1 中学三年――せめぎ合う『男』と『女』
【1】
「潤クン、体調は相変わらず?」
「ん? ……ああ」
体育の時間、俺たちは他のみんなから離れて育館を男女別に分けるネットのところにいた。
会話の内容はどうあれ、クラスメイトの美雪と話すことに俺の胸は高鳴っていた。
男子はバスケ、女子はバレーボールに興じている。
だが、俺も美雪も、止むに止まれぬ理由で体育を休んでいた。
「小5のときに体壊してからずっとだもんね」
「……ああ」
俺はそういう設定で体育の授業は免除、そして今日の美雪は……野暮なことは言うまい。
「クラスの対抗試合で水泳の選手に選ばれてたのに残念だったね。泳いでるときの潤クン、かっこよかった。私、憧れてたんだよ」
「……」
美雪が水泳始めたのは、俺がきっかけだと聞いたことがある。
「ごめん。無神経だったね」
「……もういいよ」
ボールが転がってきた。駆け寄ってきた男子も残念そうに俺を見ている。
ボールを放ると、受け取ったあいつはしばらく複雑な視線を俺に向けていたが、すぐに試合に復帰した。
「勝也クン、ライバルだったんだっけ?」
「ああ、保育園のころから、水泳に限らず何かと張り合ってたんだ」
ドリブルをしている勝也を目で追う。
あいつが放ったシュートは緩やかな放物線を描いてゴールのリングに当たり、跳ね上がった後、見事に決まった。
「よう長嶺、新しいの手に入れたぞ」
休み時間、男子の一人が俺にヘッドロックをかけてきた。
たちまち他の男子も集まり、机の上に広げられた雑誌を注目する。
あられもない姿の婦女子がそこには写っていた。
中学生である俺たちにこそ最も必要とされながら、所持を認められない出版物。いわゆるエロ本であった。
鑑賞者のうち数名は素直な反応を見せ、中腰になる。その中には、俺も含まれていた。
だから俺は男だ、ちゃんと、男なんだ。
「あのときのボールの勢い、大したもんじゃないか。本当に体育できないのか?」
帰り、勝也は俺にそう言ってきた。
「バカ、短期間ならともかくスタミナが持たないんだろ。長嶺、そういうことなんだろ?」
「……」
傍にいた斉藤のフォローにも相槌を打てないまま、俺は他のみんなを置いて早足で帰る。
彼のフォローは、ある意味では正解、ある意味では外れだった。
胸の鼓動が激しいのは、体力が落ちてるのに無理して早歩きしているからだ。決して、幼なじみの勝也と話したからではない。
「う〜、汗かいちまった」
帰宅し、だぶつき気味の学ランを脱ぐ。
部屋にある姿見には、華奢な体つきには不釣り合いな胸板がTシャツを押し上げている奇妙な上半身が写っていた。
溜息の後、汗で湿ったTシャツを脱ぐ。胸板は細長い布に巻かれていた。
布をスルスルと解いてゆくと、すき間から柔らかい膨らみがはみ出してゆく。
細長い布――サラシが完全に解かれ、パサ、と畳の上に落ちる。
そこには、どう見ても年頃の少女のソレとしか思えない可愛らしい乳房が出現していた。
「はぁ……ものの見事に、育ってるな」
しばらくそれを見ていると、股間が窮屈になってきた。
大してテンションのかかっていないベルトを引き抜くと、ウエストの部分が酷くしわよっているのが見える。
ズボン全体の太さとウエストの太さは明らかに不釣り合い、にもかかわらず尻の部分はピン、と張っている。そこが引っかかり、ジッパーを下げホックを外しても腰からズボンは落ちない。
それを両手で押し下げると、そこにはほっそりとしたウエストと、むちっとした太ももが露出する。
そして丸みを帯びた腰を覆うトランクスは、前部が内側から棒状の突起で押し上げられていた。
俺は普通に男として育ってきた。
他の男子と共に立ちションをし、銭湯の男湯に入り、体育の授業では男子として着替えた。
ごく普通の、いや、むしろ活発な男として生きていた。
だが、小5の夏。俺の中に眠っていた女が目覚めた。
腹を壊したのとは異質の腹痛。慌ててトイレに駆け込む途中で感じた、尻の穴とも、チンコの先端とも異なる部分から液体が滴り落ちる感覚。便器に座り、血染めのパンツが視界に入ると共に、意識が遠のいていった。
病院で目を覚ました俺に、腫れ物に触るように、それでいて深い覚悟を秘めた表情の親から俺の体の秘密を告げられた。
男と女の入り混じった体。赤ん坊の頃はどちらかといえば男の子に近かったため男児として育てたこと。
だが、肉体の性と精神の性がどっち寄りに発達してゆくかははっきりしないため、男でも女でも使える潤という名をつけたという。
そして、俺がどっち寄りになっていったかというと……。
「……自分の胸見てなに興奮してるんだ」
節操のない自分の体に溜息をつき、トランクスを下ろして全裸になる。
姿見には、骨太の感じはするものの全体的には丸みを帯びた年頃の少女の裸体が写っていた。
一部を除いて。
「うう……」
自分の胸を見て更にいきり立つチンコ。それと連動してぬめってきた、チンコの奥に位置する割れ目。
俺の体は男と女どちらにも寄らず、ものの見事に両方が発達していた。
医者の話はよくわからなかったが、俺の体は奇跡的にも両方とも機能しており、ホルモンのバランスもわりとうまく取れていて急激な老化や骨がボロボロになるといった健康面の切実な問題はないらしい。
体をいじることなく生きていける。むしろ、男か女どちらかに合わせようとヘタにホルモン剤飲んだりメス入れたらどうなるか予想もつかないという。
ホルモンバランスの調整で苦労してる人からすれば俺は恵まれてるんだろうけど……。
「……泳ぎたい」
体が女っぽくなってきたため体力こそ本物の男には負けるものの、運動できないほどではない。
だが、こんな胸でどうやってみんなと着替えりゃいいのか。第一、水着になんてなれっこない。他の運動だってそうだ。
例え体力があったってどうにもならない。これが、体育を休んでいる理由だった。
そんな俺の悩みをよそに、体は昂ぶってゆく。
入れたい、入れて欲しい。突き上げたい、突き上げて欲しい。抱きしめたい、抱きしめられたい。相反する衝動が渦巻く。
脳裏には二つの光景が浮かんだ。
女の柔らかい体を優しく、時に乱暴に抱き、貫く。
男のがっしりとした体に力強く抱きしめられ、貫かれる。
そのどちらも俺で、その相手の一方は美雪、そして……。
「……くそ。俺は男なのに、男なのに……」
もう一方の相手は、勝也だった。
保育園の頃からの腐れ縁であり、何かと張り合ってきた相手。ライバルであり、親友だった。
だが俺の中の『女』が目覚めたとき、勝也はもう一つの形で俺の心の中に居座るようになった。
目覚めた俺の中の『女』に追いやられることなく健在な『男』は、ソレを嫌悪する。
だが、『女』はあざ笑うように俺の心の中にある勝也の居場所を広げてゆく。
逞しくなってゆくあいつに抱きしめられ、膨らんできた俺の胸を揉まれ、更に……。
「くそ、俺は、俺は……」
かぶりを振って『女』が描いた光景を振り払い、『男』として美雪を抱く光景を考える。
美雪を怖がらせないようにゆっくりと脱がし、恥らうあいつの唇を塞ぎ、優しく抱きしめる。
そおっと乳房に触れ、ゆっくりと揉む。乳首がこりこりと硬くなってくるから親指でゆっくりと回す。 触れるか触れないかの微妙な力加減で……。
「ん……はっ……って、揉むのは俺の胸じゃなーいっ!!」
乳房を揉んでいた右手を離し、握りこぶしを作って絶叫する。
無意識のうちに股間に向かっていた左手の照準を修正し、猛っているチンコをつかむ。
「俺は……っ、男だ、男……なんだっ」
なかば自棄になって激しく擦る。その刺激で熱い塊が根元からせり上がってくる。
硬く目をつぶり、俺の男たる器官に意識を集中する。他の全てから目をそらし、自分が男であると言い聞かせるように。
だが、男たる器官の根元の更に奥、腰から下腹部にかけて熱い疼きがくすぶる。それと共に、胸も切なくなってくる。
『女』が、怪しげに笑ったような気がした。それだけで満足できるのか? と。
ゆっくりと目を開けると、手持ち無沙汰になっていた右手がまるで独自の意思を持ったかのように持ち上がり、俺の女の器官を攻撃する構えを取っていた。
「……くそ」
右手は再び俺のコントロール下に戻っている。握りこぶしを作り、座っていたベッドを叩いた。
「男なのに、男なのに……」
チンコをしごく力を強める。
「んっ……はっ……」
『男』は昂ぶってゆく。だが『女』の疼きは収まらない。収まるわけがない。
体を動かすたびに、胸にあるふたつの柔らかい塊が揺れるのを感じる。股間からはぬめった感覚が伝わってきた。そして、『女』はそこに対する攻撃をそそのかす。
拳を開き、ためらいながらも右手を持ち上げる。『女』は急かすが、それを堪えてゆっくり右手を股間に導く。
左手に捕まれたチンコの、更に下。
「……俺は」
いったん深呼吸、そして意を決し中指を曲げる。
「ん!」
股間から電流のような刺激が走り、全身が軽く痙攣する。
「くそっ……こんな声出して、まるっきり女じゃねーか」
指をゆっくりと動かし、肉の合わさった割れ目を擦る。『男』は止めろと叫ぶが、『女』が更なる行為へと誘う。
体の奥に熱い疼きがくすぶり、そこは刺激を求める。男としてあるまじき行為。でも、もう、抑え切れない。
つぷ、と指を差し入れる。
「うくぅ……っ」
痺れるような、むず痒いような刺激が走る。
横倒しになった体が前屈し、太ももは指の進入を拒むようにぴたっと合わさった。だが、既に進入を果たした指を止めることは、もうできない。
「んっ……はぁ……っ」
ゆっくりと抜き差しし、内壁を擦る。
左手で掴んだチンコが更に硬くなるのを感じた。この行為が『男』も昂ぶらせてるらしい。
二の腕に柔らかい感触。股間を攻撃する俺の両腕に挟まった、俺の……乳房だ。
右手に伝わる温かくぬめった感触。俺の……膣。
そして、左手に伝わる熱く硬いもの。俺の……チンコ。
「一体……なんなんだ、俺の体……」
体内に侵入した指を曲げてみると、ある一点で腰全体に強烈な痺れが走り、その痺れは指先からチンコの先端へと向かい、失禁のような感覚がした。
「んくっ……!」
全身を強張らせ刺激を堪える。
「お、俺は……俺は……っ」
再び両手の動きを再開し、自らを嬲った。体の昂ぶりは増してゆく。
脳裏に男女の姿が浮かび、そして、遂に達した。左の掌に熱いものが迸ると共に、右手の指が激しく締め付けられる。
「ん……くぅう……っ!」
硬く目を瞑った視界に火花が散る。四肢を強張らせ、全身を駆け巡る刺激を耐えていた。
「んっ……はぁ、はぁ……」
ベッドの上で息を荒くして四肢をだらしなく広げ、虚脱していた。
ねばついた液体にまみれた両手を見る。
「俺……」
ティッシュを取ろうとして目に入る、だらしなく脱ぎ捨てた学ラン、そして、カバンから覗く、生理用品を納めた巾着袋。
「俺、男なのに、男なのに……」
行為の最中、俺が脳裏に浮かべで弄んでいたふたり、いや、脳裏に浮かび、俺の両性を弄んだふたりの顔は……。
「美雪、勝也……俺、お前らのことが……」
【2】
「潤、入るわよ」
有無を言わさずドアが開かれた。
「うわ!? ね、ねねね姉ちゃん!?」
慌てて身を起こし股間と胸を押さえる。
「続けてていいわよ。この前借りてたマンガの続き取りにきただけだから」
3つ上の姉貴はあられもない格好をした俺の前を平然と横切り、本棚を物色し始めた。
「あ! 無い無いと思ってたアレは姉ちゃんが持ってったのか……って! つ、続けてって……こんな格好見て、他に言うことないのかよ?」
「他にって? 誰だってすることなんだから別に驚くことじゃないし、第一きょうだいじゃないの」
「そりゃ、そういうもんだけどさ」
「可愛い潤の成長が姉としては嬉しいわ」
俺の頭を乱暴になでた。
つくづく思うのだが、姉貴が『きょうだい』という単語を口にするとき『姉妹』と『姉弟』のどっちなのかと悩む。
姉貴は俺のことを弟とは言わなくなったのだ。まあ、こういう体なのだから仕方ないが。
「オカズ……は、コレと言ってないみたいね、あたしじゃないのが残念だけど。さっき名前呼んでたのが好きなコ?」
凶悪な笑みで訊いてきた。
「な! なにバカなこと言ってるんだよ!」
枕やら学ランやらを投げつけるも機敏なフットワークでひらひらとかわす。
「おーおー、ムキになるってことは図星か、ふむふむ」
「うがー!」
「なんだったら、あたしのコレクションわけたげよっか? 潤ならどのジャンルもOKだと思うけど」
「要らん!」
姉貴は……いわゆる腐女子というやつだった。
高校では漫研に属している。そして他の学校の部と交流したりイベントに出たりして同人誌のやり取りをしているわけだが、この前、姉貴の部屋に忍び込み、好奇心から手にとって見た同人誌は……。
マッチョな男または一見すると女の子に見える華奢な少年が同性で濃厚に絡み合い、舐めたり、愛撫したり、咥えたり、挿入したり、女装したり、縛ったり、叩いたり、猿ぐつわを噛ませて首輪をしていたり……した。
ふと我に返ると、10冊近く読み終えてしまった。
俺の中の『女』は更なる鑑賞を望むが『男』は頑なに拒む。当然ながら、脳裏に焼きついた絵を再生することも『男』は拒んだ。
だが、残念ながらそれを読んだ日をきっかけに、一人でするときの妄想のバリエーションが増えたのは紛れも無い事実だった。
「ん〜、2次元は駄目か。なら活字なら」
顎に手を当て考え込む。
「いや、そういう問題じゃない」
「なら3次元でどうだ」
姉貴はおもむろにトレーナーとTシャツ、そして下着を一気に捲り上げた。
「だから、そういう問題じゃ……って! わ! ちょっと!」
ぷるん、と揺れる二つの膨らみが目に飛び込む。
当然ながら年上であり、100%女ということもあって姉貴の胸は俺よりずっと大きくて……。
「おーおー、そこんとこはちゃんと男の子なんだ、元気元気♪」
抱きしめてきた。豊満な乳房に俺の顔が挟まれる。
血のつながった姉だというのに、一発出したばかりだというのに、『男』は素直に昂ぶる。そして俺の中の『女』は嫌悪するかと言うと……。
下腹部に再び熱い疼きが芽生えた。節操って物は無いのか俺の体は……。
「んふふ、潤は、どんなふうにしてるの?」
「ど、どんなふうって……」
「見せてよ、男のコがどんな風にするか、出すとことか見てみたいのよ」
そう言うなり、俺のチンコを掴む。
「わ! ちょっと待て!」
「凄い……硬くなってる。それに熱い……」
「痛い! 力いっぱいに掴むな!」
「あ、ごめんなさい」
パッと手を離す。
だが、チンコは不満そうにヒクヒクと震え、下腹部の疼きも強まる。『男』も『女』も不満たらたらである。
「うぅ……」
更なる刺激を求める身体をもてあまし、身をよじる。
「大佐、性欲を持て余す」
……違う、大佐って誰。
「……別に大佐でもなんでもいいけどさ、やせ我慢しないの、可愛がってあげるから。どうすればいいの?」
「ど、どうすればって……」
姉貴の提案に、キター!! と言わんばかりに『男』も『女』も拍手喝采の大はしゃぎだが、理性が必死に抵抗する。
「あたしはねぇ〜。女の子の部分、こんなふうにしてるの」
背中に回りこみ、抱きしめてきた。
片手は俺の乳房、もう一方は股間へ向かう。
「わ! ちょっと待て!」
乳房はゆっくりとこねるように揉まれ、指先で乳首を転がされる。股間も開きかけの割れ目をなぞられる。
その刺激に『女』は歓喜し、ほったらかしの『男』が不満そうにひくつく。
「あら? あたしが潤くらいの頃はまだこんなにおっぱい大きくなかったけど。潤、自分でも結構してたんだ、Hね。揉んだらおっぱい大きくなるって本当なのよ?」
「へ? 胸はあまり感じないから揉んでなかったけど……って、そうじゃない! 止めて、胸おっきくなったら困る!!」
「んふふ〜、うーそ♪ 俗説よ、あんなの。でも、そっか、男の子と女の子を可愛がるので両手ふさがってておっぱいは放ったらかしだったのかな?」
「姉ちゃ〜ん!」
指摘は図星だった。
「んふふ〜♪ ここ、あたしと同じだね」
「うくっ……! ふぅ、ふは……ふはぁ」
膣と乳房への攻撃が続き、その刺激は勝手に手足をばたつかせる。
姉貴は別にテクニシャンというわけではなく、姉妹(?)だけあって攻撃方法は似たようなものだった。
ただ、それを自分ではなく他の人から受けることによるズレのもどかしさが、更に自分を昂ぶらせてしまう。
「そ、そこじゃなくて……」
「ここ?」
照準が修正される。
「んっ! ……そ、そこダメ」
「ふぅん……そこダメなんだ? えい♪」
「くぁっ!」
さっき強烈な刺激を感じたところに更なる攻撃が加えられ、全身が跳ね上がる。
「だ、だからダメだっての! というか、マズイだろこんなこと」
「いいじゃない、きょうだいのスキンシップよ♪」
「いや、そのりくつはおかしい」
,. -──- 、
/ /⌒ i'⌒iヽ、
/ ,.-'ゝ__,.・・_ノ-、ヽ
i ‐'''ナ''ー-- ● =''''''リ _,....:-‐‐‐-.、
l -‐i''''~ニ-‐,.... !....、ー`ナ `r'=、-、、:::::::ヽr_
!. t´ r''"´、_,::、::::} ノ` ,.i'・ ,!_`,!::::::::::::ヽ
ゝゝ、,,ニ=====ニ/r'⌒; rー`ー' ,! リ::::::::::::ノ
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`ー--' --'` ̄ `ー't,´`ヽ;;;、,,,,,,___,) ヽ'-゙'"
(`ー':;;;;;;;;;;;;;;;ノ
姉妹だろうが姉弟だろうがスキンシップの範疇を大幅に逸脱してると思う。
だが、口は嬌声を上げるのに手一杯で反論の暇もない。
「あら? おちんちん放ったらかしだったから拗ねちゃってる。こっちも可愛がってあげないと」
背中から覗き込むようにしていた姉貴はそう言い、乳房から手を離しチンコを掴んだ。
「凄い……むかし一緒にお風呂入ったときは引っ張ったり揉んだりしてもフニャフニャだったのに今は元気。コレはコレで可愛いけど♪」
「あのなぁ!」
抗議を続けたいが、膣とチンコを同時に責めたてられると昆布と鰹の合わせ出汁のごとく快感が相乗効果で増幅され、喋ることもままならない。
そして、今度は放ったらかしの乳房が切なくなってきた。
姉貴の手を押しのけようとしてもロクに言うことを聞かなかった俺の腕は、いつの間にか乳房に向かっていた。
姉貴に扱かれる刺激に蕩けていた『男』が我に返り、それを押し留める。
「あたしに手がもっとあればいいんだけど仕方ないわ、そっちは自分でしなさい。揉んだって小さい子は小さいままだし、大きい子は揉まなくたって大きいものなの。安心して可愛がりなさい、贅沢者!」
充分に大きいはずだが姉貴は胸のサイズにまだ不満があるらしい。いやそういうことじゃなくて。
姉貴はいったん股間から手を離して俺の両手を掴み、乳房に当てる。すっかり勃起してしまっていた乳首から電流のような刺激が走った。
『女』は待ってましたと言わんばかりに手の制御を『男』から奪いとり、ゆっくり、かと思えば激しく揉み、こね回し、よじり始めた。
「んぁ! く……ふぅ……」
姉貴は、だらしなく涎までたらして自慰にふけりだした俺の横顔を満足げに見た後、再び股間に手を伸ばす。
放っておかれてふて腐れていた『男』は、再び始まったチンコへの攻撃に身をゆだね始めた。
「ふうん……こうなるんだ。凄い……」
なにやら感心しはじめた。
「ふむふむ……なるほどなるほど」
なにやら納得しはじめた。
膣に進入していた姉貴の指がチンコの根元辺りを内側からなで上げると、失禁にも似た刺激が根元から先端に上ってゆき、その刺激に身を強張らせる。
「わぁ、ビクビクいってる。参考になるわ……」
なにやら参考にしはじめた。
「って、ちょっと待てー!」
抗議するも、敏感なポイントを発見して狂喜している姉貴に何を言っても無駄だった。
「こうしたら……なるほど、ここなら……ふむふむ」
チンコを掴んだ姉貴の手はいつのまにか静止している。どうも内部から刺激することに熱中しているらしく、その刺激でチンコが暴れるのを参考に、敏感なポイントと、より効果的な刺激の方法を模索しているようだ。
またも身体は刺激に惚けて俺の言うことを聞かなくなる。抵抗もかなわず、姉貴からの攻撃に身をゆだねてしまう。こうして昂ぶってゆく。
内部からの刺激で上り詰めることに『男』は悲鳴を上げるが『女』は面白がり、姉貴を応援し始めた。
『女』の声援を知ってか知らずか姉貴は攻撃を続け、パターンにバリエーションを加え俺が新たなる反応を示すたびに感嘆の声を出していた。
そして、姉貴が俺とも勝也とも異なる男の名を呟いたのを最後に、俺の頭は真っ白になり何もわからなくなった。
股間からの刺激に、快楽の海に沈んでいた意識が浮かび上がってくる。
ゆっくりと目を開けると、姉貴が俺の股間をティッシュで拭いていた。
「ふふ、いっぱい出たね〜。元気元気♪ 潤が小さい頃はお漏らししたらこんな感じで拭いてあげてたっけ」
身体はすっかり脱力しきっていて、恨めしそうに姉貴を睨むことしかできなかった。
「あは、潤がすっごく可愛かったから調子に乗っちゃった」
姉貴は悪びれる様子もなく、ぺろりと舌を出して自分の額を額を叩いた。
小さい頃から、姉貴はケンカで俺を泣かしたりするとこうしていた。そのあと「ごめんね、潤」と言って俺の額にキスしていた。そうして仲直りしていた。
今回もそうされて、俺は許してしまうのだろう……。
ちゅ
「うぁ! ドコにしてるんだドコに!」
「んふふ〜女の子の口からそんな恥ずかしいこと言わせないの♪」
この姉貴は、疲労困憊である『男』の労を唇で労いやがった。
「……ったく」
ふて腐れてそっぽを向くも、どうしても憎めなかった。
「潤が元気で……本当にうれしい」
「……え?」
これまでのふざけた口調から一転して真摯な、そして慈愛に満ちた声に振り向く。
姉貴はまた抱きしめてきた。
また、されるのかと身を強張らせるが、抱きしめる力が強まるだけだった。
俺の胸に、姉貴の乳房が密着する。
「潤がまだお母さんのおなかの中にいるとき、あたし、弟も妹も欲しいって欲張った願いを言ってたのよ。まさか、こんな形で願いがかなうなんて思ってもいなかった」
……ジーザス。
姉貴は俺の頬に手を添え、顔を真正面から見つめてきた。
「こんな可愛いきょうだいができて、あたしは世界で一番幸せなお姉ちゃんだわ」
そう言って、姉貴は改めて額に口づけするのだった。
後日談その1。
姉貴がなにやら落ち込んでいた。
彼氏に振られたらしい。
腐女子な姉貴に彼氏がいたことに驚くととともに呆れた。
彼氏にもアノ技を適用したそうな。
あのときの『参考』という単語に、姉貴の新作がどうなるかと恐れおののいていたが、まさかリアルで適用するとは……。
後日談その2
姉貴がなにやら浮かれていた。
彼氏とよりを戻したらしい。
婦女子な姉貴に惚れる義兄さん(候補)に驚くとともに呆れた。
アノ技が病みつきになったそうな。
彼は(多分)100%男であり、膣は存在しない。したがって内部からの刺激は、男にも女にも存在する排泄器官から行ったのだろう。
自分にも備わっている、その器官を意識する。
手がそこに向かうまえに『男』が静止する。そして『女』も、流石にそこへの刺激は勘弁願いたいのか手の制御を奪うことはなかったのだった。
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