ブレイブハート 〜奇跡は心〜 TRAVEL 18 悪霊たちの呼び声
「はあっ!烈破刃!!」
氣を込めた斬撃で、ユウイチはゴーストを切り捨てる。
ナユキは得意の魔法でゴーストを一網打尽にする。
「我、暗闇を照らす一条の光のごとく細き」
「魔を切り裂く剣のごとき鋭い光の雨をもたらさん!!」
「ブレード・レイ!!」
サユリさんは、サポートの魔法を唱え始める。
杖に魔力が集まっていく。
「偉大なる陽の四元素を司る精霊の一人に我、問い掛けます」
「我との盟約の元に、その力、我に示せ!」
「光の精霊ウィル・オ・ウィスプよ!その眩き光の加護を我らが武器に!!」
「シャイン・ウエポン!!」
俺とマイの武器が、光に包まれる。
「それで、後は普通にゴーストを切れますよ〜」
サユリさんの声が聞こえる。
試してみるか!
「せぃっ!」
光により、霧散していくゴースト。
魔法って便利だな。
「・・・残りは私に任せる。本来、魔に属するものをを狩るのは私の使命」
マイが剣を振りかぶりこう言った。
「・・私は魔物を討つものだから」
そして、空中へと飛び上がる。
「・・カワスミ流聖剣技」
聖なる氣が、マイの剣に収束していく。
「聖剣・光針!!」
マイの剣から、無数の光の斬撃が乱れ飛ぶ。
次々にゴーストたちを打ち抜き、辺りにはいつの間にか
ゴーストは消え去っていた。
すたっと、マイが到着する。
「・・終わった」
「見ればわかるよ」
俺が笑いながら答えた。マイもそれを見て表情を和らげる。
辺りを見回し安全を確認すると、俺たちはほっと息をついた。
「ユウイチさん、一度カズヤの所に・・」
サユリさんに呼びかけられ、俺も
「ああ、行こう。後はジュンからの連絡待ちだしな」
俺たちは、休憩所のほうへと走っていった。
「どうだ?二人とも、カズヤは・・」
俺は香里とシオリの二人に話し掛けた。
「大丈夫よ。さすがに焦ったけど、回復魔法の効果が高いわ。
シオリの応急処置もよかったし・・。ただ3日ほど動けないとは思うけど」
見ると、シオリはカズヤの前でこくこくと眠っていた。
「よっぽど疲れたんでしょ。寝かしておいてあげて」
「ああ」
俺は心の中で二人ともお疲れ様と告げた。
その間に、サユリさんが香里に事情を話してくれたらしい。
「そう・・ジュン君、一人で大丈夫なの?」
「こう言った仕事は慣れてるから大丈夫だ」
そう言った矢先
『ユウイチ、俺だ』
『ジュンか。どうだ首尾は?』
『ばっちりだ。だが結界が張られてる。
どのみち、俺だけじゃどうにもならない』
『わかった。すぐそっちに向かう。場所は?』
『その路地からだな・・・・』
俺は詳しい場所を聞き出した。
『わかったすぐに行く。何かあったら連絡してくれ』
『了解』
俺は今のジュンの報告を皆に聞かせた。
「この機を逃すわけには行かない。俺とナユキとジュンで先行する。
サユリさんとマイは、カズヤたちを運んだ後に来てくれ」
「わかりました〜マイ行きましょう」
「・・・・ユウイチ、気をつけて」
「ああ、それじゃ二人とも後で」
マイがカズヤを背負い、カオリがシオリを背負うと二人は町の中心のほうへと
歩いていった。
「よし、行くぞナユキ。カズヤの努力を無駄には出来ないからな」
「うん、カズヤ君の弔い合戦だよ」
いやナユキ、カズヤ死んでないって!
ものの、10分もかからぬうちにユウイチ達はジュンと合流した。
そこには、一見の廃屋がある。
討ち捨てられてから、それほど日にちが経っていないようだ。
「うわ・・ベタな結界だな」
いかにも、それほど工夫もせず魔力だけを濃縮したような結界。
例えるなら、内側から押さえつけてるだけの単純な仕組みとでも言おうか。
「これなら、ナユキの魔力をぶつけるだけでオッケーだな。
頼む」
「まかされたよ〜」
ナユキは、魔力の塊をぽんと作り出すと、思いっきり振りかぶって
結界の張られたドアにぶつけた。
魔力同士が干渉しあい、音もなく結界は消えた。
「ま、こんなものを即興で用意したってことは、追い詰められてる証拠だわな」
ジュンがドアを見つめながら言う。
「ああ、だけど本拠地で戦うのは相手の土俵で戦うのと一緒だ。
油断だけは出来ない」
「うん、わかったよ〜」
「それじゃ、もぐるとするか」
俺たちは、その不気味な廃屋へと入り込んだ。
魂を牢獄より解き放つために・・・・・。
続く
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