祐一の部屋の方からドアの閉じる音が聞こえた。
…わたしはそっと、部屋の鍵を閉めた。
今、わたしの手にあるのは男の人のものに似せたオモチャだった。
これで白い時間を求める。
…生理は嘘だった。
学校から出たあと、帰り道で偶然見つけた怪しいお店で見つけた物。
少し高かったけど、ほとんど躊躇わず買った。
黒光りしている本体が月明かりに照らされ、怪しく光る。
電池で動くそれは、あるだけで異質だった。
眺めているうちに、思わず微笑んでしまっていた。
スイッチを入れてみる。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…
スイッチが入ったそれはふとんの上で振動しながら長い本体をうねらせた。
眺めているうちに、思わず微笑んでしまっていた。
わたしの体の中で動く様子を想像してみる。
まだ何もしていないのに下着はすでに湿っていた。
スイッチを切ると部屋はまた静かになった。
「………………」
ズボンと下着を一緒に下ろし、粘液で光るアソコにオモチャを当てる。
粘液質の音がして、先の部分がわたしの中に入った。
そして、そのまま一気に力を入れた。
ずぶずぶずぶっ…!!
「はぁぁぁぁぁぁぁ…っ!」
身体の中に別の物が進入してくる感覚。熱い刺激をお腹に感じる。
「はぁっ… はぁっ…」
入れただけでこんなに気持ちいいなんて…
恐る恐るスイッチを入れる。
スライド式のスイッチを入れた瞬間、それは生き物のようにわたしの身体の中で、身体をよじった。
「やだっ、これ… あふっ、んんっ」
モーターの動く音と胎内をかき回される音が部屋に響く。
祐一に聞かれたりはしないだろうか…
心配だったが、すぐにその事も考えられなくなってしまった。
モーターは疲れを知らずに与えられた仕事をただ黙々とこなしている。
こんなにも続けてされるなんて体験できなかった。
「あっ… あぁ…っ いい…っ はぁっ…」
胎内をかき回され、粘液が隙間からあふれ出る。
普通にエッチをしていても、ここまでの快感は得られなかった。
「やだっ… もうダメっ…」
暴れまわるオモチャはただ黙々とわたしの胎内で動いて快楽を与えてくれる。
行き場をなくした粘液が溢れて、シーツに染みを作った。
さっきよりもかき回す音がエッチになっている。
もうこれ以上我慢できない…っ
「あんっ… あぁっ… あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
仰け反りながら、襲い掛かる快楽の波を受け入れる。
アソコがジンジンとする。
まだ… まだ… したい。
右手が胸に、左手がお尻の穴に伸びる。
指で乳首をつまみ、愛液でほぐしたお尻に人差し指を入れる。
つぷっ…
「ひぃぁぁぁぁぁぁっ…!!」
イッたばかりのせいか、さっきよりも気持ちいい。
アソコもお尻も熱くて溶けてしまいそうだった。
右手でオモチャを掴み、上下に動かす。
「あっ… あっ… あぁっ… だめぇ…」
エッチな音がさらに大きくなる。
アソコからは粘液が止まらない。
「あっ… ダメッ… とん… じゃうぅ…っ!」
頭の中が白くなり始め、身体が痙攣する。
アソコがジンジンとして、快楽が麻薬のように体中を駆け巡る。
「あっ… あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…っ!!」
視界が真っ白になる。
ああ… この感覚だ…
わたしが欲しかった感覚、全てを忘れられる時間。
心地よい倦怠感が身体を包む。
意識も虚ろなまま、わたしは深い眠りについた…
「…彼女を救える人はただ一人」
知っている。
救える力を持っているのはあの人だという事を…
でも、あの人も胸の中に影を宿している。
その弱さは致命的なもの…
あの人も乗りえなければいけない事を背負っている。
「あの二人が救われる日は… いつなのか分からない」
明日なのか数年後なのか、それとも一生…
でも、乗り越えて欲しいと思う。
乗り越えずに悲しみに飲まれてしまっては…
先に待っているのは悲しい未来しかないから…
「私とあなたはただこうして傍観しているだけ…」
「行き先を見ている事しかできない…」
力を貸せない事がこんなにも辛いなんて…
いまさら後悔してももう遅いときに気付くなんて…
やかましく繰り返している玄関のチャイムで目を覚ました。
「ん…?」
時計を見る。
「っ…!?」
一気に目が覚めた。
時計の針が差す時間は、かなり… というよりほぼ絶望的な時間だった。
急いで着替え、名雪の部屋に向かう。
「名雪、起きろ!」
ドアを何度も叩く。
「んにゅ…?」
しばしの静寂。
「わっ!? もうこんな時間だよ〜」
慌てているようだが、とてもじゃないがそんな風には聞こえなかった。
「さっさと着替えないとヤバイぞ!」
「う、うん」
5分後、着替え終わった名雪が部屋から出てきた。
名雪にしてはかなり速いペースだった。
「急ぐぞ!」
「うんっ」
一階に降り、ドアを開けると、香里と北川が立っていた。
2人とも息が荒い。
…どうやら4人共々寝坊したんだな。
「…面目ない」
「あたしたちも寝坊なんだから気にしないで。とにかく急ぎましょ」
「あの授業を遅刻するのだけは勘弁願いたいぞ」
靴を履き終え、道路に出ると4人で走り出した。
寝起きでここまでの激しい運動をするのは正直言って身体に悪いと思うんだが…
喋る間もなく、懸命に走った。
「はぁはぁ…」
「はぁはぁ…」
「さ、さすがに今日のは堪えたわね…」
「気持ち悪いぞ…」
満身創痍とも言える状態で、何とか間に合った。
ホームルームが終わり、今日の授業が終わった。
教室にいる奴らは今日の予定を楽しげに話したり、すぐに帰ったりとみんなバラバラだった。
「さて…」
隣にいる名雪を見る。
「どうしたの?」
「帰らないのか?」
「あ、今日は… 部活に行こうと思ってたんだ」
「そうか…」
いままで前に進めなかった。
でも、それも少しずつ変わっているんだな。
名雪も変わろうとして、頑張っているんだ。
だったら全力で応援してやらないとな。
「わかった。俺は途中でどこか寄るかも」
「あまり遅くなったらダメだよ」
「あぁ」
「あ、あと一つお願いしていいかな?」
「買い物か?」
「うん、この紙に書いてあるものを買ってきて欲しいの」
紙には隙間なく買うものが書いてあった。
「ごめんね…」
「いや、お安い御用だ」
俺はメモと財布を受け取ると名雪と一緒に教室を出た。
部室の方角に玄関があるため、途中まで名雪と一緒に歩いた。
「それじゃ、またあとで。部活頑張ってな」
「うん、またあとでね〜」
名雪に見送られ、俺は学校をあとにした。
振り返ると、名雪は校内に入る途中だった。
一瞬見えたその横顔は…
抱いているときの顔だった。
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