翌日、昨日と同じように名雪がトイレまでついてきた。
   そして、昨日と同じように戻っていく。
   …何かが変わっている。
   そして、それは悪いほうに傾いている予感がした。
   そんな事考えちゃいけないのに…
   なぜか、不安な気持ちは拭えなかった。
   忘れてしまえたらどれほど楽だろうか…
   でも、それをする事はできない。
   俺も名雪と同じように、傷を受け入れなければいけないんだから…
   5時間目の授業は眠気との戦いだ。
   適度に腹が膨れ、この暖気だ。
   おまけに暗記系の授業だと戦いは厳しくなる。
   隣を見てみると… 名雪はすでに戦いを放棄したみたいだった。
   既に瞼が半分以上下がっている。

   俺も放棄してしまいたいが、そうもいかない。
   越してきて授業の内容が変わったというハンデがある上に、休んでいた分遅れも出ている。
   それに、ここで甘えてしまっては漢が廃る…っ!!
   …多分。
  「(耐えるんだ、耐えるんだ、俺…)」
   眠らないように、重い瞼を必死に開け続け耐える。
   乗り切るんだっ! 乗り切るんだっ!
  「ぁ…」
   名雪の声に気づいて、名雪の方に視線をやる。
   名雪が起きていた。
   目が見開かれ、小声ながら何か言葉を発していた。
   あの日の夢を見た後起こる症状。
   今の名雪はまさにそれが起こっている時だった。
   このときほど精神が安定しないときは無い。
  「(マズイな…)」
   ここは素直に保健室に…
   そう思った瞬間、チャイムが鳴って授業は終わった。
   思ったより時間が経っていたみたいだ。
  「名雪、大丈夫か?」
  「ぁ… ぁぁ… ぃゃぁ…」
   くっ… これは次の授業は無理だな…
  「歩けるか?」
  「………」
   小さく頷いたのを確認すると、肩を貸して立ち上がらせた。
   そして、そのままの姿勢で教室を出た。
   保健室は1階だ。
   こういうときにエレベーターがないのが悔やまれる。
  「ゅぅぃ… ち…」
   小さく、それでもしっかりと聞き取れる声で名雪は俺を呼んだ。
  「どうした、歩くの辛いか?」
  「トイレ… つれてって…」
  「え? トイレ…?」
   気がつくと俺は手を引かれ、近くの男子トイレに連れ込まれた。
  「名雪、ここ男子トイレだって」
  「だいじょうぶ、人… 来ないから…」
   確かに、ここは旧校舎に近いトイレで滅多に人は来ない。
   だが、何でトイレなんかに…?
   名雪はそのまま俺と一緒に個室に入り、ドアにロックをかけた。
  「お、おい… 何のつもりだよ…?」
  



   いまいち名雪のしようとしている事が…
   その時、俺ははっとした。
   名雪の顔が快楽を求めていることに…
  「お、おい… ここでするのか…?」
  「ゴメンね… でも、祐一が欲しいの…」
   ジッパーを下ろすとパンツのからペニスを出し、すぐに口に含んだ。
  「んっ… ちゅぱっ… んふぅ」
   名雪の唇がペニスを押さえ、舌は亀頭や茎を絡め取るように動いている。
   名雪の舌は信じられない位ツボになるポイントを狙っている。
   名雪の動きは明らかに射精を促している。
   現に、精液がもう尿道を上りかけてしまっている。
   この感覚は… ちょっと苦しい…
  「ちょ、名雪… 強いっ」
  「えっ? 痛かった…?」
  「い、いや。それはないんだが…」
   少し痛みがあるぐらいの強烈な愛撫も、全体を通しての気持ちよさに変わってしまう。
  「ごめんね、最初に祐一の… 飲みたくて」
   そう言い、笑顔を見せる。
   名雪の笑みはいつもの子供のようなものじゃなくて、大人の笑みだった。
  「んむっ、ちゅぷっ… ちゅぷっ」
   再び唇や舌が動き出す。
   鈴口や裏筋を這う舌は、最初に名雪にしてもらった時とはまったく別物のような動きをしていた。
   確実にやり方を覚えている… そんな動きだ。
   射精まではあっという間だった。
   何の抵抗もできない。
   今の俺は名雪にされるがままだった。
   びゅくっ! びゅくっ!
   名雪の舌が亀頭を刺激した時、精液は名雪の口内を汚した。
  「んっ、んくっ、んぐっ…」
   一滴も零さないように、一生懸命飲んでいく。
   ペニスから口を離すと、口と亀頭に粘液の糸ができた。
  「おいしかったよ、祐一のセイエキ」
   ゾクッ
   一瞬寒気を感じた。
   何故だか分からなかったが、今は名雪が怖かった。
  「ねぇ… わたしもこうなっちゃった…」
   スカートをたくし上げると、そこにはすでに湿っている下着に包まれたアソコが見えた。
  「ゆういち、さわって?」
   俺の手を取り、性器に触れさせた。
  「はぁっ、はぁっ、祐一の指が当たってるよぉ…」
   片方の手は俺の手を使って性器を弄り、もう片方の手は胸を弄っている。
   異常ともいえるその光景に、俺は欲情してしまった。
   ペニスが回復を始める。
  「はぁっ、はぁっ… おおきくなったね」
   名雪は俺の手を離すと、回復を始めていたペニスを掴み、自分の性器にこすり付けた。
  「いぃ… いぃよぉ…」
   ぬちゃぬちゃと粘膜が擦れる音がしている。
   その音も俺と名雪を興奮させる。
  「はぁっ… 気持ちいい… 祐一のが当たってるよぉ…」
   粘液がこすれる音と名雪の喘ぎ声が個室にやけに響いた。
   名雪は指で下着を横にずらして、一気に腰を下ろした。
   ずぷずぷっ!
  「あはぁっ! あぁ… おっきいのが来たぁ…」
   一気に奥の方まで入った。
   名雪は片方の手で胸を愛撫しながら、腰を上下させて快楽を得ようとしている。
  「あんっ、あっ、あふぅ… こすれるよぉ…」
   腰を上下させるたびに擦れ合う粘膜が淫靡な音を立てる。
  「いいっ、いいよぉ… 祐一ぃ、好きっ… 大好きっ!」
   名雪は俺にもたれかかってきて、唇を重ねてきた。
   舌と舌が絡み合って、お互いの唾液が混ざり合う。
  「んちゅっ、ちゅぱっ、ちゅぅっ」
   俺に跨って腰を振る姿は普段の名雪ではなかった。
   快楽に溺れる名雪を見て恐れる自分がいる中で、本能に任された精気だけが名雪を気持ちよくさせていた。
   舌が絡み合う。
   唾液がお互いの口元をベトベトにしていく。
  「んふっ、んっ、んーっ、んはぁっ… ゆういちぃ…」
   名雪と俺の性器が擦れ合い、すごい音がなる。
   人が滅多に来ない所だからいいが、これは確実に外にも聞こえているだろう。
  「あ、そうだ… こっちにも入れてみるね?」
   腰を上げ、俺から一度離れると再び名雪は腰を下ろした。
  「え? 名雪、そこっ…」
   言い終えるより先に、名雪の中に奥まで入っていた。
  「んぁっ!? はぁ… はぁっ…」
  「っ! きつっ…!」
   俺が貫いているのはアヌスだった。
   締め付けは半端じゃなくこちらのほうが上だった。
   いくら昨日そこでしたとはいえ、まだ慣れるには遠いだろう。
   見ると、結合部から血が流れていた。
  「っ… うごいて… みるね?」
   かなり痛いはずだが、名雪は痛みすら快楽に変えているみたいだった。
   ずちゅっ! ずちゅっ! ずちゅっ!
  「うんっ… ふぁっ、ふとぉ… い」
   ゆっくりと始まったピストンは、気が付けば激しくなっていた。
   名雪もすっかりと慣れたのか、普段と違う快楽を貪っていた。
  「ひうっ… あふぅ… くせに、なりそう… お尻すごい… すごいよぉっ」
   ずちゅっ! ずちゅっ! ずちゅっ!
   ペニスがアヌスに出入りしている。
   アソコは入り口が男を誘っているように動いている。
  「やぁっ、もう… だめぇっ!! まっしろっ、まっしろに… はぁんっ!」
   名雪の体が小刻みに震え始める。
   締め付けが強くなり始めて、ペニスが容赦なく締め付けられる。
  「くっ…」
   我慢する間もなく、果てる瞬間を迎えた。
   どくんっ! どくんっ! どくっ!
   名雪の腸内に精液を吐き出した。
  「はぁっ!? あ… っぃ! はぁぁんっ、はぁっ、はぁっ…」
   ビクビクと名雪の体が痙攣する。
   名雪も絶頂を迎えたようだ。
  「ふぅ… はぁ…」
   アヌスは出された精液を漏らさないようにぴったりと俺のペニスに吸い付いている。
   痛いぐらいにペニスを締め付けてくる。
   俺も名雪も疲れてそのまま動けなかった。
   しばらく繋がったままで呼吸を整えていた。
  

   6時間目は幸いにも、自習だった。
  



   その夜、俺はベッドの上で昼間の事を思い出していた。
   名雪の様子は明らかに普段と違っていた。
   急に俺を求めたこと、それも不思議だ。
   もしかしたら、見た夢が原因なのかもしれない。
   たまたまそういった内容の夢を見たせいで、興奮したのかもしれない。
   …考えれば考えるほど眠れなくなる。
   隣で寝ている名雪は気持ちよさそうに寝息を立てている。
   こういう姿を見ると、昼間のことがまるで夢のように思えてしまう。
   どっちが本当の名雪なんだ…?
   ………………
   もういい、寝てしまえ…
   瞳を閉じる。
   視界は黒一色に染まった。
   隣に名雪の寝息を感じる。
   …あの日の夢は見ていないみたいだ。
  











  「…彼女がいましている事はある意味最悪の行為」
   彼女の言葉がぐさりと胸に刺さる。
   逃げることがすべて悪い事ではない。
   自分も一度逃げようとした時期はある。
   でも、だからこそ頑張って欲しい。
  「…あなたが力を貸す事はできない。ただこうして見守るだけ」
   それはすごく辛い。
   今すぐ行って助けてたい。
   でも、自分にはそれが許されない…
   この体はもう存在しない体なのだから…
  「彼女はこのまま道を誤ってしまうかもしれないけど…」
   冷たくて、それでいて突き放すような声。
   でも、それはどこか優しさを含んでいた。
   その優しさを、私は知っていた。
  「それでも彼女の事を… まだ見守るの?」
   …もちろんだ。
   見ているしかできないのなら、せめて時間が許す限りこうして見守っていよう。
   それしかできないのだから…
  

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