふふ、やっぱり隠してましたか」
「でも、二冊ありますね……こっちはアルバム?」
ぺらぺら
「わ、あの人でもまともな幼児だったころがあったんですね」
「ふふ、こっちは白いリボンつけてます。この頃から変な趣味はあったんですね」
「この方はお母さんでしょうか? なかなか綺麗な方ですね」
「……あれ?」
「なんであの人セーラー服なんか着てるんでしょうか?」
「あ、今度はスクール水着。それとブルマも……」
「……うう」
「前から変態だとは思ってましたが、ここまでとは」
「はぁ……まだ局長の所にいた方が幸せな気がしてきました」
「でも、個人の趣味をどうこう言っても仕方ないですよね……」
ひらり
「っと写真が一枚落ちてしまいました」
「タイトル『はじめてのおふろ』?」
「わ、裸です」
「ち、小さい頃のとはいえちょっと照れますね」
「……え?」
「ついてない?」
「え? ええ?」
じーっ
「何度見てもついてないっ!?」
「えええーっ!? あの人女だったんですか!?」
「……なんなんでしょう」
「信じられない物を見てしまった所為か脳が現実を拒否しています……」
「真実は時として残酷とはよく言ったものです……」
「これが夢である事を願ってベッドに入れば夢になってくれないでしょうか」
ガサッ
「あれ? 手に何かあたりました」
「ええっと?」
「あ、さっき引っ張り出したもう一つの本ですか」
「どれどれ……」
「タイトルは『罰ゲームに向けて…運動会の練習ですっ♥』ですか」
「なぜか裸の女の人どうしが抱き合ってる写真ばかりですね……」
「……」
「も、もしかしてあの人ってそういう趣味が? つまり、私もそのうち……」
――想像中――
「イ、イヤァァァァァァァァァっ!?」