昨日から、俺と名雪は同じベッドで寝ている。
   手を伸ばせばすぐ近くに温もりがある。
   でも… なぜだか遠くに感じてしまう…
   それはどうしてなのだろうか…
   言い表せない、黒い不安が沸き起こってくる。
  「…名雪、起きてるか?」
  「ん…?」
   この不安を消し去りたい。
   名雪を近くに感じたいから… 俺は言う。
  「明日も… 学校行こうな」
  「うん…」
   名雪の額にキスをして、瞳を閉じた。
   明日もいい日であるように祈りを込めながら。













  「彼女の未来はどうなるのだろうか…」
   こうして見守る事しかできない事が本当に苦痛。
   助けてあげる事は一切できない…
   私が少しでも力になれるなら…
  「人は一人では生きてはいけない」
  「でも、時には一人で頑張らなければいけない時もある」
   頼りたいときに頼れる者がいない。
   そういう事はこれから先何度もあるだろう。
   それでもこの手を差し伸べたいと思う気持ちは甘すぎるのだろうか…
   私はきっと天国になんて行けない。
   あんな大きな悲しみを遺して逝ってしまったのだから…
  「大丈夫… とは言い切れない」
  「でも、こうして見守ってあげることは大事なこと…」
  「だから、もう少し見守りましょう」













   翌朝、俺と名雪と香里は走っていた。
   毎度おなじみで寝坊の名雪と、珍しく寝坊の香里。
   …そんな俺も寝坊だけど。
  「…これじゃ、昨日の北川じゃないか」
  「うー ごめんね…」
  「三人揃って走るとはね…」
   雪で白く染まった道路を三人で走る。
   空は今日も嫌なくらい青かった。


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